シチズンクリストロン初期型は、1974年に発売されたシチズン初のクォーツ時計として、時計愛好家の間で高い注目を集めています。当時の最先端技術を搭載したこの時計は、セイコーのクォーツ革命に追従する形で誕生し、現在でもヴィンテージウォッチコレクターにとって価値ある一本となっています。
特に初期型は文字盤のCQマークが斜体になっているのが特徴で、矢尻型の秒針やLED機能など、当時としては革新的な機能を備えていました。現在ではオークションサイトで比較的手頃な価格で入手できることから、ヴィンテージクォーツ時計の入門機としても人気があります。
この記事のポイント |
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✓ シチズンクリストロン初期型の特徴と見分け方が分かる |
✓ 発売当時の価格と現在の相場を知ることができる |
✓ 86系と75系ムーブメントの違いを理解できる |
✓ 電池交換やメンテナンス方法について学べる |
シチズンクリストロン初期型の基本情報と歴史的価値
- シチズンクリストロン初期型の基本的な特徴
- 発売当時の技術革新と市場での位置づけ
- セイコーとの技術競争における意義
- 86系ムーブメントの技術的特長
- LED機能と電子帰零装置の仕組み
- 当時の価格設定と現在の相場比較
シチズンクリストロン初期型の基本的な特徴
シチズンクリストロン初期型は、1974年に発売されたシチズン初のクォーツ時計として歴史的な意義を持つ製品です。この時計の最も特徴的な点は、文字盤に刻まれた**CQマークが斜体(右に傾いている)**ことで、これが初期型を見分ける最も重要なポイントとなっています。
初期型のもう一つの大きな特徴は、秒針の先端が矢尻型になっていることです。これは当時のクォーツ時計の特徴的なデザインで、ステップ運針の正確性を視覚的に強調する役割を果たしていました。後期型では秒針の先端が切りっぱなしになっているため、この違いで年代を判別することができます。
🕰️ シチズンクリストロン初期型の主な特徴
特徴項目 | 初期型 | 後期型 |
---|---|---|
CQマーク | 斜体(右に傾く) | 立体(真っ直ぐ) |
秒針先端 | 矢尻型 | 切りっぱなし |
ムーブメント | 86系 | 75系 |
発売時期 | 1974年~ | 1970年代後期~ |
最初期のモデルには、12時位置にLEDと8時位置に電子帰零装置ボタンが搭載されていました。LEDは秒針が12時位置を通過する際に一瞬点灯し、電子帰零装置は8時位置のボタンを押すことで秒針を12時位置に戻す機能でした。これらの機能は当時の最先端技術として話題を集めましたが、後のモデルでは省略されています。
ケースはオールステンレス製で、適度な重量感があり高級感を演出しています。風防には当時としては一般的だったプラスチック製が使用されており、現在でも交換パーツが比較的入手しやすいのが特徴です。文字盤のデザインも多様で、全数字文字盤やバーインデックスなど、複数のバリエーションが存在しています。
発売当時の技術革新と市場での位置づけ
1969年にセイコーが世界初のクォーツ時計を発売したことで、時計業界は機械式からクォーツへの大転換期を迎えました。シチズンもこの技術革命に遅れをとるまいと、1974年にクリストロンを発売したのです。発売当時、このクリストロンは約60,000円(極初期モデル)から35,000円という価格設定でした。
当時の機械式グランドセイコーが約45,000円だったことを考えると、クリストロンの価格は決して安くありませんでした。むしろ機械式時計よりも高価な商品として位置づけられており、最新技術への投資という側面が強かったのです。これは現在のスマートウォッチが高級機械式時計と同等の価格で販売されているのと似た状況といえるでしょう。
📊 1970年代の時計価格比較表
製品名 | メーカー | 価格 | 備考 |
---|---|---|---|
クリストロン(極初期) | シチズン | 約60,000円 | LED・帰零装置付き |
クリストロン(初期) | シチズン | 約35,000円 | 標準モデル |
グランドセイコー | セイコー | 約45,000円 | 機械式高級機 |
セイコークォーツQT | セイコー | 約70,000円 | 高級クォーツ |
