高級時計の世界において、「ロレックス」と「パテックフィリップ」は常に頂点を争う存在として知られています。最近では、市場価格の急落が報じられるなど、両ブランドの動向は多くの時計愛好家やコレクターから注目を集めています。どちらも資産価値の高さで定評がありますが、その特徴や魅力、立ち位置は大きく異なります。

独自調査の結果、パテックフィリップは184年以上の歴史を持ち、年間生産本数約6万本と希少性が高く、ロレックスは抜群の知名度と実用性を誇り、年間約120万本を生産していることがわかりました。また、現在の高級時計市場は価格下落局面にあり、これが新たな購入機会になっている面もあります。この記事では、両ブランドの違いや特徴、おすすめモデル、そして現在の市場状況について詳しく解説します。
記事のポイント!
- ロレックスとパテックフィリップの歴史や特徴、生産体制の違い
- 両ブランドの人気モデルと価格帯、資産価値
- 現在の高級時計市場の状況と価格下落の背景
- 時計購入の際の選び方や投資としての視点
ロレックスとパテックフィリップの徹底比較!その実力と魅力
- ロレックスとパテックフィリップの歴史は創業年に大きな違いがある
- パテックフィリップは世界3大時計メーカーの一つでありスイス時計の頂点
- ロレックスは圧倒的知名度と実用性の高さが特徴的
- 両ブランドの年間生産本数には約20倍の差がある
- パテックフィリップは熟練職人による完全マニュファクチュール製法
- ロレックスは性別や世代を問わない幅広い人気層を持つ
ロレックスとパテックフィリップの歴史は創業年に大きな違いがある

まず両ブランドの歴史において、大きな違いが創業年にあります。パテックフィリップは1839年にアントワーヌ・ノルベール・ド・パテックとフランソワ・チャペックという2人のポーランド人によってスイスで創業されました。「世界最高峰の時計をつくる」という理念のもと設立され、184年以上の歴史を持つ老舗ブランドです。
一方のロレックスは、ドイツ生まれの実業家ハンス・ウィルスドルフにより、1905年にイギリスのロンドンで開業した時計輸入商社「ウィルス&デイビス」が始まりです。その後、社名をロレックスに改名し腕時計の製造に着手しました。パテックフィリップと比べると約66年も後発のブランドということになります。
この創業年の違いは、各ブランドの哲学や位置づけにも影響しています。パテックフィリップは長い歴史の中で王侯貴族や著名人を顧客として獲得してきました。実際に日本の天皇家をはじめとする世界各国の王侯貴族、音楽家や小説家など歴史に名を遺す偉人たちが顧客として名を連ねています。
ロレックスはやや後発ながら、1926年には防水を備えるオイスターケース、1931年には全方向高回転式ローターによる自動巻き機構であるパーペチュアルなど、時計技術の革新に大きく貢献してきました。歴史の長さよりも、実用性と技術革新で評価されているのが特徴と言えるでしょう。
両ブランドは創業からの年数は異なりますが、どちらも自社の哲学を貫き、時計界をリードし続けているという点では共通しています。パテックフィリップが伝統とエレガンスを、ロレックスが革新と実用性を重視してきたというブランドの方向性の違いが、創業の経緯からも感じ取れます。
パテックフィリップは世界3大時計メーカーの一つでありスイス時計の頂点
パテックフィリップは、ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマピゲとともに「世界3大時計メーカー」と呼ばれ、その中でも頭一つ抜きんでた存在として認識されています。これらのブランドは、高い知名度はもちろん、長年にわたって最高級の時計を作り続けてきた伝統、そして高いステータス性と格式を持っている点が「3大時計メーカー」と称される理由です。
パテックフィリップの最大の特徴は、その卓越した品質と美術工芸品レベルの造形・仕上げにあります。スイス時計製造の伝統を重んじながらも、時代に合わせた革新的技術の開発を続け、創業以来100以上の特許技術を取得しています。パテックフィリップの時計は、アンティーク市場でも別格の扱いを受け、オークションの花形としても知られています。
同社は独立、伝統、革新、品質と精緻な仕上がり、希少性、付加価値、美、サービス、思い入れ、継承という10の価値を体現していると言われます。また、大手ブランドが企業グループに属する傾向がある中、パテックフィリップはどのグループにも属さない独立した経営を維持しているのも大きな特徴です。
