ロレックスを長く使っていると、ベゼルが色あせたり傷ついたりして交換を検討することがあるでしょう。「正規店で交換すべきか」「費用はどれくらいかかるのか」といった疑問を持つ方も多いはずです。ベゼルはロレックスの顔とも言える重要なパーツであり、その交換は時計の見た目だけでなく機能性にも関わる重要な作業です。

ロレックスのベゼル交換は正規店で行うのが最も安心ですが、費用面や時間的な制約から自分で交換したいと考える方もいるでしょう。本記事では、ロレックスベゼルの交換を正規店に依頼する場合の費用相場や交換期間、交換できないケースなどを詳しく解説します。また、ベゼルの種類や自分で交換する方法についても触れ、ロレックスオーナーの皆さんが適切な判断ができるよう情報をまとめました。
記事のポイント!
- ロレックス正規店でのベゼル交換にかかる費用と期間
- ベゼル交換が正規店で断られるケースとその理由
- ロレックスのベゼルの種類と特徴
- 自分でベゼル交換をする際の方法と注意点
ロレックスのベゼル交換は正規店で安心して依頼できる
- ロレックスのベゼルとは文字盤を囲むリング状の重要パーツである
- ロレックスのベゼルには多様な種類が存在する
- ベゼル交換が必要になるケースは劣化や損傷時が一般的
- ベゼル交換で時計の雰囲気を一新することも可能
- ロレックス正規店でのベゼル交換は高品質だが費用はかかる
- 正規店での交換にかかる期間は約1ヶ月以上が目安である
ロレックスのベゼルとは文字盤を囲むリング状の重要パーツである
ベゼルとは、時計の風防(文字盤を覆うガラス部分)を囲むリング状のパーツのことです。単なる装飾ではなく、風防を固定して安定させ、時計内部にチリやホコリが入らないように保護する重要な役割を担っています。
ロレックスは特にベゼルのデザインや機能性にこだわっているブランドとして知られています。耐久性や防水性を高めるだけでなく、時計全体の印象を大きく左右する要素でもあります。
ベゼルは外部からの衝撃を受けやすい位置にあるため、長年使用していると傷がついたり色あせたりすることがあります。こうした経年劣化は避けられないものですが、ベゼルを交換することで時計を新品同様の状態に戻すことができます。
ロレックスのベゼルは交換可能な設計になっているため、損傷した場合でも修理が可能です。ただし、交換用のベゼルは通常一般販売されておらず、正規店での交換が基本となります。
正規店でのベゼル交換はオーバーホールと同様に、時計の価値や品質を保つための重要なメンテナンスの一環と言えるでしょう。
ロレックスのベゼルには多様な種類が存在する

ロレックスのベゼルは大きく2つのタイプに分けられます。機能性を重視したものとデザイン性を重視したものです。それぞれ特徴的なデザインや機能を持っており、モデルによって採用されているベゼルが異なります。
機能性重視のベゼル:
- 回転ベゼル: サブマリーナーやGMTマスターなどに採用されている回転するベゼル。潜水時間や第二時間帯の確認などに使用できます。
- タキメーターベゼル: コスモグラフデイトナに搭載されており、時速を測定する機能があります。
デザイン性重視のベゼル:
- ポリッシュドベゼル(スムースベゼル): 鏡面に仕上げられた最もスタンダードなベゼルです。
- フルーテッドベゼル: 縦縞のように見える山型がカットされたデザインで、ゴールドとプラチナモデルにのみ採用されています。
- エンジンターンドベゼル: 航空機のエンジンをモチーフにしたデザインで、2010年以前の旧型モデルに見られます。
- バーク仕上げベゼル: 樹皮のような不規則な模様が特徴で、1990年前半ごろの一部モデルに採用されていました。
- 宝飾ベゼル: ダイヤモンドなどの宝石が配置された高級モデル用のベゼルです。