クリストロンはセイコーのグランドクォーツとキングクォーツに対抗して開発された製品でした。しかし、技術的には追従者の立場にあったため、基本的なデザインラインナップや機能面でセイコーの影響を強く受けています。特にケースデザインや矢尻型の秒針など、セイコーのクォーツ時計を意識した設計が随所に見られます。
それでも、シチズンは独自のムーブメント開発や仕上げ・材質の工夫により、セイコーとは異なる魅力を持つ製品を作り上げました。価格帯も異なることから、購入層も差別化されており、よりカジュアルで若年層向けのアレンジが施されていたと考えられます。この戦略により、クリストロンは独自の市場ポジションを確立することができたのです。
セイコーとの技術競争における意義
1990年頃までの国産時計業界では、セイコーが技術的なリーダーシップを握り、他のメーカーがそれに追従するという構図が一般的でした。シチズンのクリストロンも、まさにこの時代背景の中で誕生した製品の一つです。セイコーが特許をオープンにして他メーカーのクォーツ時計開発を促したことで、技術競争が激化し、結果的に価格の下落と普及が加速しました。
クリストロンの開発において、シチズンは素直な模倣ではなく、独自のアレンジを加えることで差別化を図りました。基本的な技術やデザイン要素は確かにセイコーの影響を受けていますが、ムーブメントは自社開発であり、ケースの仕上げや文字盤の材質なども独自の工夫が施されています。
⚙️ 技術競争の特徴
- セイコーの戦略: 技術のオープン化による市場拡大
- シチズンの対応: 追従しつつも独自性を追求
- 市場への影響: 価格下落と品質向上の両立
- 消費者メリット: 選択肢の増加と技術の民主化
この競争構造は、現在のスマートフォン業界にも似ています。基本的な技術は共通していても、各メーカーが独自の特徴を加えることで差別化を図り、消費者にとってはより多くの選択肢が生まれるという構図です。クリストロンとセイコーのクォーツ時計を実際に手に取って比較すると、基本的な構成は同じでも、細部の仕上げや質感に明確な違いがあることが分かります。
特に注目すべきは、シチズンが価格差による購入層の違いを意識していたことです。セイコーのクォーツQTが約70,000円という高価格だったのに対し、クリストロンは約35,000円という価格設定により、より幅広い層にクォーツ時計の魅力を届けることができました。これは現在のApple WatchとAndroid Wearの関係に近い戦略といえるでしょう。
86系ムーブメントの技術的特長
シチズンクリストロン初期型に搭載された86系ムーブメントは、シチズン初のクォーツムーブメントとして特別な意味を持っています。このムーブメントは当時の最高技術で作られており、現在の安価なクォーツ時計とは比較にならないほど高品質でコストのかかった設計となっています。
86系ムーブメントの最大の特徴は、その精密な仕上げにあります。部品一つ一つが丁寧に仕上げられており、見た目にもコストがかかっていることが分かります。これは後期の75系ムーブメントと比較すると一目瞭然で、75系では徹底的な合理化により部品の仕上げは最低限に抑えられています。
🔧 86系と75系ムーブメントの比較
項目 | 86系(初期) | 75系(後期) |
---|---|---|
開発時期 | 1974年頃 | 1970年代後期 |
サイズ | 大型 | 小型化 |
仕上げ | 高級仕上げ | 実用重視 |
コスト | 高コスト | 低コスト |
特徴 | 見た目にも高級感 | 合理化重視 |
86系ムーブメントのもう一つの特徴は、ステップモーターの精度の高さです。この時代のクォーツ時計は、秒針が目盛りとズレることなくキッチリとした動きをしていました。現在のクォーツ時計でも基本的には同様の精度を持っていますが、86系の場合は特に針のズレが少なく、ピタッピタッと目盛りの真上で一時停止する動作が印象的です。
この精密な動作を強調するために、秒針の先端は矢尻型にデザインされています。ステップ運針はまだ珍しい技術だった当時、この正確な動きは機械式時計にはない魅力として注目を集めました。現在でも86系搭載のクリストロンを手に取ると、この精密な動作に感動する愛好家は少なくありません。
メンテナンス面では、86系ムーブメントは基本的に電池交換のみで長期間動作を続けることができます。防水性能に注意を払っていれば、40年以上経過した現在でも問題なく稼働する個体が多く存在しています。これは当時の技術者たちの高い技術力と品質への責任感を物語っているといえるでしょう。
