ルミノックスの腕時計を愛用していたのに、ある日突然暗闇で光らなくなってしまった…そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。軍用時計として信頼されているルミノックスですが、発光しない状態になってしまうケースは決して珍しくありません。実は、この現象には明確な理由があり、多くの場合は時計の故障ではなく、発光システムの自然な劣化が原因となっています。
この記事では、ルミノックスが発光しない原因から対処法、予防策まで、徹底的に調査した情報をわかりやすくまとめました。トリチウムガスの半減期による影響、電池交換との関係、本物と偽物の見分け方、さらには修理や交換の可能性まで、どこよりも詳しく解説していきます。
この記事のポイント |
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✅ ルミノックス発光しない主な原因はトリチウムの半減期(約12年) |
✅ 電池切れと発光は無関係だが暗所確認不足の可能性もある |
✅ 偽物は蓄光塗料使用のため本物との見分けが可能 |
✅ メーカー修理でも発光システムの交換は基本的に不可能 |
ルミノックスが発光しない主な原因と対処法
- ルミノックスが発光しない最大の原因はトリチウムの半減期
- 電池切れは発光と無関係だが時計機能に影響する
- 暗所での確認不足が発光しないと感じる原因
- 偽物のルミノックスは蓄光塗料で本物と見分けられる
- 購入時期によって使用されている発光システムが異なる
- 水分侵入による発光システムの故障もある
ルミノックスが発光しない最大の原因はトリチウムの半減期
ルミノックスが発光しない最も一般的な原因は、トリチウムの半減期による自然な減衰です。ルミノックス・ライト・テクノロジー(LLT)は、トリチウムガスを充填したマイクロガスカプセルを使用した自己発光システムですが、このトリチウムには約12年という半減期があります。
トリチウムの放射線量は時間とともに減少し、それに伴って発光量も徐々に弱くなっていきます。購入から12年程度経過すると、光量が購入時の半分程度まで減少し、肉眼では発光を確認しにくくなる場合があります。完全に光らなくなるまでには25年程度かかるとされていますが、実用的な明るさを保てるのは15年程度が目安と考えられています。
📊 トリチウムの劣化タイムライン
経過年数 | 発光強度 | 視認性 | 状態 |
---|---|---|---|
0-5年 | 100%-80% | 非常に良い | 新品時と同等 |
6-10年 | 80%-65% | 良い | やや暗くなる |
11-15年 | 65%-40% | 普通 | 明らかに暗い |
16-20年 | 40%-25% | 悪い | かろうじて見える |
21年以上 | 25%以下 | 非常に悪い | ほぼ見えない |
この現象は時計の故障ではなく、放射性物質の自然な性質によるものです。17年前に購入したルミノックスが光らなくなったという事例も報告されており、これは半減期を考慮すると妥当な現象といえます。
特に2000年代前半以前に製造されたモデルでは、現在ではほとんど発光しない状態になっている可能性が高いです。ただし、時計としての機能は正常に動作し続けるため、発光しなくても実用性に問題はありません。
発光量の減少は段階的に進行するため、購入当初と比較して「以前より暗くなった」と感じる場合は、トリチウムの劣化が始まっている可能性があります。この状態は自然現象であり、避けることはできない現象として理解することが重要です。
電池切れは発光と無関係だが時計機能に影響する
ルミノックスの発光システムと電池は完全に独立しているため、電池切れが直接的に発光に影響することはありません。LLTは自己発光システムであり、電池からの電力供給を一切必要としないためです。
しかし、電池切れによって時計の針が止まると、暗闇で時刻を確認する際に「時計が機能していない=発光していない」と錯覚してしまう場合があります。実際には発光は継続しているものの、針が動いていないため発光に気づかないというケースも考えられます。
🔋 電池切れと発光の関係性
状態 | 時計機能 | 発光機能 | 対処法 |
---|---|---|---|
正常 | 動作中 | 発光中 | 特になし |
電池切れ | 停止 | 発光中 | 電池交換 |
トリチウム劣化 | 動作中 | 発光微弱/停止 | 交換不可 |
両方の問題 | 停止 | 発光微弱/停止 | 電池交換のみ可能 |
電池交換を行う際は、正規取扱店での有償サービスを利用することが推奨されます。時計店での電池交換時に防水性能に問題が生じた事例も報告されており、特にネジが錆びて破損するケースもあります。
