ロレックスのデイトジャストは、1945年に発表されて以来、長年にわたって愛され続けているモデルです。特に4桁リファレンスナンバーの「1601」と「1603」は、1960年代から1970年代にかけて製造された人気の高いヴィンテージモデルとして知られています。一見すると似ているこの2つのモデルですが、実はベゼルの素材やデザインに違いがあり、それぞれに異なる魅力を持っています。

本記事では、ロレックス1601と1603の違いを徹底的に解説します。ベゼルの素材やデザインの違いだけでなく、製造時期や文字盤のバリエーション、現在の中古市場での評価まで、幅広い観点から比較していきます。デイトジャストの購入を検討している方や、すでに所有している方にとって有益な情報をお届けします。
記事のポイント!
- ロレックス1601と1603の最大の違いはベゼルの素材とデザイン
- 両モデルの製造年代と歴史的背景、市場での現在価値
- ヴィンテージデイトジャストの魅力とレア個体の特徴
- 購入や売却時に気をつけるべきポイントと相場観
ロレックス1601と1603の違いとは?基本的なポイント解説
- ロレックス1601と1603の最大の違いはベゼル素材とデザイン
- ロレックス1601はホワイトゴールドベゼルで上品な輝きが魅力
- ロレックス1603はステンレスベゼルでスポーティな印象に
- 初期モデルには「コインエッジベゼル」という希少な特徴がある
- ムーブメントの機能面では大きな違いがない共通点
- 両モデルとも長く愛される理由となる時代を超えた洗練されたデザイン
ロレックス1601と1603の最大の違いはベゼル素材とデザイン

ロレックス1601と1603の最も明確な違いは、ベゼルの素材とデザインにあります。1601は18Kホワイトゴールド製のフルーテッドベゼルを採用しているのに対し、1603はステンレススチール製のエンジンターンドベゼル(ギザギザベゼル)を特徴としています。
フルーテッドベゼルとは、放射状に溝が刻まれたデザインで、光の当たり方によって美しく輝きます。一方、エンジンターンドベゼルは、ステンレス素材に均一な模様が刻まれており、より控えめな輝きが特徴です。
デザインの違いは見た目だけでなく、時計全体の印象にも大きく影響します。1601のフルーテッドベゼルはより格式高く華やかな印象を与えるのに対し、1603のエンジンターンドベゼルはややカジュアルでスポーティな雰囲気を醸し出します。
興味深いことに、当初1603は1601の廉価版として登場したモデルとされていましたが、現在の中古市場ではどちらも同程度の価値で取引されています。これはそれぞれのデザインに独自の魅力があり、どちらも愛好家から高い評価を得ているためです。
スウィートロードのスタッフブログによると、「素材が違うのできらめき方が違います。つまり!キラキラと輝きたい方はref.1601!ひっそりと輝きたい僕の様な方はref.1603をオススメします!」と紹介されており、個人の好みによって選ぶことができる点も魅力です。
ロレックス1601はホワイトゴールドベゼルで上品な輝きが魅力
ロレックス1601の最大の特徴は、18Kホワイトゴールド製のフルーテッドベゼルにあります。このベゼルは光を反射する独特の角度を持ち、他のどのモデルとも一線を画す上品な輝きを放ちます。
フルーテッドベゼルは、ロレックスの中でも特にデイトジャストを象徴するデザイン要素として知られています。その優雅さと高級感から、正装の場にもふさわしいモデルとして長年愛されてきました。
独自調査の結果、1601はステンレススチールケースとホワイトゴールドベゼルの組み合わせが最も流通量が多いとされています。このコンビネーションはシルバーダイヤルと組み合わされることが多く、クラシックな印象のデイトジャストとして人気があります。
1601の生産数は1603よりも多かったとされており、現在でも中古市場での流通量は1601の方が多い傾向にあります。そのため、状態の良い個体を比較的見つけやすいという利点もあります。
また、1601には様々な文字盤のバリエーションが存在し、シルバーや黒だけでなく、経年変化によってブラウンやグレーに変色した「トロピカルダイヤル」などのレア個体も存在します。これらの特殊な文字盤は、コレクターから高い評価を受けており、希少価値が高いとされています。
ロレックス1603はステンレスベゼルでスポーティな印象に
ロレックス1603の最大の特徴は、ステンレススチール製のエンジンターンドベゼルです。このベゼルは「ギザギザベゼル」とも呼ばれ、均一に刻まれた模様が特徴的です。1601のフルーテッドベゼルと比較すると、光の反射が控えめで、よりカジュアルな印象を与えます。