LED機能と電子帰零装置の仕組み
シチズンクリストロンの最初期モデルに搭載されたLED機能は、当時としては画期的な技術でした。この機能は、秒針が12時位置付近を通過する際に、12時位置の赤色LEDが一瞬点灯するというものです。これは単なる装飾ではなく、クォーツ時計の正確性を視覚的に表現する技術的な演出でした。
LED機能の仕組みは比較的シンプルです。ステップモーターが秒針を動かす際、秒針が特定の位置(12時位置付近)に来たことを検知して、LEDを点灯させる回路が作動します。この技術は現在のスマートウォッチの通知機能の原型ともいえる発想で、時計に電子的な視覚効果を加えるという新しいアプローチでした。
💡 LED機能の特徴
- 点灯タイミング: 秒針が12時位置通過時
- 色: 赤色LED
- 持続時間: 一瞬の点滅
- 目的: クォーツの正確性をアピール
- 消費電力: 最小限に抑えられた設計
一方、8時位置の電子帰零装置は、さらに実用的な機能でした。このボタンを押すと、秒針が現在の位置から強制的に12時位置に戻るという機能で、時刻合わせの際に秒針を正確に合わせることができました。この機能は機械式時計にはない、クォーツならではの特徴的な機能として注目を集めました。
電子帰零装置の仕組みは、ボタンを押すことでステップモーターに特別な信号を送り、通常の1秒刻みの動作とは異なる連続的な動作をさせるというものです。これにより、秒針は最短経路で12時位置まで移動し、そこで停止します。現在でも一部の高級クォーツ時計に類似の機能が搭載されていますが、1970年代にこの技術を実現していたのは驚くべきことです。
しかし、これらの機能は製造コストの増大という問題を抱えていました。LEDや帰零装置は確かに魅力的な機能でしたが、実用性に対してコストが高すぎるという判断から、後期モデルでは省略されることになりました。現在これらの機能を搭載したモデルは希少価値が高く、コレクターズアイテムとしての価値を持っています。
当時の価格設定と現在の相場比較
シチズンクリストロン初期型の発売当時の価格設定は、時計業界の転換期を象徴するものでした。最初期のLED・帰零装置付きモデルが約60,000円、標準的な初期型が約35,000円という価格は、当時の機械式時計と比較しても決して安くありませんでした。むしろ新技術に対するプレミアム価格として設定されていたのです。
当時の価格を現在の貨幣価値に換算すると、おそらく数十万円規模になると推測されます。これは現在の高級スマートウォッチが機械式高級時計と同等の価格で販売されているのと同様の状況です。クォーツ技術は革新的でしたが、まだコストダウンが進んでおらず、技術的な優位性を価格に反映させていた時代でした。
💰 価格変遷の比較表
時期 | 価格帯 | 市場での位置づけ | 特徴 |
---|---|---|---|
1974年(発売時) | 35,000-60,000円 | 高級クォーツ | 最新技術のプレミアム |
1980年代 | 15,000-25,000円 | 普及価格帯 | 量産効果による低価格化 |
2000年代 | 3,000-8,000円 | ヴィンテージ | コレクターズアイテム化 |
現在(2025年) | 5,000-20,000円 | アンティーク | 希少性による価値向上 |
現在の中古相場を見ると、シチズンクリストロン初期型は比較的手頃な価格で入手することができます。オークションサイトでは数千円から1万円程度で落札されることが多く、セイコーの初期クォーツ時計と比較するとまだ底値圏にあるといえるでしょう。これは投資対象として見ても魅力的な価格帯です。
特にLED機能付きの最初期モデルは希少性が高く、状態の良いものは2-3万円程度で取引されることもあります。一方、標準的な初期型であれば5,000円前後で十分に良好な状態のものを入手することが可能です。電池交換だけで動作する個体が多いため、初心者でも比較的安心して購入できるのが魅力です。
今後の相場についてですが、セイコーの初期クォーツが徐々に価格上昇している傾向を考えると、クリストロンも今がまさに底値である可能性が高いと推測されます。ヴィンテージクォーツ時計への関心が高まる中で、シチズンの技術的な意義が再評価される日も近いかもしれません。