パテックフィリップが手がける時計は、高級腕時計の中でも最高峰の価格帯に位置しています。これは生産数の少なさや製造工程の手作業の多さ、そして長い歴史の中で培われた価値によるものです。1990年代後半には、3万ドル(約448万円)のパテックフィリップがオークションで3000~5000ドル(約45万〜75万円)ほどで落札されていた時期もありましたが、現在では大幅に価値が上昇しています。
そのステータス性の高さから、パテックフィリップは「一度は手にしてみたい憧れのブランド」として多くの時計ファンの心を掴んでいます。単なる時計を超えた、美術品または資産としての側面も強く持ち合わせているのが、パテックフィリップの大きな魅力と言えるでしょう。
ロレックスは圧倒的知名度と実用性の高さが特徴的
ロレックスの最大の特徴は、その圧倒的な知名度です。時計に詳しくない人でも「ロレックス」の名前は聞いたことがあるというほど、世界中で高い認知度を誇っています。この知名度は単なる人気だけではなく、ブランドとしての信頼性と品質の高さに裏打ちされたものです。
ロレックスの時計は、華美な装飾を抑えたシンプルでオーソドックスなデザインが特徴的です。しかし、そのシンプルさの中にも洗練された美しさがあり、男女問わず、あらゆる年代から支持されています。また、堅牢性や実用性においては多くのブランドの中でも群を抜いて高いという評価を受けています。
時計専門店スタッフによれば、「最も安心して提案できるブランド」がロレックスだと言います。その理由は頑丈さや時刻の正確さが他のブランドを凌駕するほど優れており、普段使いに最も適しているからです。さらに、メンテナンス性も優れており、数十年前のモデルであっても比較的容易にメンテナンスが可能で、古いヴィンテージモデルでも十分に精度を発揮し続けることができます。
ロレックスのラインナップは、エントリーゾーンのオイスターパーペチュアル、ミドルレンジのデイトジャスト、ハイエンドのデイデイト、スポーティなプロフェッショナルモデルなど多岐にわたります。このように幅広い価格帯と用途に合わせたモデル展開が、様々な層からの支持を集める要因となっています。
近年、ロレックスの人気は一層高まり、特に2020年代初頭には市場で品薄状態が続き、定価以上のプレミアム価格で取引されるケースも多くありました。これにより新たな投資対象としても注目を集めるようになりました。また、数十年前に生産終了したモデルが、当時の数十万円から数千万円、場合によっては数億円という驚異的な価格で取引されることもあります。
このように、ロレックスは単なる時計としての機能性だけでなく、社会的ステータスや資産価値としての側面も持ち合わせており、それが長年にわたる人気の秘密となっています。
両ブランドの年間生産本数には約20倍の差がある
ロレックスとパテックフィリップの大きな違いの一つに、生産本数の差があります。パテックフィリップの年間生産本数は推定で約6万本と言われています。一方、ロレックスの年間生産本数は2022年時点で推定120万本とされており、パテックフィリップの約20倍もの差があるのです。
この生産本数の違いは、両ブランドの位置づけや製造哲学の違いを反映しています。パテックフィリップは希少価値を重視し、限られた数の時計を最高の品質で作り上げることに注力しています。一方のロレックスは、高品質を維持しながらも比較的多くの製品を世に送り出し、より多くの人が手にできるブランドとしての立ち位置を確立しています。
生産本数の違いは当然ながら市場での入手のしやすさにも影響します。パテックフィリップの時計、特に人気モデルは入手が非常に困難な場合が多く、正規販売店では長い待機リストに名前を連ねることになります。ロレックスも人気モデルは入手困難ですが、パテックフィリップと比較すればやや入手しやすいと言えるでしょう。
また、生産本数の違いは価格形成にも影響を与えています。パテックフィリップの時計は、その希少性から高値で取引される傾向があります。ロレックスも人気モデルは正規価格を大きく上回る価格で取引されることがありますが、全体的な価格帯はパテックフィリップよりも低く設定されています。
これらの違いは、購入を検討する際の重要なポイントになります。パテックフィリップを選ぶなら、希少な芸術品を所有するという意識で長期的な視点を持つことが大切です。一方、ロレックスは相対的に入手しやすく、日常使いの実用性も高いため、最初の高級時計としても選びやすいブランドと言えるでしょう。
生産本数の差は、単なる数字の違いだけではなく、両ブランドの哲学や市場での位置づけを端的に表しているのです。
パテックフィリップは熟練職人による完全マニュファクチュール製法
パテックフィリップの特筆すべき特徴の一つが、完全なマニュファクチュール(自社一貫生産)体制を堅持していることです。時計業界ではグループ再編化が進み、複数のブランドが一つのグループに属する傾向がありますが、パテックフィリップはどのグループにも属さない垂直統合した生産体制を貫いています。