1603は、ステンレス素材のベゼルを採用することで耐久性に優れており、日常使いに適したモデルとなっています。スポーティーな印象もあるため、ビジネスカジュアルからカジュアルシーンまで幅広く活躍する時計です。
買取エリートの情報によると、1603は1977年から1988年まで製造されたとされています。この期間中に「デイト早送り機能」が追加されるなどの技術的進化も見られました。この機能により、日付をより迅速に調整できるようになり、ユーザーの利便性が向上しました。
また、1603は1601に比べて製造数が少なかったとされており、現在では流通量が限られています。そのため、良好な状態の1603を見つけることは少し難しいかもしれませんが、その希少性から価値が高まる可能性もあります。
文字盤のバリエーションも1601同様に豊富で、特にミラーダイヤル(鏡面のような光沢を持つ文字盤)が経年変化した個体は、コレクターから高い評価を受けています。ブラックミラーダイヤルが特に人気が高く、状態の良いものは高値で取引されています。
初期モデルには「コインエッジベゼル」という希少な特徴がある
ロレックス1601と1603の初期モデルには、「コインエッジベゼル」と呼ばれる特徴的なベゼルデザインが存在します。このベゼルは、通常のフルーテッドベゼルやエンジンターンドベゼルよりもさらに細かい溝が刻まれており、その名の通り、コインの縁の刻まれた溝を思わせるデザインとなっています。
コインエッジベゼルは、1601と1603の生産初期にのみ見られる特徴で、現在では非常に希少価値が高いとされています。独自調査の結果、これらの初期モデルは製造時期が古く、数も少ないことから、ヴィンテージロレックスのコレクターにとって貴重なアイテムとなっています。
特に1603の初期モデルに見られる「バンブーベゼル」と呼ばれるタイプは、非常に珍しいとされています。スウィートロードのブログでは「このベゼルは初期の『ref.1603』にしかない珍しいベゼルになります」と紹介されており、その希少性が伺えます。
コインエッジベゼルの魅力は、その繊細なデザインにあります。通常のベゼルに比べて精緻な印象を与え、時計全体に高級感をもたらします。また、ポリッシュ(研磨)されると角が丸くなりやすいため、エッジの鋭さが残っているモデルはさらに価値が高まります。
現在の中古市場では、コインエッジベゼルを持つモデルは通常のモデルよりも高値で取引される傾向にあり、状態の良いものであれば60万円以上の価格がつくこともあります。ヴィンテージデイトジャストを選ぶ際には、このような希少な特徴にも注目してみると良いでしょう。
ムーブメントの機能面では大きな違いがない共通点

ロレックス1601と1603は、外観の違いが主な特徴ですが、ムーブメント(機械部分)に関しては大きな違いはありません。両モデルともに、主にCal.1570というムーブメントを搭載しています。このCal.1570は、ロレックスの名機として知られる信頼性の高いムーブメントです。
Cal.1570は、秒針5.5振動(1秒間に5.5回振動する)の自動巻き機構を持ち、精度と耐久性に優れています。また、1971年以降に製造されたモデルには、ハック機能(リューズを引いたときに秒針が止まる機能)が標準装備されるようになりました。これにより、より正確な時刻合わせが可能になりました。
ただし、製造時期によって若干の違いも存在します。初期のモデル(1960年代前半)には、Cal.1560というムーブメントが搭載されていることもあります。Cal.1560は、Cal.1570の前身となるムーブメントで、「バタフライローター」と呼ばれる特殊な形状の自動巻き機構を持っています。
また、1603の中には、後期モデル(1970年代後半以降)になるとデイト早送り機能が追加されたものも存在します。これは、リューズ操作によって日付だけを素早く変更できる機能で、特にビジネスマンや頻繁に日付調整をする必要がある方にとって便利な機能です。
ムーブメントの共通点として、両モデルとも非常に堅牢で、適切なメンテナンスを行えば何十年も問題なく動き続ける耐久性を持っています。そのため、現在でも40〜50年以上前のモデルが現役で使われているのは、このムーブメントの信頼性の高さを物語っています。
両モデルとも長く愛される理由となる時代を超えた洗練されたデザイン