シチズンクリストロン初期型の実用情報とメンテナンス
- 電池交換の方法と注意点
- 文字盤バリエーションと人気モデル
- 現在の入手方法と選び方のポイント
- メンテナンスと修理の実際
- コレクションとしての価値と将来性
- 掛け時計版クリストロンの存在
- まとめ:シチズンクリストロン初期型の総合評価
電池交換の方法と注意点
シチズンクリストロン初期型の電池交換は、基本的には現在のクォーツ時計と同様の手順で行うことができます。ただし、40年以上前の時計であることを考慮すると、いくつかの特別な注意点があります。まず最も重要なのは、防水性能の劣化です。当時の防水パッキンは経年劣化により機能を失っている可能性が高いため、電池交換後は防水性能を過信しない方が安全です。
電池交換の基本的な手順は以下の通りです。まず裏蓋を開ける際は、専用の工具を使用することをお勧めします。特に86系ムーブメントが搭載されたモデルでは、裏蓋が固着していることが多く、無理に開けようとするとケースやムーブメントを損傷する恐れがあります。時計店に依頼するのが最も安全な方法といえるでしょう。
🔋 電池交換の手順と注意点
手順 | 作業内容 | 注意点 |
---|---|---|
1. 裏蓋開放 | 専用工具で慎重に開ける | 固着に注意、無理は禁物 |
2. 電池確認 | 電池の型番を確認 | SR621SW等の一般的な型番 |
3. 電池交換 | 古い電池を取り外し新品装着 | プラス・マイナスの向きに注意 |
4. 動作確認 | 秒針の動作を確認 | ステップ運針の正確性をチェック |
5. 裏蓋閉鎖 | パッキンを確認して閉める | 防水性能は期待しない |
電池の種類については、SR621SWなどの一般的な酸化銀電池が使用されています。これらの電池は現在でも容易に入手できるため、電池交換によるランニングコストは非常に低く抑えることができます。ただし、LED機能付きのモデルでは電池消費が早い場合があるため、通常より短いサイクルでの交換が必要になることがあります。
電池交換時に発見される問題として最も多いのは、電池押さえのネジの不具合です。長期間の使用により、ネジ穴が損傷していたり、ネジ自体が腐食していることがあります。このような場合は、修理が必要になることもあります。また、ムーブメント内部に水分が侵入していた場合は、内部清掃が必要になることもあります。
電池交換後の精度については、86系ムーブメントの場合は月差±15秒程度の精度を期待できます。これは現在のクォーツ時計と比較しても十分に実用的な精度です。ただし、40年以上前の時計であることを考慮すると、定期的な動作確認を行うことをお勧めします。特に温度変化の激しい環境では、精度に影響が出る場合があります。
文字盤バリエーションと人気モデル
シチズンクリストロン初期型には、多彩な文字盤バリエーションが存在します。最も特徴的なのは全数字文字盤のモデルで、これはレオパールなどの機械式時計で採用されていた文字盤デザインを流用したものです。ただし、機械式時計では植字(立体的な数字)だったのに対し、クリストロンではプレス文字(平面的な印刷)に変更されています。
全数字文字盤モデルは、クラシカルな雰囲気が魅力的で、現在でも根強い人気があります。文字盤ベースは塗装仕上げとなっており、セイコーのクォーツQTのような高級感はありませんが、その分親しみやすいデザインに仕上がっています。プラスチック風防との組み合わせも、レトロな魅力を演出する要素の一つです。
🎨 人気の文字盤バリエーション
- 全数字文字盤: クラシックで読みやすいデザイン
- バーインデックス: モダンでシンプルな印象
- ストライプ文字盤: 光沢のある縞模様が特徴的
- カットガラス風: 立体的な光の演出が美しい
- コバルトブルー: 鮮やかな青色が印象的
特に人気が高いのは、濃い茶色のストライプ文字盤を持つモデルです。これは光沢のあるタイプで、角度によって表情が変わる美しい仕上げが施されています。1978年頃に製造されたこのモデルは、「クリストロンV」として販売され、通常の酸化銀電池で5年の電池寿命を実現した改良型でした。
コバルトブルー文字盤のモデルも人気があります。これは鮮やかな青色が特徴的で、デイデイト機能(曜日・日付表示)付きのモデルが多く見られます。青色文字盤は経年変化により色あせることがありますが、逆にその変化を楽しむコレクターも存在します。