自社に研究開発部門を持ち、ケースからムーブメントに至るまで、完全に自社で開発から製造までを行う体制を整えています。現代では多くの工程が機械やロボットによるオートメーション化が進んでいますが、パテックフィリップでは細かなパーツの仕上げやアッセンブリーなどの工程は今なお熟練の職人の手作業で行われています。
例えば針一本をとっても、一般的に行われている金属の板から型抜きする方法ではなく、多くは金の塊から削り出すという手法を取っています。このような手間のかかる製造方法は、時計に芸術品としての価値を与え、唯一無二の存在感を生み出しています。
このような製造方法は当然ながら生産効率に制限をかけることになり、年間生産本数が限られる要因となっています。また、細部にわたる手作業は製造コストを高める要因ともなり、それが価格にも反映されています。
しかし、このような伝統的な製造方法と品質へのこだわりがあるからこそ、パテックフィリップの時計は世代を超えて受け継がれる価値を持ち続けています。同社の有名なスローガン「You never actually own a Patek Philippe. You merely look after it for the next generation.(パテックフィリップを所有することは決してありません。次の世代のために、あなたが守っているだけなのです)」は、このブランドの哲学を端的に表現しています。
このような完全マニュファクチュールによる製造哲学は、パテックフィリップの時計に他のブランドにはない独特の価値と魅力を与えており、世界中の時計愛好家を魅了し続けているのです。
ロレックスは性別や世代を問わない幅広い人気層を持つ

ロレックスの大きな強みの一つに、性別や世代を問わない幅広い人気層を持っていることが挙げられます。男性や女性といった性別の垣根を越え、ミドル層やシニア層など年代も幅広く支持を集めています。
この幅広い支持の背景には、ロレックスが展開する多様なコレクションがあります。エントリーレベルのオイスターパーペチュアルからミドルレンジのデイトジャスト、ハイエンドのデイデイト、そしてスポーティなプロフェッショナルモデルまで、さまざまな価格帯と用途に合わせたラインナップを揃えているのです。
また、サイズバリエーションも豊富で、例えばオイスターパーペチュアルは41ミリの大きめサイズから36ミリのミドルサイズ、31ミリのレディースサイズまで幅広く展開しています。文字盤カラーも豊富なバリエーションを持ち、使う人の好みやスタイルに合わせた選択が可能です。
ロレックスの時計はデザイン面でも、華美な装飾を排したシンプルでオーソドックスなスタイルを基調としています。このシンプルさが年齢や性別を問わず受け入れられやすく、またファッションや時代の変化にも左右されにくいという特徴を持っています。つまり、長く使い続けられる「タイムレス」なデザインと言えるでしょう。
さらに、ロレックスの時計は実用性にも優れています。頑丈さや防水性、精度の高さなど、日常使いに適した機能性を持ち合わせているため、特別な場だけでなく日々の生活の中で使用できるのも大きな魅力です。
このように、ロレックスは幅広い層に支持される「万人受け」するブランドとしての側面を持っていますが、それは単に無難というわけではありません。むしろ、誰もが認める確かな品質と価値を持ち、長い歴史の中で培われた信頼性があるからこそ、様々な人々から支持を受けているのです。
その結果、初めて高級時計を購入する人にとっても、複数の高級時計を所有するコレクターにとっても、ロレックスは常に候補に挙がるブランドとなっているのです。

ロレックスとパテックフィリップの人気モデルと資産価値
- パテックフィリップのノーチラスは市場で最も品薄と言われている
- ロレックスのデイトナは話題性と資産価値の高さで注目されている
- アクアノートとロイヤルオークはラグジュアリースポーツウォッチの代表格
- 高級時計市場は2023年以降価格下落が続いている状況
- 投資としての時計購入は長期的視点が重要である
- オーデマピゲやヴァシュロンコンスタンタンも候補として検討する価値がある
- まとめ:ロレックスとパテックフィリップはそれぞれの特徴と価値観で選ぶべき
パテックフィリップのノーチラスは市場で最も品薄と言われている
パテックフィリップの「ノーチラス」は、現在の高級時計市場において最も品薄で入手困難なモデルの一つとして知られています。特に、2022年に生産終了となったステンレススティール製の3針モデル「Ref.5711/1A-010」は、入手が極めて困難な「幻の時計」となっています。