電池の寿命は通常2-5年程度ですが、ルミノックスの中には10年電池を搭載したモデルもあります。電池切れの症状としては、針の動きが止まる、時刻が大幅にずれる、秒針が2秒間隔で動くなどがあります。
もし電池交換後も時計が正常に動作しない場合は、ムーブメント自体に問題がある可能性があります。この場合は専門的な修理が必要となり、保証期間内であればギャランティカードを使用した無償修理が可能です。
電池交換は発光問題の解決策にはなりませんが、時計としての基本機能を維持するためには必要なメンテナンスです。発光しない問題と電池切れが同時に発生している場合は、まず電池交換を行ってから発光状態を再確認することをおすすめします。
暗所での確認不足が発光しないと感じる原因
ルミノックスが「発光しない」と感じる場合、実際には発光しているものの、確認環境が適切でない可能性があります。トリチウムの発光は比較的微弱なため、完全な暗闇でなければ視認が困難な場合があります。
特に経年劣化によって発光量が減少したルミノックスの場合、わずかな光源でも発光が見えなくなることがあります。室内の照明や街灯、スマートフォンの光などが存在する環境では、トリチウムの発光を確認できない場合があります。
💡 発光確認のための環境条件
環境 | 発光の見え方 | 推奨度 | 注意点 |
---|---|---|---|
完全な暗室 | 明確に見える | ★★★ | 最適な確認環境 |
薄暗い室内 | やや見える | ★★☆ | 他の光源を遮断 |
街灯のある屋外 | 見えにくい | ★☆☆ | 手で覆うなどの工夫が必要 |
明るい室内 | 見えない | ☆☆☆ | 確認不可 |
正しい発光確認の方法は、手で時計を覆って隙間から覗き込むように見ることです。この方法により、周囲の光を遮断して発光を確認できます。新品のルミノックスであれば、この方法で明確な発光を確認できるはずです。
また、日によって発光の見え方が異なると感じる場合は、目の順応状態や体調が影響している可能性もあります。明るい場所から急に暗い場所に移動した場合、目が暗さに慣れるまで時間がかかるため、発光を認識しにくくなります。
発光確認は夜間の屋外や、電気を消した室内で行うことが理想的です。購入から数年経過したルミノックスの場合、以前より発光が弱くなったと感じるのは正常な現象であり、完全に見えなくなるまでにはさらに年数を要します。
発光しないと感じた場合は、まず適切な環境での確認を行い、それでも発光が確認できない場合は、トリチウムの劣化や他の要因を検討する必要があります。
偽物のルミノックスは蓄光塗料で本物との見分けられる
市場には残念ながら偽物のルミノックスが存在しており、これらの多くは本物のトリチウムではなく蓄光塗料を使用しています。偽物の発光システムは本物とは根本的に異なるため、発光の特徴を知ることで真贋の判別が可能です。
本物のルミノックスは自己発光型のため、光を当てなくても常に一定の明るさで光り続けます。一方、偽物に使用される蓄光塗料は蓄光型のため、光を蓄えてから発光し、時間の経過とともに急速に暗くなります。
🔍 本物と偽物の発光特徴比較
特徴 | 本物(トリチウム) | 偽物(蓄光塗料) |
---|---|---|
発光方式 | 自己発光 | 蓄光発光 |
光源の必要性 | 不要 | 必要 |
発光持続時間 | 常時(25年間) | 数時間 |
発光の減衰 | 非常に緩やか | 急速に減衰 |
暗闇での明るさ | 一定 | 時間とともに暗くなる |
見た目 | 透明感がある | のっぺりしている |
偽物の見分け方として最も確実なのは、暗い場所で長時間観察することです。本物であれば何時間経っても同じ明るさで光り続けますが、偽物の場合は数時間で著しく暗くなります。
また、偽物の場合は価格が異常に安いことが多く、正規価格の半額以下で販売されているものは注意が必要です。特にネットオークションやフリマアプリでは偽物が多く出回っているため、購入時は十分な注意が必要です。
発光部分の外観にも違いがあります。本物のトリチウムカプセルは透明感があり立体的に見えますが、偽物の蓄光塗料は平坦で「のっぺり」とした印象を与えます。これは製造工程の違いによるものです。
もし購入したルミノックスが蓄光塗料を使用していた場合、それは間違いなく偽物です。正規品のルミノックスにはすべてトリチウムガスが使用されており、蓄光塗料が使用されることはありません。
購入時期によって使用されている発光システムが異なる
ルミノックスの発光システムは、製造時期によって使用される技術が段階的に進化しています。特に最近のモデルでは、従来のトリチウムに加えてルミノーバ(蓄光塗料)を併用するモデルも登場しており、発光特性が異なります。