カットガラス風の文字盤を持つモデルは、5面カットなどの立体的な加工が施されており、光の当たり方によって表情が変化します。これらのモデルは当時から高級感のある仕上げとして人気があり、現在でも状態の良いものは高値で取引されています。
スクエア(角型)ケースのモデルも存在し、これらは1970年代のデザイントレンドを反映した特徴的な外観を持っています。ゴールド色の仕上げが施されたモデルもあり、当時のファッションウォッチとしての側面を強く感じさせます。
現在の入手方法と選び方のポイント
シチズンクリストロン初期型を現在入手する方法は、主にオークションサイトとアンティーク時計専門店の2つです。オークションサイトでは比較的多くの出品があり、数千円から数万円という幅広い価格帯で取引されています。一方、専門店では動作保証付きのものが多く、初心者には安心できる選択肢といえるでしょう。
オークションサイトでの購入時は、写真の詳細確認が最も重要です。特に文字盤のCQマークが斜体になっているかどうか、秒針の先端が矢尻型かどうかを確認することで、真の初期型かどうかを判別できます。また、ムーブメントの型番(86系かどうか)も重要なポイントです。
🛒 購入時のチェックポイント
項目 | 確認内容 | 重要度 |
---|---|---|
CQマーク | 斜体(右傾き)であること | ★★★ |
秒針 | 矢尻型の先端 | ★★★ |
ムーブメント | 86系の型番確認 | ★★☆ |
ケース状態 | 大きな傷や凹みがないか | ★★☆ |
動作状況 | 電池交換で動作するか | ★★★ |
付属品 | ブレス、説明書等の有無 | ★☆☆ |
動作状況については、「電池切れ」や「動作未確認」として出品されているものも多くあります。86系ムーブメントは基本的に頑丈な作りのため、電池交換だけで復活することが多いのですが、内部に水分が侵入していたり、ムーブメントに致命的な損傷がある場合は修理が困難になることもあります。
価格帯については、ジャンク品なら2,000-5,000円、動作品なら5,000-15,000円程度が相場となっています。LED機能付きの最初期モデルや、デッドストック(未使用品)の場合は2-5万円程度まで価格が上がることもあります。投資的な観点から考えると、現在の価格帯は比較的魅力的といえるでしょう。
専門店での購入メリットは、動作保証とアフターサービスです。多くの店舗では3ヶ月程度の動作保証を付けており、購入後に問題が発生した場合の対応も期待できます。価格はオークションより高めになりますが、初心者や確実性を重視する場合にはお勧めの選択肢です。
購入時期については、現在がまさに買い時といえるかもしれません。セイコーの初期クォーツ時計が価格上昇傾向にある中で、シチズンのクリストロンはまだ底値圏にあると考えられます。ヴィンテージクォーツへの関心が高まっている現在、将来的な価値上昇も期待できる状況です。
メンテナンスと修理の実際
シチズンクリストロン初期型のメンテナンスは、基本的には電池交換が中心となります。86系ムーブメントは機械式時計と異なり、オーバーホールの必要性は低く、適切に使用していれば長期間にわたって安定した動作を続けることができます。ただし、40年以上前の時計であることを考慮すると、定期的な状態確認は重要です。
最も一般的なメンテナンスは電池交換ですが、これに合わせて内部清掃を行うことをお勧めします。長期間使用していると、ムーブメント内部にホコリや微細な金属粉が蓄積することがあります。これらは時計の精度や寿命に影響を与える可能性があるため、電池交換のタイミングで清掃してもらうのが理想的です。
🔧 メンテナンス項目と頻度
項目 | 頻度 | 内容 | 費用目安 |
---|---|---|---|
電池交換 | 2-3年 | 電池の交換 | 1,000-2,000円 |
内部清掃 | 5-10年 | ムーブメント清掃 | 3,000-5,000円 |
風防交換 | 必要時 | プラスチック風防交換 | 2,000-4,000円 |
パッキン交換 | 必要時 | 防水パッキン交換 | 1,500-3,000円 |
風防の交換も比較的よく行われるメンテナンスです。プラスチック製の風防は傷つきやすく、長期間の使用により曇りが生じることもあります。幸い、クリストロン用の風防は汎用品として現在でも入手可能で、交換作業も比較的簡単です。新しい風防に交換することで、時計の見た目が大幅に改善されます。