これらのベゼルは時計の印象を大きく変えるため、モデル選びの重要な要素となっています。また同じモデルでもベゼルのタイプが異なるバージョンが存在する場合もあります。
ベゼル交換が必要になるケースは劣化や損傷時が一般的
ロレックスのベゼル交換が必要となるケースは主に以下の3つがあります。ベゼルに問題が発生すると、時計の性能低下や見た目の劣化につながるため、状況に応じた対応が求められます。
1. ベゼルがスムーズに回らなくなった場合 回転ベゼルを持つモデルでは、ベゼルの回転が鈍くなったり固くなったりすることがあります。これは内部の汚れや摩擦が原因であることが多く、オーバーホールで改善することもありますが、部品の摩耗が進んでいる場合はベゼル交換が必要になります。
2. ベゼルが変色している場合 ベゼルは紫外線の影響を受けやすく、長期間使用していると色あせや変色が生じます。特に目盛りが描かれているタイプのベゼルは、インクが消えて時刻が読みにくくなることもあります。美観を保ちたい場合や機能性に影響が出ている場合は交換を検討するタイミングです。
3. ベゼルに破損や深い傷がついた場合 落下や衝撃によってベゼルが破損したり、深い傷がついたりした場合も交換が必要になることがあります。小さな傷であれば研磨で修復できる場合もありますが、大きな破損や深い傷は交換が望ましいでしょう。
また、純粋に美観上の理由からベゼル交換を検討するケースもあります。長く使っているうちに細かい傷が蓄積されると、全体的に曇ったような印象になることがあります。こうした場合も、新しいベゼルに交換することで時計が生まれ変わったような印象になります。
ベゼル交換で時計の雰囲気を一新することも可能

ベゼル交換は単なる修理や修復だけでなく、時計の雰囲気を一新する手段としても注目されています。同じモデルでも異なるベゼルを装着することで、まるで別の時計のような印象に変えることができるのです。
例えば、GMTマスターⅡでは「ペプシ」(青赤ベゼル)、「バットマン」(青黒ベゼル)、「コーク」(赤黒ベゼル)など、ベゼルカラーの違いによって異なる愛称で呼ばれるバリエーションがあります。以前は同一リファレンス内でのベゼル交換が比較的容易でしたが、現在は規制が厳しくなっています。
ただし、純粋に見た目を変えたいという理由だけでのベゼル交換は、現在の日本ロレックスでは受け付けられない可能性が高くなっています。特に人気のあるベゼルカラーへの交換は難しい傾向にあります。
それでも、新しい時計を購入するよりも低コストで時計の印象を変えられるという点では、ベゼル交換は魅力的な選択肢です。まるで着せ替えのように時計を楽しむことができます。
ただし、交換するベゼルは必ず純正品を選ぶべきでしょう。社外品を使用すると、正規店での修理やオーバーホールを受け付けてもらえなくなる可能性があります。また、時計としての価値も下がってしまう可能性があります。
ロレックス正規店でのベゼル交換は高品質だが費用はかかる
ロレックス正規店でベゼル交換を依頼する場合、高品質なサービスを受けられる反面、それなりの費用がかかります。ベゼル交換にかかる費用は、大きく分けて「基本技術料」と「ベゼル交換工賃+部品代」の2つに分類されます。
基本技術料: 正規店ではベゼルを単純に交換するだけでなく、時計の分解・洗浄などのオーバーホール作業も行います。長年使用していると、ベゼルとケースの間にサビや汚れが蓄積され、新しいベゼルが適切にフィットしない恐れがあるからです。この基本技術料は製造年やモデルによって異なりますが、おおよそ5万円〜10万円程度となります。
ベゼル交換工賃+部品代: ベゼル自体の交換費用もモデルによって大きく異なります。標準的なベゼルで5万円程度から、宝飾ベゼルなどの特殊なタイプでは20万円以上かかる場合もあります。交換工賃と合わせると10万円〜25万円程度が目安となります。