初期のルミノックス(1990年代〜2000年代前半)は、主にトリチウムのみを使用していました。しかし、近年のモデルではトリチウムとルミノーバの併用により、より長時間の視認性を確保しているものもあります。
📅 ルミノックス発光システムの変遷
時期 | 主要技術 | 特徴 | 対象モデル |
---|---|---|---|
1990年代 | トリチウムのみ | 純粋な自己発光 | 初期モデル |
2000年代前半 | トリチウム主体 | 安定した発光 | 人気モデル |
2010年代以降 | トリチウム+ルミノーバ | ハイブリッド発光 | 新世代モデル |
最新モデル | 最適化システム | 最高の視認性 | 現行モデル |
ルミノーバとの併用モデルの場合、日中に光を蓄えることで夜間の視認性が向上します。ただし、ルミノーバ部分は時間の経過とともに暗くなるため、完全な暗闇での長時間使用では、やはりトリチウムの発光が重要になります。
購入時期が古いモデルの場合、現在ではトリチウムの劣化が進んでいる可能性が高いです。特に2000年代前半以前のモデルでは、現時点で半減期を大きく超えているため、発光が著しく弱くなっていることが予想されます。
一方、2010年代以降のモデルでは、まだトリチウムが十分な発光量を保っている可能性があります。ただし、製造から10年以上経過したモデルでは、そろそろ発光量の減少を感じ始める時期に差し掛かっています。
購入を検討する際は、製造年代を確認し、現在のトリチウムの状態を予測することが重要です。中古品の場合は特に、発光状態を実際に確認してから購入することをおすすめします。
水分侵入による発光システムの故障もある
ルミノックスの発光システムは非常に精密な構造のため、水分の侵入によって故障する可能性があります。特に、不適切な電池交換や修理によって防水性能が損なわれた場合、内部に水分が侵入して発光システムに影響を与える場合があります。
水分侵入の兆候としては、ガラス面の曇りが最も分かりやすい症状です。時計内部に水分が入ると結露が発生し、これによって発光システムの機能が低下したり、完全に停止したりする可能性があります。
💧 水分侵入による影響
症状 | 影響度 | 対処法 | 予防策 |
---|---|---|---|
ガラスの曇り | 高 | 即座にメーカー修理 | 正規店での電池交換 |
発光の不均一 | 中 | 専門的な点検 | 定期的なメンテナンス |
一部発光停止 | 高 | 専門修理が必要 | 防水性能の維持 |
完全発光停止 | 最高 | 修理困難の可能性 | 適切な取り扱い |
水分侵入の主な原因は、非正規店での電池交換です。ルミノックスの防水構造は複雑で、適切な工具や技術なしに裏蓋を開閉すると、防水パッキンの損傷やネジの破損が発生する可能性があります。
特に、経年劣化によってネジが錆びている場合、電池交換時にネジが破損し、その結果として防水性能が著しく低下することがあります。破損したネジの交換も含めて適切な修理を行わないと、水分侵入のリスクが高まります。
水分が侵入した場合の発光システムへの影響は深刻で、トリチウムカプセル自体に損傷を与える可能性があります。一度損傷したトリチウムカプセルは基本的に修理不可能で、交換も困難とされています。
予防策としては、正規取扱店での定期的なメンテナンスを受けることが最も効果的です。また、水泳や入浴時の使用は避け、防水性能を過信しないことも重要です。
もし水分侵入の兆候を発見した場合は、直ちに使用を中止し、正規のサービスセンターに相談することをおすすめします。早期の対応により、発光システムへの深刻な損傷を防げる可能性があります。
ルミノックス発光しない問題の予防と長期的な解決策
- 正規品購入時の保証とギャランティカードの重要性
- メーカー修理では発光システムの交換は基本的に不可
- 発光寿命は約25年だが実際は12〜15年で減衰が始まる
- 新しいモデルはルミノーバとの併用で視認性を向上
- 中古購入時は発光状態の確認が必須
- 発光しない状態でも時計としての価値は残る
- まとめ:ルミノックス発光しない問題は自然現象として理解する
正規品購入時の保証とギャランティカードの重要性
ルミノックスの発光に関する問題を予防し、適切な対応を受けるためには、正規品の購入とギャランティカードの保管が極めて重要です。正規品には必ずインターナショナルギャランティカードが付属し、これにより2年間の保証を受けることができます。
ギャランティカードによる保証は、ムーブメントとルミナイトシステムの両方をカバーしています。つまり、購入から2年以内に発光システムに異常が発生した場合、無償での修理や交換が可能です。
🛡️ ギャランティカードの保証内容
保証項目 | 保証期間 | 対象範囲 | 条件 |
---|---|---|---|
ムーブメント | 2年間 | 時計機能全般 | 正常使用での故障 |