ノーチラスは1976年に誕生したモデルで、パテックフィリップとしては珍しいスポーティなデザインが特徴です。八角形を基調としたベゼル、水平方向のエンボス加工を施した文字盤、そしてブレスレットとケースが一体となったデザインは、発表当時から大きな話題を呼びました。
その人気は年々高まり、特に2010年代後半から急激に上昇。正規価格での購入は長い待機リストに名前を連ねる必要があり、中古市場では正規価格の数倍、場合によっては10倍近い価格で取引されることもあります。特に、生産終了が発表された後はさらに価格が高騰しました。
ノーチラスの魅力は、スポーティでありながらも高級感を併せ持つデザインにあります。カジュアルな装いにも、フォーマルな場面にも違和感なく馴染むという柔軟性も人気の理由です。また、パテックフィリップというブランドの持つ高い格式と技術力が、このスポーツモデルにも十分に表現されている点も見逃せません。
現在、ノーチラスは基本的な3針モデル以外にも、クロノグラフ機能を搭載した「Ref.5980」、ワールドタイム機能を備えた「Ref.5990」、年次カレンダー機能を備えた「Ref.5726」など、様々なバリエーションが展開されています。これらのモデルも高い人気を誇り、市場では高値で取引されています。
ノーチラスの品薄状態は、パテックフィリップの生産哲学と市場の高い需要の両面から生じています。限られた生産本数で最高品質を維持するというブランドの姿勢と、世界中のコレクターからの熱い支持が、この状況を生み出しているのです。
そのため、ノーチラスの購入を検討する場合は、正規販売店との良好な関係構築や、信頼できる中古時計専門店の利用など、慎重なアプローチが必要となります。また、購入後の価格変動にも注意を払い、あくまでも長期的な視点で所有することが望ましいでしょう。
ロレックスのデイトナは話題性と資産価値の高さで注目されている

ロレックスの「コスモグラフ・デイトナ」は、同社の中でも特に人気の高いクロノグラフモデルです。1963年に初代モデルが誕生して以来、「クロノグラフの王様」とも呼ばれるほどの圧倒的な支持を集めています。
デイトナの人気は、その洗練されたデザインと高い機能性に裏打ちされています。ヘアラインとポリッシュを組み合わせた仕上げは、スポーティさと上品さを兼ね備え、様々なシーンで活躍します。3つのサブダイヤルを備えたクロノグラフ機能は、実用性と視認性を両立させており、時計としての完成度の高さを物語っています。
特に注目すべきは2016年に発表されたRef.116500LNモデルです。セラミック製ベゼルを採用したこのモデルは発売と同時に大きな話題を呼び、正規店での入手は極めて困難な状況が続いています。ブラックとホワイトの2種類の文字盤が用意されていますが、どちらも高い人気を誇っています。
デイトナの資産価値の高さも特筆すべき点です。正規価格が約150万円程度のところ、中古市場では300万円前後、場合によってはそれ以上の価格で取引されることも珍しくありません。特にヴィンテージモデルの中には、数千万円という驚異的な価格で取引されるものもあります。
例えば、ポール・ニューマンが愛用していたとされるデイトナ「ポール・ニューマン」モデルは、2017年のオークションで約20億円という記録的な価格で落札されました。これは時計のオークション史上最高額を記録し、デイトナの持つ伝説的なステータスを象徴する出来事となりました。
デイトナの魅力は、その歴史性にもあります。当初はモータースポーツのタイミング計測のために開発されたという背景や、自社製クロノグラフムーブメントの搭載など、時計愛好家を惹きつける要素が数多く存在します。2000年に自社製クロノグラフムーブメントの開発に成功してからは、その完成度がさらに高まりました。
このようにデイトナは、デザイン、機能、歴史、そして資産価値という多面的な魅力を持ち合わせており、ロレックスを代表するモデルとして今後も不動の人気を維持し続けるでしょう。購入を検討する際は、長期的な視点で所有することを前提に、信頼できる販売店から入手することをおすすめします。
アクアノートとロイヤルオークはラグジュアリースポーツウォッチの代表格
高級時計の世界で、「ラグジュアリースポーツウォッチ」というカテゴリーが存在します。これは高級感とスポーティさを併せ持つ時計で、パテックフィリップの「アクアノート」とオーデマピゲの「ロイヤルオーク」はそのカテゴリーを代表する存在です。
パテックフィリップの「アクアノート」は、1997年に発表されたモデルで、「ノーチラス」と並ぶ同社のスポーツウォッチとして高い人気を誇っています。丸みを帯びた八角形のケースデザインは「ノーチラス」からインスピレーションを得たものであると、ブランド自身も認めています。「ノーチラス」が生産終了となった現在、同様のデザイン哲学を持つ「アクアノート」への注目度は一層高まっています。