ロレックス1601と1603が、製造終了から40年以上経った今でも高い人気を誇る理由は、時代を超越した洗練されたデザインにあります。36mmの適度なケースサイズは、現代の基準でも着用しやすく、性別や腕の太さを問わず幅広い層に対応します。
両モデルとも、ロレックスの代表的なデザイン要素を備えています。特徴的なオイスターケース、バーインデックス(または一部モデルではローマ数字)、そして3時位置の日付表示窓とサイクロップレンズは、現代のデイトジャストにも受け継がれている象徴的な要素です。
また、文字盤のデザインも時代を超えた普遍性を持っています。シルバーや黒を基調としたシンプルな文字盤は、どんなファッションにも馴染みやすく、長く愛用できる要素となっています。後期のモデルになると、ブルーやグレーなど、カラーバリエーションも増えていきました。
ジュビリーブレスレットも、デイトジャストの特徴のひとつです。細かいリンクが連なる独特のデザインは、着け心地の良さと高級感を両立させており、時計本体との調和も抜群です。オイスターブレスレットが付いたモデルもありますが、ジュビリーブレスレットとの組み合わせが最も多く見られます。
デイトジャスト自体がロレックスのアイコンであり、1601と1603はそのなかでもクラシックなデザインを確立したモデルです。FIREKIDS MAGAZINEでは「1601と聞くと、1980年代のバブル時代を彷彿させる18Kイエローゴールドのコンビケースをイメージする人がいると思うが、実際には様々なバリエーションがある」と紹介されており、バリエーションの豊富さも長く愛される理由のひとつと言えるでしょう。

ロレックス1601と1603の違いだけでなく選ぶ際のポイント
- デイトジャスト4桁モデルは1960年代〜1970年代後半の生産
- ロレックス1601と1603の買取相場は状態により大きく変動
- 文字盤バリエーションによって価値が変わる価格差
- オリジナルパーツが残っているほど高い評価につながる特徴
- 経年変化を楽しめるのがヴィンテージデイトジャストの魅力
- 16014など他の4桁デイトジャストモデルとの違いも知っておきたい
- まとめ:ロレックス1601と1603の違いは見た目だけでなく価値にも表れる
デイトジャスト4桁モデルは1960年代〜1970年代後半の生産
ロレックスデイトジャストの4桁リファレンスモデル(16xx)は、1960年から1978年頃にかけて製造されました。この時期のデイトジャストは、大きく前期型(1960〜65年頃)と後期型(1965〜78年)に分けられています。
前期型の特徴としては、アルファハンド(針)とくさび形インデックスが挙げられます。これは初代デイトジャストから引き継がれたデザイン要素であり、現在のデイトジャストとは異なる特徴的なスタイルとなっています。また、ムーブメントにはCal.1560が搭載されているモデルが多く見られます。
一方、後期型になると針やインデックスのデザインが変わり、現在のデイトジャストにも見られるバトン型の針とバーインデックスが主流になりました。ムーブメントもCal.1570へと進化し、さらに1971年頃からはハック機能(秒針停止機能)が標準装備されるようになりました。
HODINKEEの記事によると、4桁デイトジャストの生産終了時期については諸説あり、一部のロレゾール(ステンレスとゴールドのコンビネーション)やゴールドモデルは1987年頃まで製造されていた記録もあるとのことです。しかし、現存する個体の流通量から判断すると、1978年頃が4桁品番の区切りと考えるのが妥当とされています。
4桁デイトジャストの魅力は、現代のモデルにはない独特の風合いと歴史的価値にあります。特に、文字盤の色や針のデザイン、ベゼルの形状など、細部にわたって楽しめる要素が満載です。ヴィンテージウォッチならではの「一点物」としての価値も大きな魅力と言えるでしょう。
ロレックス1601と1603の買取相場は状態により大きく変動
ロレックス1601と1603の現在の買取相場は、コンディションや付属品の有無によって大きく変動します。一般的に、状態の良い個体であれば、1601も1603も40万円〜90万円程度で取引されています。
ギャラリーレアの情報によると、1601の中古市場における価格帯は約40万から198万円と幅広く、売れ筋価格は約67万円とされています。一方、1603の価格帯は約46万から280万円で、売れ筋価格は約90万円とのことです。このように、1603の方がやや高値で取引される傾向にありますが、これは1603の製造数が1601より少なかったことが一因と考えられます。
買取価格に影響を与える要素としては、以下のようなポイントが挙げられます:
- コンディション: ケースやベゼルの状態、特に研磨歴の有無が重要です。過度に研磨されたモデルは、オリジナルの形状が失われてしまうため評価が下がります。
- オリジナル部品: 文字盤や針、ベゼル、ブレスレットなどが当時のオリジナルのまま残っているかどうかが重要です。特に、トリチウム夜光が残っている針やインデックスは高く評価されます。
- ブレスレットの状態: オリジナルのブレスレットが残っており、伸びが少ないものほど価値が高まります。特に、Ref.6251H/FF55などの当時のジュビリーブレスレットが付属していると評価が上がります。
- 文字盤の特殊性: 通常のシルバーや黒の文字盤よりも、経年変化で独特の色味を帯びた「トロピカルダイヤル」や「スパイダーダイヤル」などの特殊な文字盤は高額で取引されます。
- 付属品: 箱や保証書、購入時の領収書など付属品がそろっているほど価値は高まります。
買取相場は時期や市場の動向によっても変動するため、売却を考える際には複数の買取店で査定を受けることをおすすめします。特に、ヴィンテージロレックスに詳しい専門店では、レア個体の価値を適正に評価してもらえる可能性が高いでしょう。
文字盤バリエーションによって価値が変わる価格差
ロレックス1601と1603の魅力のひとつに、豊富な文字盤バリエーションが挙げられます。文字盤の種類によって、時計の印象は大きく変わり、また価値にも差が生じます。
最も一般的な文字盤はシルバーカラーですが、その他にも黒、青、グレー、シャンパンゴールドなど様々な色が存在します。特に1970年代以降のモデルでは、カラーバリエーションが豊富になりました。
TIME ANAGRAMの情報によると、デイトジャストの文字盤には以下のような多様なタイプが存在します:
- サンバースト: 中心から放射状にヘアライン仕上げされた文字盤で、光の反射が美しい
- バーティカルヘアライン: 縦方向のヘアライン仕上げで、角度によって強く反射する
- リネン: 麻生地のような繊細な質感を持ち、リラックスした雰囲気を持つ
- ゴースト: ライトグレーのマット文字盤で、角度によって文字が見えなくなる効果がある
- ミラー: 鏡のような光沢を持つ文字盤で、経年変化で様々な色に変化する
特に希少とされるのが、黒のミラーダイヤルです。1960年代に製造されたミラーダイヤルは、経年変化によって茶色に変色した「トロピカルダイヤル」や、蜘蛛の巣のようにひび割れた「スパイダーダイヤル」になることがあり、これらは非常に価値が高いとされています。
FIREKIDS MAGAZINEによると、「シルバーダイヤルのダイヤルに対して、ブラックダイヤルの製造本数が圧倒的に少ない」とされており、特に状態の良いブラックミラーダイヤルは高額で取引されています。例えば、同じ1601でも、通常のシルバーダイヤルが40〜70万円程度で取引されるのに対し、状態の良いブラックミラーダイヤルは100万円以上の価値がつくことも珍しくありません。
また、非常に希少なものとしては、パウダーホワイト、パープルグレー、ロンドンスカイ(英国の曇り空に例えられる独特のグレー)などの特殊な色味の文字盤も存在します。これらは市場ではめったに見かけることがなく、発見された際には高額で取引される傾向にあります。
オリジナルパーツが残っているほど高い評価につながる特徴

ヴィンテージロレックスの価値を決める重要な要素の一つに、オリジナルパーツがどれだけ残っているかという点があります。製造から数十年が経過したデイトジャスト1601や1603では、メンテナンスや修理の過程で部品が交換されていることが少なくありません。
特に注目すべきは以下のパーツです:
- 文字盤: オリジナルの文字盤が残っているかどうかは非常に重要です。修理の際に文字盤が交換されたり、リダン(文字盤の塗り直し)されたりしていると、価値が大きく下がります。特に、トリチウム夜光材を使用した当時の文字盤は、経年変化による独特の風合いが魅力であり、新しい文字盤に交換されていると価値が半減することもあります。
- 針: 針もオリジナルであるかどうかが重要です。古いロレックスは夜光塗料にトリチウムという素材を使用していましたが、トリチウムの効力はおよそ12年で失われるため、発光しなくなった針を新しいものに交換されていることがあります。しかし、コレクターの間では、色が変化した元のトリチウム針のほうが価値が高いとされています。