ルミナイトシステム | 2年間 | 発光機能 | 製造不良による問題 |
外装部品 | 2年間 | ケース・風防等 | 製造不良のみ |
電池 | 対象外 | – | 消耗品扱い |
並行輸入品の場合、ギャランティカードが付属しない、または日本の法律に従ったT25規格の表示がない場合があります。これらの商品は基本的に保証を受けることができず、発光に問題が生じても自己負担での修理となります。
正規品と並行輸入品の価格差は魅力的ですが、長期的な使用を考慮すると正規品の購入が安心です。特に、発光システムのような精密な部分に問題が生じた場合、修理費用は購入価格の差額を大きく上回る可能性があります。
ギャランティカードは保証期間終了後も重要で、修理を依頼する際には必ず提示が求められます。カードの有無によって修理料金が大きく異なり、最悪の場合、修理自体を断られる可能性もあります。
購入時にはギャランティカードの記載内容を確認し、購入店舗、購入日、モデル名が正確に記入されているかをチェックしましょう。また、カードは大切に保管し、紛失しないよう注意が必要です。
正規品購入のもう一つのメリットは、全世界のルミノックス代理店でサービスを受けられることです。海外旅行中に問題が発生した場合でも、現地の正規代理店で対応してもらえる可能性があります。
メーカー修理では発光システムの交換は基本的に不可
多くのユーザーが期待するのは、発光しなくなったルミノックスの発光システムを新しいものに交換することです。しかし、現実的にはメーカーでもトリチウムカプセルの交換は基本的に不可能とされています。
この理由は技術的な問題だけでなく、法的・安全性の観点も関係しています。トリチウムは放射性物質であり、その取り扱いには特別な許可と設備が必要です。また、時計の文字盤に埋め込まれたトリチウムカプセルを取り外すことは、時計の構造を大きく変更することになります。
🔧 修理可能項目と不可能項目
項目 | 修理可否 | 理由 | 代替手段 |
---|---|---|---|
ムーブメント交換 | 可能 | 標準的な修理 | メーカー修理 |
電池交換 | 可能 | 消耗品交換 | 正規店サービス |
外装修理 | 可能 | 一般的なメンテナンス | 部品交換 |
トリチウム交換 | 不可能 | 技術的・法的制約 | 新品購入 |
仮にトリチウムカプセルの交換が可能だったとしても、修理費用は新品購入以上になる可能性が高いです。精密な作業と特殊な材料が必要なため、経済的なメリットは期待できません。
一部の修理業者では「発光システムの修理」を謳っているところもありますが、これらはルミノーバなどの蓄光塗料に置き換えるサービスであることが多いです。この場合、本来の自己発光機能は失われ、光を蓄える必要が生じます。
メーカーとしては、発光しなくなった時点で新しいモデルへの買い替えを推奨しています。これは技術的制約だけでなく、常に最新の技術と品質を提供するという企業方針によるものです。
発光システムの交換ができないことを理解した上で、ルミノックスを購入することが重要です。発光機能は永続的ではなく、15-25年程度の寿命があることを前提として使用する必要があります。
ただし、保証期間内に発光システムに明らかな不具合が発生した場合は、製品の交換や返金が行われる可能性があります。この場合もギャランティカードが必要となるため、正規品の購入と適切な保管が重要です。
発光寿命は約25年だが実際は12〜15年で減衰が始まる
ルミノックスの発光システムの理論的な寿命は約25年とされていますが、実用的な明るさを保てるのは12-15年程度というのが実際のところです。これはトリチウムの半減期と、人間の視認能力の関係によるものです。
トリチウムの半減期は約12.3年で、この期間で放射線量が半分に減少します。放射線量の減少に伴って発光量も比例的に減少するため、**12年経過時点で発光量は約50%**になります。
📉 実用的発光期間の目安
期間 | 発光レベル | 実用性 | 使用感 |
---|---|---|---|
0-5年 | 100%-85% | 非常に高い | 新品同様の明るさ |
6-10年 | 85%-60% | 高い | やや暗くなったと感じる |
11-15年 | 60%-35% | 中程度 | 明らかに暗い |
16-20年 | 35%-20% | 低い | かろうじて見える |
21-25年 | 20%-10% | 非常に低い | ほとんど見えない |
15年を超えると、多くのユーザーが「発光しない」と感じ始める傾向があります。これは発光量が新品時の30%以下になることで、日常的な使用において十分な視認性を確保できなくなるためです。