総額の目安: 基本技術料とベゼル交換費用を合わせると、ベゼル交換の総額は15万円〜35万円程度になることが予想されます。ただし、これはあくまで一般的な目安であり、実際の費用はモデルや状態によって変動します。
また、2021年以降、日本ロレックスでは文字盤交換と同様に、ベゼル交換の際に旧ベゼルの返却料が発生するようになりました。ノーマルベゼルからノーマルベゼルへの交換では、旧ベゼルの返却料金に文字盤代金の40パーセントが追加で発生する場合があります。
高額な費用ではありますが、正規店でのベゼル交換は最高品質の仕上がりを保証し、時計の価値を維持するためには重要な投資と言えるでしょう。
正規店での交換にかかる期間は約1ヶ月以上が目安である
ロレックス正規店にベゼル交換を依頼した場合、完了までにはある程度の時間が必要です。一般的な目安としては約1ヶ月程度と言われていますが、状況によってはそれ以上かかることもあります。
交換にかかる期間は大きく分けて以下のプロセスで構成されています:
1. 見積もり期間: まず時計を預けると、技術者による詳細な点検が行われ、見積もりが作成されます。この段階で約2週間程度かかることが一般的です。
2. オーバーホールと交換作業: 見積もりに同意すると、ベゼル交換と合わせてオーバーホール作業が開始されます。時計は完全に分解され、部品の洗浄や必要に応じた交換が行われます。この作業には約1ヶ月程度かかります。
3. 最終検査: 組み立て後、時計は厳格な品質検査を受け、防水性能や精度などが確認されます。
ただし、世界的なロレックスの人気により、部品の供給不足が続いている状況です。特に特定のベゼルタイプやカラーは入手困難な場合があり、交換用の部品がすぐに見つからないこともあります。そのような場合、交換完了までに1ヶ月以上かかることもあるため、余裕を持ったスケジュール設定が必要です。
また、正規店によっては部品が入荷するまで時計本体を返却してくれる場合もありますが、基本的には作業が完了するまで時計は預けたままになります。長期間時計を手元に置いておきたい場合は、交換のタイミングを慎重に選ぶことをおすすめします。

ロレックスベゼル交換を正規店に依頼する際の詳細情報
- 正規店でベゼル交換を依頼する手順はシンプルである
- ベゼル交換の費用内訳は基本技術料と部品代に分かれる
- ロレックスベゼル交換が正規店で断られるケースには注意が必要
- GMTマスターとサブマリーナのベゼル交換は条件が異なる
- 同じリファレンス内でのカラー変更のみが原則可能である
- ベゼルの種類によって交換難易度と費用は大きく変わる
- まとめ:ロレックスベゼル交換を正規店で行うメリットは安全性と信頼性にある
正規店でベゼル交換を依頼する手順はシンプルである
ロレックス正規店でベゼル交換を依頼する手順は比較的シンプルです。流れを把握しておくことで、スムーズに交換を進めることができるでしょう。
1. 正規店または受付窓口に時計を持参する 日本国内では、全国の正規販売店または専用の受付窓口でベゼル交換を含む修理を受け付けています。東京に2店舗、大阪と広島にそれぞれ1店舗の計4店舗が専用窓口として機能しています。遠方の場合は郵送での依頼も可能です。
2. 時計の状態を点検してもらう 時計技術者が時計の状態を入念に点検し、必要な作業内容と費用の見積もりを作成します。この段階で交換可能かどうかの判断も行われます。
3. 見積もりの了承 提示された見積もりに納得した場合、作業開始の了承をします。見積もり金額に納得できない場合は、作業を断ることも可能です。費用は見積もり後に提示されるため、予想以上に高額になる場合があることも念頭に置いておきましょう。
4. 交換作業とオーバーホール 承諾後、時計はオーバーホールとベゼル交換作業に入ります。必要に応じて関連部品の交換も行われます。