- ベゼル: ベゼルも経年により傷がついたり磨耗したりするため、交換されていることがあります。特に1601のフルーテッドベゼルは細かな溝が特徴ですが、研磨によって溝が浅くなっていないか確認することが重要です。
- ブレスレット: 当時のオリジナルブレスレットが付いているかどうかも価値に大きく影響します。ブレスレットはクラスプ(留め具)部分に製造年を示す刻印があり、1976年以前の製造品は年代の下2桁が刻印されています(例:1972年製であれば「72」と記載)。当時のブレスレットであり、かつ伸びが少ないものほど価値が高いです。
Revalue News Mediaによると、「同じアンティークロレックスでも、見た目が綺麗で部品が変わっているモデルより、文字盤が焼けたり針が腐食していても、オリジナルに近いほうが価値がある」とされています。これは、ヴィンテージ時計の評価において、「オリジナリティ」が「美観」よりも重視される傾向があるためです。
購入を検討する際には、メンテナンス歴や交換部品の有無についてしっかりと確認し、可能であれば専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。そうすることで、適正な価格で価値のある個体を手に入れることができるでしょう。
経年変化を楽しめるのがヴィンテージデイトジャストの魅力
ヴィンテージデイトジャスト1601と1603の大きな魅力の一つは、時間とともに生まれる経年変化を楽しめる点にあります。新品の時計にはない、独特の味わいや風合いがヴィンテージウォッチの醍醐味と言えるでしょう。
特に文字盤は、経年変化が最も表れやすい部分です。例えば、元々黒色だった「ミラーダイヤル」と呼ばれる鏡面のような光沢を持つ文字盤は、紫外線などの影響で茶色に変色することがあります。この変色した文字盤は「トロピカルダイヤル」と呼ばれ、均一に美しく変色したものは非常に価値が高いとされています。
また、ミラーダイヤルの中には、ラッカー加工が経年によってひび割れた「スパイダーダイヤル」と呼ばれるものもあります。蜘蛛の巣のようなひび割れのパターンが美しいものほど評価が高まります。
グレーダイヤルが経年変化した「ゴーストダイヤル」も人気があります。これは文字盤上のロゴや文字が見えなくなったように見える独特の状態で、アプライドインデックスと王冠マークだけが際立って見える姿は、一見すると偽物のように思えるかもしれませんが、実はコレクターの間で珍重される特徴です。
インデックスや針に使用されていたトリチウム夜光塗料も経年変化を楽しめる要素の一つです。新品時は白色だったトリチウムは、時間の経過とともにクリーム色やベージュ色に変化します。この変化は「パティーナ」と呼ばれ、ヴィンテージウォッチの価値を高める重要な要素となっています。
ケースやブレスレットにも、使用による微細な傷や擦れが生じますが、これらもヴィンテージウォッチならではの「物語」の一部と捉えることができます。過度に研磨されていない、オリジナルの形状を保ったケースは、当時の製造技術や美学を伝える貴重な証拠でもあります。
ヴィンテージデイトジャストを選ぶ際には、これらの経年変化をどう評価するかという個人の価値観も重要になります。完璧に新品のような状態を求めるのではなく、時間が刻んだ独特の表情を魅力と感じられるかどうかが、ヴィンテージウォッチを楽しむ上での鍵となるでしょう。
16014など他の4桁デイトジャストモデルとの違いも知っておきたい

ロレックスの4桁デイトジャストには、1601と1603以外にも様々なバリエーションが存在します。これらのモデルを知ることで、1601と1603の位置づけや特徴をより深く理解することができます。
まず、Ref.16014は1970年代後半から1980年代にかけて製造されたデイトジャストで、ステンレススチールとホワイトゴールドのコンビモデルです。1601の後継モデルとも言えますが、より現代的な機能を備えています。具体的には、クイックセット機能(リューズを回すだけで日付を素早く変更できる機能)が追加され、使い勝手が向上しました。また、サファイアクリスタルを採用しているモデルもあり、耐傷性が向上しています。
Ref.1600はスムースベゼル(溝のないフラットなベゼル)を採用したデイトジャストです。1601や1603に比べると流通量が少なく、よりシンプルでスポーティーな印象を与えます。HODINKEEの記事によると、「36mmのスムースベゼルモデルは特例を除きExplorer Ref.1016と同様なので、スポーティで人気となる」とされています。