興味深いことに、同じ時期に製造されたルミノックスでも、個体差によって発光の劣化速度に違いがあります。これは製造時のトリチウム充填量や、使用環境による影響が関係していると考えられます。
完全に発光しなくなるまでの25年という期間は、理論値であって実用値ではないことを理解する必要があります。実際には、購入から10-12年程度で発光量の減少を感じ始め、15年程度で実用性に問題を感じるケースが多いです。
この寿命特性を理解した上でルミノックスを選択することで、将来的な発光の減少に対する心構えができます。軍用時計としての耐久性は25年以上維持されますが、発光機能については限定的な寿命があることを認識しておきましょう。
長期使用を前提とする場合は、発光機能以外の魅力(デザイン、耐久性、精度など)も重視して選択することが重要です。発光は魅力的な機能ですが、それだけがルミノックスの価値ではありません。
新しいモデルはルミノーバとの併用で視認性を向上
最新のルミノックスモデルでは、従来のトリチウムに加えてルミノーバ(蓄光塗料)を併用することで、総合的な視認性を向上させています。この技術により、トリチウムの発光量が減少した後も、一定期間の視認性を確保できるようになっています。
ルミノーバは1993年に日本の根本特殊化学が開発した蓄光塗料で、従来の蛍光塗料の10倍の光量で、10倍長く発光する特徴があります。ルミノックスでは、針やベゼルの一部にこの技術を採用しているモデルがあります。
🔄 ハイブリッド発光システムの特徴
技術 | 発光方式 | 持続時間 | 光源の必要性 | 用途 |
---|---|---|---|---|
トリチウム | 自己発光 | 25年間 | 不要 | メイン発光 |
ルミノーバ | 蓄光発光 | 数時間 | 必要 | 補助発光 |
併用システム | ハイブリッド | 最適化 | 部分的に必要 | 総合視認性 |
この併用システムの利点は、日中に光を蓄えることで夜間の初期視認性が向上することです。特に、トリチウムの発光量が減少してきた古いモデルと比較すると、明らかに見やすさが改善されています。
ただし、ルミノーバは時間の経過とともに急速に暗くなるため、長時間の暗闇では結局トリチウムの発光に依存することになります。完全な自己発光を求める軍用途では、やはりトリチウムが主役となります。
併用システムを採用したモデルでは、購入から数年経過してもトリチウム単独モデルより視認性が高いことが期待されます。これにより、実用的な発光期間が延長される可能性があります。
一方で、ルミノーバも経年劣化により発光性能が低下します。約20-30年で蓄光能力が著しく低下するとされており、長期的にはやはりトリチウムの状態が視認性を左右します。
新規購入を検討する際は、ハイブリッドシステムを採用したモデルを選択することで、より長期間にわたって良好な視認性を確保できる可能性があります。ただし、完全に発光しなくなることは避けられない現象であることに変わりはありません。
中古購入時は発光状態の確認が必須
中古のルミノックスを購入する際は、現在の発光状態を必ず確認することが重要です。製造年代によってはすでにトリチウムの劣化が進んでいる可能性があり、購入後すぐに発光しない状態になるリスクがあります。
中古品の発光確認で注意すべき点は、販売店の照明下では発光が見えないことです。必ず暗い場所での確認を依頼するか、自宅での確認期間を設けてもらう必要があります。
🛒 中古購入時のチェックポイント
確認項目 | 重要度 | 確認方法 | 判断基準 |
---|---|---|---|
製造年代 | 高 | シリアル番号確認 | 2010年以降が推奨 |
発光状態 | 最高 | 暗室での目視確認 | 明確に視認できること |
ギャランティカード | 高 | 付属品の確認 | 正規品の証明 |
外観状態 | 中 | 傷や損傷の確認 | 修理歴の有無 |
特にヤフオクやメルカリなどの個人売買では、発光状態を正確に把握していない出品者も多いため、注意が必要です。「発光確認済み」と記載されていても、実際には非常に微弱な発光である可能性があります。
中古購入で最もリスクが高いのは、2000年代前半以前のモデルです。これらは現在ではほぼ発光しない状態になっている可能性が高く、発光機能を期待しての購入は避けるべきです。
一方、2015年以降のモデルであれば、まだ十分な発光量を保っている可能性があります。ただし、保管状況や使用状況によって劣化速度は異なるため、個別の確認が必要です。
中古購入のメリットは価格の安さですが、発光機能の劣化リスクを考慮すると、新品購入の方が長期的にはお得な場合もあります。特に、発光機能を重視する場合は、新品購入を強く推奨します。
信頼できる買取業者からの購入であれば、専門的な査定を経た商品であるため、ある程度の品質は保証されています。ただし、発光状態については必ず確認し、期待する明るさが得られるかを判断することが重要です。