5. 完成・受け取り 作業完了後、専用のポーチに入れられた時計と2年間有効な国際サービス保証書が返却されます。この保証には、技術料と必要に応じた部品交換が含まれます。
正規店でベゼル交換を依頼する際のポイントは、時計の保証書や購入証明書などの書類を持参することです。これらの書類があることで、正規品であることの確認がスムーズに行われます。
また、正規店での交換はオーバーホールを含めた総合的なメンテナンスとなるため、単純なベゼル交換だけを希望する場合でも、基本的には分解・洗浄などの作業が含まれることを理解しておきましょう。
ベゼル交換の費用内訳は基本技術料と部品代に分かれる
ロレックス正規店でのベゼル交換費用は、複数の項目から構成されています。費用の内訳を理解しておくことで、予算の計画が立てやすくなるでしょう。主な費用項目は以下の通りです。
1. 基本技術料(オーバーホール費用) ベゼル交換を依頼すると、時計の分解・洗浄などが必要となるため、基本的にオーバーホール料金がかかります。この費用は時計の状態やモデル、製造年によって異なりますが、一般的には5万円~10万円程度です。古いモデルであれば4万円台からの場合もあります。
基本技術料の参考価格(税抜)
- 金無垢デイデイト(18238):55,000円
- プラチナ無垢デイデイト(18206):55,000円
- エクスプローラーⅠ(14270):43,000円
- サブマリーナーノンデイト(5513):44,000円
- サブマリーナー(1680):47,000円
2. ベゼル交換工賃 ベゼルを交換する作業自体にも工賃がかかります。モデルや交換の複雑さによりますが、約5万円程度が目安です。
3. ベゼル部品代 交換用ベゼルの部品代金です。標準的なベゼルで5万円程度からですが、モデルやベゼルの種類によって大きく異なります。特に宝飾ベゼルなどの特殊なタイプでは20万円以上になることもあります。
4. 旧ベゼルの返却料(2021年以降) 2021年以降、日本ロレックスでは部品交換の際に旧部品の返却料が発生するようになりました。ノーマルベゼルからノーマルベゼルへの交換では、新しいベゼル代金の40%程度が追加で発生する場合があります。
5. その他関連部品の交換費用 ベゼル交換に伴い、関連する部品(バネ棒やベゼルルミナスなど)の交換が必要になることもあります。
例えば、サブマリーナーやGMTマスターのベゼル交換では、下記のような関連部品交換費用が発生する可能性があります:
- ベゼルルミナス交換:2,000円
- バネ棒交換:500円
- ベゼルバルブ交換:7,000円
これらの費用を総合すると、正規店でのベゼル交換は総額で15万円~35万円程度となる可能性があります。ただし、これはあくまで一般的な目安であり、具体的な費用は正規店で見積もりを取ることで確認できます。
ロレックスベゼル交換が正規店で断られるケースには注意が必要

ロレックス正規店では、すべてのベゼル交換依頼を受け付けるわけではありません。いくつかの条件があり、それに該当すると交換を断られる可能性があります。事前に知っておくべき主なケースは以下の通りです。
1. 定期的なオーバーホールを受けていない場合 ロレックスは3~5年に1度の定期的なオーバーホールを推奨しています。長期間メンテナンスを受けていない時計は「状態が悪い」と判断され、ベゼル交換を含む修理作業を断られる可能性があります。特に10年以上オーバーホールを受けていない場合は注意が必要です。
2. 社外パーツが装着されている場合 過去に純正品ではないパーツを装着した「改造品」と判断されると、正規店でのベゼル交換は不可能になります。文字盤や針、ベゼル、風防などが社外品に交換されていないか確認しておきましょう。一度でも社外パーツを使用すると、その後の正規店での修理が困難になる可能性があります。