修理が必要になるケースとしては、ムーブメントの故障が最も深刻です。ステップモーターの不調や回路の問題が発生した場合、専門的な技術が必要になります。しかし、86系ムーブメントは比較的頑丈な作りのため、適切に使用されていた個体では深刻な故障は少ないのが実情です。
部品の入手性については、一般的な消耗品(電池、風防、パッキンなど)は問題ありませんが、ムーブメント固有の部品は入手困難な場合があります。そのため、部品取り用の同型機を確保しておくのも一つの方法です。オークションではジャンク品が安価で出品されることも多く、これらを部品取り用として購入するコレクターも存在します。
修理費用については、基本的なメンテナンスであれば数千円程度で済むことが多いのですが、ムーブメントの根本的な修理が必要な場合は1-2万円程度かかることもあります。時計の価値を考慮すると、軽微な不具合は許容し、完璧を求めすぎない姿勢も重要かもしれません。
コレクションとしての価値と将来性
シチズンクリストロン初期型は、ヴィンテージクォーツ時計という新しいコレクションジャンルの中で注目を集めています。従来、アンティーク時計といえば機械式時計が主流でしたが、近年ではクォーツ革命期の時計にも歴史的価値が認められるようになってきました。特に1970年代の初期クォーツ時計は、技術史的な意義が大きく評価されています。
クリストロンのコレクションとしての魅力は、その多様性にあります。文字盤のバリエーション、ケース形状の違い、機能の有無など、同じクリストロンでも様々な仕様が存在します。これにより、コレクターは段階的に収集を楽しむことができ、完全なコンプリートを目指すことも可能です。
📈 コレクション価値の要因
- 歴史的意義: シチズン初のクォーツ時計
- 技術的価値: 86系ムーブメントの精密性
- 希少性: LED機能付きモデルの少なさ
- 多様性: 豊富なバリエーション
- 入手しやすさ: 現在の手頃な価格帯
- 将来性: セイコーに追随する価格上昇の可能性
将来性を考える上で重要なのは、セイコーの初期クォーツ時計の価格動向です。セイコーのクォーツは既に価格上昇が始まっており、特に希少なモデルでは数万円から十万円を超える価格で取引されることもあります。シチズンのクリストロンも同様の経過をたどる可能性があり、現在の価格帯は割安と考えられます。
ただし、投資的な観点から見ると、すべてのモデルが価値上昇するわけではないことも理解しておく必要があります。特に希少価値の高いのは、LED機能付きの最初期モデル、デッドストック品、特殊な文字盤を持つモデルなどです。一般的な初期型でも価値はあるものの、選択的な収集が重要になるでしょう。
コレクション戦略としては、まず基本的な初期型を数本入手し、徐々に希少なモデルを追加していく方法がお勧めです。86系ムーブメント搭載モデルを中心に、文字盤のバリエーションを楽しみながら収集するのが王道といえるでしょう。また、同時代の関連モデル(セイコーのクォーツ、他社の初期クォーツなど)と合わせて収集することで、より深い理解と楽しみが得られます。
現在の市場状況を見ると、クリストロンへの注目度は徐々に高まっており、今後数年間で価格が上昇する可能性が高いと予想されます。特に2025年は発売から50年を迎える節目の年でもあり、記念的な意味でも注目が集まることが期待されます。
掛け時計版クリストロンの存在
シチズンクリストロンには、腕時計以外にも掛け時計版が存在していたことはあまり知られていません。これらの掛け時計は、腕時計と同様のクォーツムーブメントを搭載し、「CRYSTRON」の名前を冠して販売されていました。特に木製ケースを使用したモデルでは、天然木の美しい木目を活かしたデザインが特徴的でした。
木製ケースのクリストロン掛け時計では、**花梨(カリン)**などの銘木が使用されており、瘤杢や葡萄杢といった美しい木目パターンを持つものも存在しました。これらは時計としての機能だけでなく、インテリア装飾品としての価値も高く、現在でもアンティーク愛好家の間で人気があります。
🏠 掛け時計版クリストロンの特徴
タイプ | 材質 | 特徴 | 希少度 |
---|---|---|---|
木製ケース | 花梨等の銘木 | 天然木の美しい木目 | 高 |
陶器ケース | セラミック | アンティーク調デザイン | 中 |