発光しない状態でも時計としての価値は残る
ルミノックスが発光しなくなったとしても、時計としての基本機能と価値は維持されます。実際、発光機能は魅力的な特徴の一つですが、ルミノックスの本質的な価値は軍用時計としての信頼性と耐久性にあります。
発光しない状態のルミノックスでも、精密なクォーツムーブメントは正常に動作し続けます。また、200m防水性能、耐衝撃性、耐磁性などの基本性能は発光とは無関係に維持されます。
⚡ 発光機能以外の持続的価値
機能・特徴 | 持続性 | 価値 | 重要度 |
---|---|---|---|
精密な時刻精度 | 長期間 | 高 | 非常に高い |
200m防水性能 | 長期間 | 高 | 高い |
耐衝撃性 | 長期間 | 高 | 高い |
軍用品質の耐久性 | 長期間 | 高 | 高い |
ブランド価値 | 永続的 | 中-高 | 中程度 |
デザイン性 | 永続的 | 中 | 中程度 |
多くのルミノックス愛用者は、発光機能以外の魅力も高く評価しています。特に、過酷な環境下での信頼性や、軍用時計としてのロマンは、発光とは独立した価値として認識されています。
また、発光しない状態のルミノックスをヴィンテージウォッチとして楽しむアプローチもあります。経年による変化を時計の歴史として受け入れ、長年の使用による風合いを愛でることができます。
コレクターの間では、初期モデルの発光しない個体も一定の価値を持っています。特に、有名な軍事作戦で使用されたモデルや、限定生産されたモデルは、発光状態に関係なく価値が認められています。
実用面では、日中の使用には全く問題がないため、普段使いとしては十分に機能します。夜間の時刻確認には他の方法(スマートフォンのライトなど)を併用すれば、実用上の不便はほとんどありません。
発光しなくなったルミノックスを修理や改造のベースとして活用することも可能です。ムーブメントや外装部品の交換により、新しい機能を追加したり、外観をカスタマイズしたりできます。
まとめ:ルミノックス発光しない問題は自然現象として理解する
最後に記事のポイントをまとめます。
- ルミノックスが発光しない最大の原因はトリチウムの半減期(約12年)による自然な劣化である
- 電池切れと発光は無関係だが、時計機能の停止により発光に気づかない場合がある
- 完全な暗闇での確認が必要で、わずかな光源でも発光が見えなくなる
- 偽物は蓄光塗料を使用しており、暗所での長時間観察により判別可能である
- 最新モデルではトリチウムとルミノーバの併用により視認性が向上している
- 水分侵入により発光システムが故障する可能性があり、正規店でのメンテナンスが重要である
- 正規品購入とギャランティカードの保管により適切な保証を受けられる
- メーカー修理でもトリチウムカプセルの交換は基本的に不可能である
- 理論的寿命は25年だが実用的には12-15年で減衰が始まる
- 中古購入時は製造年代と現在の発光状態の確認が必須である
- 発光しない状態でも時計としての基本機能と価値は維持される
- 発光機能の劣化は自然現象であり、避けることはできない
- ヴィンテージウォッチとしての価値や軍用時計としての魅力は発光と無関係に存在する
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://ameblo.jp/luminostore/entry-12432487682.html
- https://www.rasin.co.jp/blog/maintenance-guide/luminouspaint_watch/
- https://luminox.jp/brand/technology/
- https://question.realestate.yahoo.co.jp/knowledge/chiebukuro/detail/13271892743/
- https://hikakaku.com/blog/all-category/watch/casual-watch/luminox/6550/
- https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14282734319
- https://www.takekawa-t.com/watches/luminox/
- https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11154887941
- https://bbs.kakaku.com/bbs/-/CategoryCD=5160/MakerCD=5340/
- https://yamahack.com/2149