特にアクアノートの特徴的なのは「トロピカルバンド」と呼ばれるラバーストラップです。これは一般的なラバーとは異なる、牽引耐性や紫外線耐性に優れた独自開発のハイテク・コンポジット素材を使用しています。この素材は着け心地が良く、アクティブなシーンでも快適に使用できるという利点があります。
一方、オーデマピゲの「ロイヤルオーク」は1972年に発表された、ラグジュアリースポーツウォッチの先駆けとも言える存在です。当時の時計界の常識を覆す八角形のベゼルと一体型のブレスレットを特徴とし、発表当初は賛否両論を巻き起こしましたが、今では同社の代表モデルとして不動の地位を確立しています。
ロイヤルオークの魅力は、その独特のデザインだけでなく、細部への徹底したこだわりにもあります。八角形のベゼルには8本の六角ネジが配置され、文字盤には「タペストリー」と呼ばれる独特のギョーシェ模様が施されています。これらの要素は、工業的な印象と高級感を絶妙に融合させ、唯一無二の存在感を生み出しています。
これらのラグジュアリースポーツウォッチは、従来の高級時計の概念を覆し、カジュアルなシーンでも高級時計を楽しむという新しいライフスタイルを提案しました。現代では、このカテゴリーは高級時計市場の中でも特に人気が高く、多くのブランドが似たコンセプトのモデルを発表しています。
アクアノートとロイヤルオークを検討する際は、単にトレンドに乗るだけでなく、それぞれの時計が持つ歴史的背景やデザイン哲学を理解した上で、自分のライフスタイルに合ったモデルを選ぶことが大切です。また、いずれも入手困難なモデルが多いため、正規販売店との関係構築や、信頼できる中古店の利用など、入手経路についても慎重に検討する必要があります。
高級時計市場は2023年以降価格下落が続いている状況

現在、高級時計市場、特にロレックスやパテックフィリップ、オーデマピゲなどの人気ブランドの中古品価格は下落傾向にあります。モルガン・スタンレーのアナリストと市場調査プラットフォームのウォッチチャーツによれば、この下落傾向は今後も続くと予想されています。
この価格下落の背景には、いくつかの要因があります。まず、景気懸念や仮想通貨の急落などの経済的要因が挙げられます。2021年頃に急騰した高級時計の中古価格は、その後の経済環境の変化により調整局面に入ったと言えるでしょう。
また、供給過多の状況も価格下落に影響しています。ウォッチチャーツ・オーバーオール市場指数は2023年前半に約5%低下しました。この指数は上位10ブランドの取引額が最も高い60モデルの時計を追跡するものです。中古市場の総供給は減少し始めているものの、全体の在庫水準は依然として高い状態にあるとされています。
しかし、興味深いことに、多くの高級ブランド時計は依然として小売価格よりも高値で取引されています。これは、需要が供給を上回る状況が続いており、正規店が順番待ちリストに頼らざるを得ないためです。ただし、店頭価格の上昇と二次流通市場価格の下落に伴い、小売価格以下で取引される時計の数も増えてきています。
具体的には、ロレックスでは89モデルの時計が小売価格より高値で取引されています。パテックフィリップでは43モデル、オーデマピゲでは34モデルが小売価格を上回る状態です。このデータは、価格下落が進んでいるとは言え、依然として人気モデルへの需要は高いことを示しています。
こうした市場の変化は、時計コレクターや投資家にとっては重要な意味を持ちます。価格が下落している現在は、これまで高すぎて「時計という列車」に乗れなかった人々にとって、購入の好機が訪れているとも言えるでしょう。「真の愛好家」にとっては、崩壊局面こそチャンスが多いとされています。
ただし、将来的な価格動向については予測が難しい面もあります。世界的な経済状況によっては、高インフレに転じない限り、ラグジュアリー市場は深刻な不況に陥る可能性もあるとの見方もあります。この10年間で急拡大した超高級志向が、資金不足で維持できなくなる可能性も考慮する必要があります。
時計購入を検討する際には、こうした市場動向を踏まえつつも、単なる投資対象としてではなく、本当に欲しいと思える時計を選ぶことが大切です。価格変動に一喜一憂するのではなく、長期的な視点で時計と向き合うことで、真の愛好家としての喜びを得ることができるでしょう。
投資としての時計購入は長期的視点が重要である
高級時計、特にロレックスやパテックフィリップなどの一部のモデルは、「投資」としての側面を持ち合わせていることは事実です。しかし、時計を純粋な投資対象として見る場合、いくつかの重要なポイントを理解しておく必要があります。