Ref.1625は「サンダーバード」または「ターノグラフ」と呼ばれる特殊なベゼルを持つモデルです。回転ベゼルが特徴で、時間の計測などが可能になっています。これはデイトジャストとスポーツモデルの中間的な存在として、独自の魅力を持っています。
4桁デイトジャストの中には、金無垢モデルも存在します。Ref.1601/8(イエローゴールド)やRef.1601/9(ホワイトゴールド)などがその例で、これらはケースからラグのシェイプが異なり、通常のステンレスモデルとは異なる高級感を持っています。HODINKEEによると、「金無垢モデルはケースからラグのシェイプが異なり、ラグ自体も穴なしの形状となる(SSはドリルラグ)」とされています。
また、文字盤のバリエーションも豊富で、特に1970年代後半には「ステラダイヤル」や「オニキスダイヤル」と呼ばれる特殊な文字盤が限定的に製造されました。これらは主に中東向けに作られたとされ、現在では非常に希少で高価なコレクターズアイテムとなっています。
これらの多様なバリエーションを知ることで、1601と1603というベーシックなモデルの位置づけや価値をより深く理解することができるでしょう。また、自分の好みや予算に合わせて、最適なデイトジャストを選ぶ際の参考にもなります。

まとめ:ロレックス1601と1603の違いは見た目だけでなく価値にも表れる

最後に記事のポイントをまとめます。
- ロレックス1601と1603の最大の違いはベゼルにある – 1601は18Kホワイトゴールド製フルーテッドベゼル、1603はステンレス製エンジンターンドベゼル
- 1601はより華やかで格式高い印象、1603はよりカジュアルでスポーティーな印象を与える
- 両モデルとも1960年代から1970年代後半にかけて製造された4桁リファレンスのデイトジャスト
- ムーブメントは主にCal.1570を搭載し、1971年以降のモデルにはハック機能が追加された
- 初期モデルには「コインエッジベゼル」と呼ばれる細かい溝のベゼルが存在し、希少性が高い
- 文字盤のバリエーションが豊富で、特にブラックミラーダイヤルやトロピカルダイヤルは価値が高い
- 現在の中古市場では1601も1603も同程度の価格帯で取引されている
- オリジナルパーツがそろっているほど評価が高く、特に文字盤や針が当時のまま残っているものが価値が高い
- 経年変化による独特の風合いはヴィンテージデイトジャストの魅力のひとつ
- 同じ4桁デイトジャストでも16014やその他のバリエーションモデルが存在する
- 購入する際は状態や希少性、オリジナル部品の有無などを総合的に判断することが重要
- 適切なメンテナンスを行えば、50年以上経過した今でも現役で使い続けることができる
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://www.g-rare.com/column/rolex-1601-1603-difference/
- https://kaitori-off.net/column/%E3%83%AD%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%AE%E9%AD%85%E5%8A%9B%E3%82%92%E5%86%8D%E7%99%BA%E8%A6%8B%EF%BC%81%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B9%E3%83%881601%E3%81%A81603/
- https://sweetroad.blog.jp/archives/23145852.html
- https://timeanagram.com/en/blogs/journal/1601-1603-datejust-dial-variation
- https://m.firekids.jp/00/2661/
- https://itosanki.com/wp-content/uploads/wysija/temp/index.php?x=entry:entry240625-071655
- https://www.hodinkee.jp/articles/the-date-has-changed
- https://brandrevalue.com/rnm/antique-rolex
- https://arbitro.shop/products/rolex-oyster-perpetual-datejust-1603
- https://www.nasecoseeds.net/shopdetail/402988915