プラスチック | 樹脂製 | カジュアルなデザイン | 低 |
陶器製のクリストロン掛け時計も存在し、これらはアンティーク調のデザインが施されていることが多く、特にバラの花をモチーフにしたものなどが見られます。これらの陶器製時計は、1970年代のインテリアトレンドを反映したデザインで、現在見ると逆に新鮮な印象を与えます。
掛け時計版クリストロンのムーブメントは、基本的には腕時計用と同じ技術を使用していますが、サイズや電源の関係で一部改良が加えられています。特に電池寿命は腕時計版よりも長く設計されており、より実用的な仕様となっています。
これらの掛け時計は、当時は比較的一般的な商品でしたが、現在では希少性が高くなっています。特に木製ケースのものは、経年変化により木材が劣化していることも多く、良好な状態を保っているものは貴重です。オークションサイトでは時々出品されますが、知る人ぞ知る存在となっています。
掛け時計版クリストロンの魅力は、腕時計とは異なる大きなサイズ感にあります。文字盤も大きく見やすく、クォーツムーブメントの正確性を日常的に実感することができます。また、1970年代のライフスタイルを感じさせるインテリアアイテムとしても価値があり、レトロインテリア愛好家にとっては魅力的な存在といえるでしょう。
まとめ:シチズンクリストロン初期型の総合評価
最後に記事のポイントをまとめます。
- シチズンクリストロン初期型は1974年発売のシチズン初クォーツ時計である
- 初期型の見分け方は文字盤のCQマークが斜体で秒針先端が矢尻型であること
- 86系ムーブメントは当時の最高技術で作られた高品質な設計である
- 最初期モデルにはLED機能と電子帰零装置が搭載されていた
- 発売時価格は35,000-60,000円と機械式時計より高価だった
- セイコーの技術に追従しつつも独自のアレンジを加えて差別化を図った
- 現在の中古相場は5,000-20,000円程度で比較的手頃である
- 電池交換のみで長期間動作し維持費用が安い
- 文字盤バリエーションが豊富でコレクション性が高い
- オークションサイトと専門店の両方で入手可能である
- メンテナンスは主に電池交換と内部清掃で十分である
- 掛け時計版も存在し木製や陶器製ケースのモデルがある
- ヴィンテージクォーツとして歴史的価値が認められつつある
- セイコーのクォーツ価格上昇に追随する将来性がある
- 現在は投資的観点からも魅力的な価格帯にある
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- http://oldjapanwatch.blog.fc2.com/blog-entry-275.html
- https://jp.mercari.com/search?keyword=%E3%82%B7%E3%83%81%E3%82%BA%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%B3
- https://antiwatchman.com/wp/j-6969/
- https://www.csokonaiszinhaz.hu/index.php?zhHant/product/surugaya/74081455?campaign_uid=f64d716db5e979ed2f947dbaf4296895b951ae7f
- https://antiwatchman.com/wp/j-4886/
- https://auctions.yahoo.co.jp/closedsearch/closedsearch/%28citizen%20%E3%82%B7%E3%83%81%E3%82%BA%E3%83%B3%29%20%28crystron%20%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%B3%29/0/?b=201
- https://paypayfleamarket.yahoo.co.jp/item/g1171759754
- https://www.mqs.com.az/shopdetail/39329425
- https://ameblo.jp/maronakki/entry-11348999472.html
- https://www.versastudio.com/shopdetail/36326930