まず第一に、時計投資は長期的視点が不可欠です。短期的な値上がりを期待して購入するのはリスクが高いと言えるでしょう。例えば、1990年代後半には3万ドル(約448万円)のパテックフィリップがオークションで3000~5000ドル(約45万〜75万円)ほどで落札されていた時期がありました。これは長期投資家にとって絶好の機会でしたが、当時はそれを予測することは困難だったでしょう。
第二に、時計市場のサイクルを理解することが重要です。時計市場も他の投資資産と同様に、ブーム、バブル、崩壊というサイクルを経ます。価格がロケットのように急上昇したかと思えば、石のように落ちることもあります。現在の市場は「石のように落ちている」段階にあると言われています。このようなサイクルを理解し、「逆張り」の発想で、価格が下落しているときこそ購入のチャンスと捉えることも一つの戦略です。
第三に、すべての時計が投資に適しているわけではないという点です。投資価値が高いのは、限定生産モデルやディスコンティニューモデル(生産終了モデル)、特に人気の高いブランドの代表的モデルなどに限られます。例えば、パテックフィリップの「ノーチラス」やロレックスの「デイトナ」などが該当します。
また、時計への投資を考える際には、金融投資と比較することも有益です。例えば、同じ1990年代後半には、アップル株が(株式分割調整後で)1株数ドルで買えたという事実もあります。投資パフォーマンスという観点では、株式市場のほうがさらに大きなリターンを得られた可能性もあるのです。
さらに、時計コレクターの心理も理解しておく必要があります。多くのコレクターは「どうしようもないコレクター」であり、ビットコインを手放さない「ホドラー(長期保有者)」のように、自分の宝物をどんな大金を積まれても売る気になれないという特性があります。このような心理は、時計の資産価値を現実化するためには売却が必要という事実と相反する場合があります。
結論として、時計を投資対象として見る場合でも、その時計自体を本当に気に入っていることが重要です。価値が上がらなくても満足できる、自分が本当に欲しいと思う時計を選ぶことが、長期的には最も賢明なアプローチと言えるでしょう。そして、時計市場の動向に注目しつつも、短期的な価格変動に一喜一憂するのではなく、時計との長い付き合いを楽しむ姿勢が大切です。
オーデマピゲやヴァシュロンコンスタンタンも候補として検討する価値がある

高級時計を検討する際、ロレックスとパテックフィリップは常に候補に挙がりますが、他にも非常に価値のあるブランドが存在します。特に、オーデマピゲとヴァシュロン・コンスタンタンは、パテックフィリップとともに「世界3大時計メーカー」と称されるブランドであり、検討に値する選択肢です。
オーデマピゲは1875年に創業した老舗ブランドで、卓越した技術力と革新的なデザインで知られています。同社の代表モデル「ロイヤルオーク」は、既に述べたようにラグジュアリースポーツウォッチの先駆けとして時計史に名を刻んでいます。また、超複雑機構の開発にも積極的で、高度な時計技術の追求という点ではパテックフィリップに劣らない実力を持っています。
オーデマピゲの「ロイヤルオーク」シリーズは、特に41mmサイズの「Ref.15400」や、クロノグラフ機能を搭載した「Ref.26320」などのモデルが人気です。また、よりスポーティな「ロイヤルオークオフショア」シリーズも、ダイバーモデルやクロノグラフモデルなど多彩なバリエーションで人気を集めています。
一方、ヴァシュロン・コンスタンタンは1755年創業の、時計メーカーとしては世界最古の歴史を持つブランドです。「芸術としての時計製造」を掲げ、伝統的な時計製造技術を守りながらも、洗練されたデザインと高い技術力で世界中の時計愛好家を魅了し続けています。
同社の代表モデルには、クラシカルなデザインの「パトリモニー」シリーズや、スポーティエレガントな「オーバーシーズ」シリーズなどがあります。特に「オーバーシーズ」は近年人気が高まっており、ラグジュアリースポーツウォッチとしてロイヤルオークやノーチラスに続く第三の選択肢として注目されています。
これらのブランドを検討する際の利点としては、ロレックスやパテックフィリップの人気モデルと比較して、相対的に入手しやすい場合があることが挙げられます。特にヴァシュロン・コンスタンタンは、同等の品質と歴史を持ちながらも、パテックフィリップほどの価格高騰を経験していないため、価値に見合った購入ができる可能性があります。
また、これらのブランドはそれぞれ独自の哲学とデザイン言語を持っているため、自分の美的感覚やライフスタイルに最も合ったブランドを選ぶことができるというメリットもあります。オーデマピゲのスポーティかつ前衛的なデザイン、ヴァシュロン・コンスタンタンの優雅で伝統的なスタイルなど、それぞれに異なる魅力があります。
高級時計を検討する際には、単に名前や人気だけで判断するのではなく、各ブランドの歴史や哲学、デザインの特徴を理解した上で、自分自身が本当に気に入るブランドを選ぶことが大切です。そうすることで、長い年月をかけて育む、時計との深い関係を築くことができるでしょう。

まとめ:ロレックスとパテックフィリップはそれぞれの特徴と価値観で選ぶべき
最後に記事のポイントをまとめます。
- ロレックスは1905年創業、パテックフィリップは1839年創業と、歴史の長さに約66年の差がある
- パテックフィリップは世界3大時計メーカーの一角で、美術工芸品レベルの仕上げと技術力が特徴
- ロレックスは圧倒的な知名度と実用性、メンテナンス性の高さを誇る
- 年間生産本数はロレックスが約120万本、パテックフィリップが約6万本と20倍の差がある
- パテックフィリップは完全マニュファクチュール体制で、熟練職人による手作業を重視している
- ロレックスは幅広い価格帯のモデル展開で、性別や世代を問わない支持を集めている
- パテックフィリップの「ノーチラス」は市場で最も品薄と言われ、特に生産終了した5711/1A-010モデルは幻の時計となっている
- ロレックスの「デイトナ」は特に人気が高く、正規価格の2倍以上で取引されるケースも多い
- アクアノートとロイヤルオークはラグジュアリースポーツウォッチの代表格として高い評価を得ている
- 高級時計市場は2023年以降価格下落が続いているが、依然として多くのモデルが小売価格以上で取引されている
- 時計投資は長期的視点が重要で、短期的な値上がりを期待するのはリスクが高い
- オーデマピゲやヴァシュロン・コンスタンタンも世界3大時計メーカーとして検討する価値がある
- 高級時計選びは、ブランドの名前や人気だけでなく、自分のライフスタイルや価値観に合ったものを選ぶことが重要
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://forbesjapan.com/articles/detail/77910
- https://www.renzu.jp/blog/column/patekphilippe-rolex/
- https://www.hodinkee.jp/articles/first-id-buy-a-patek-then-a-rolex-but-id-save-some-money-for-the-bunny
- https://www.chrono24.jp/magazine/%E3%83%91%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97-vs-%E3%83%AD%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%EF%BC%9A%E6%86%A7%E3%82%8C%E3%81%AE%E9%AB%98%E7%B4%9A%E3%83%96-p_140245/
- https://news.yahoo.co.jp/articles/0837d76d35afe59ab272bb54eaf485cf46a75ece
- https://the-owner.jp/archives/14931
- https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-07-25/RYCJN1T0G1KW01
- https://doleinstitute.org/
- https://www.gmt-j.com/html/kaitori/wanted.html
- https://www.amazon.co.jp/%E7%99%BE%E5%B9%B4%E8%85%95%E6%99%82%E8%A8%88the-original%E2%80%95%E6%9C%AC%E7%89%A9%E3%81%AE%E3%83%AD%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%80%81%E3%83%91%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97-%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A0%E3%83%83%E3%82%AF-640/dp/4846526402