3. 本物のロレックスではない場合 当然ながら、偽物のロレックスは正規店で修理や交換を受け付けてもらえません。中古で購入した時計が実は本物ではなかったというケースも稀にあります。逆に言えば、正規店で修理やベゼル交換を受け付けてもらえれば、それは本物であるという証明になります。
4. 別のリファレンスナンバーのベゼルへの交換希望 現在の日本ロレックスでは、同じリファレンスナンバー内でのベゼル交換のみを受け付けることが一般的です。例えば、GMTマスターⅡの「バットマン」から「ペプシ」へのベゼル交換は、リファレンスが異なるため原則として受け付けられません。
5. 人気ベゼルへの交換希望 特に人気の高いベゼルカラー(GMTマスターⅡのペプシやバットマン、コスモグラフデイトナの黒セラミックなど)への交換は制限されていることがあります。これは希少性の高いモデルの価値を保つためと考えられます。
6. 購入後5年間の保証期間中 2022年5月以降、購入後5年間の保証期間中は文字盤やベゼルの交換ができないという新しいルールが導入されました。これにより、購入時の選択をより慎重に行う必要が生じています。
ベゼル交換を検討する際は、まず正規店に相談して交換可能かどうかを確認することをおすすめします。条件によっては民間の時計修理専門店を検討する必要があるかもしれませんが、その場合は将来的な正規店でのサービス受付に影響が出る可能性があることを理解しておきましょう。
GMTマスターとサブマリーナのベゼル交換は条件が異なる
ロレックスの代表的スポーツモデルであるGMTマスターとサブマリーナは、どちらもベゼルが特徴的なモデルですが、ベゼル交換に関する条件は異なります。両モデルの特性を理解しておくことで、交換の可能性をより正確に判断できるでしょう。
GMTマスターのベゼル交換 GMTマスターは歴史的に、同じリファレンス内でのベゼルカラー交換が比較的容易でした。特に4桁・5桁モデルの旧型GMTマスター(例:16700、16710など)では、ベゼルディスクのカラーによってリファレンス番号が変わらないため、カラーチェンジが可能でした。例えば黒ベゼルから「ペプシ」(青赤)や「コーク」(黒赤)へのカラーチェンジが可能でした。
しかし、現行の6桁モデル(126710BLNRや126710BLROなど)では、ベゼルカラーごとにリファレンス末尾が異なるため(BLNR=バットマン、BLRO=ペプシ)、正規店でのカラーチェンジは基本的に不可能となっています。
サブマリーナのベゼル交換 サブマリーナの場合、GMTマスターと比較してベゼル交換の自由度は低い傾向にあります。特に「グリーンサブ」(116610LV)と通常の黒ベゼルモデル(116610LN)の間でのベゼル交換は、リファレンスが異なるため正規店では基本的に受け付けられません。
また、サブマリーナの場合はベゼルだけではなく、「フェイス一式」(ベゼル、文字盤、針などを含むセット)での交換が必要となるケースも多く、GMTマスターよりもハードルが高い傾向があります。
両モデルの共通点と注意点 どちらのモデルも、セラクロムベゼル(セラミックベゼル)導入後は、交換の自由度が下がっている傾向があります。セラミックベゼルは従来のアルミベゼルと比較して耐久性が高く、色あせや傷に強いため、交換の必要性も低減していますが、その分交換時の制約は厳しくなっています。
また、両モデルとも「自分で交換する」という選択肢もありますが、特にセラミックベゼルの場合は専門的な技術と工具が必要で、素人が行うと時計を傷つけるリスクが高まります。
ベゼル交換を検討する際は、まず所有しているモデルのリファレンス番号を確認し、正規店に相談することをおすすめします。旧型モデルであれば交換の可能性が高まりますが、現行モデルでは制約が厳しい点を理解しておく必要があります。
同じリファレンス内でのカラー変更のみが原則可能である
ロレックスのベゼル交換において最も重要なルールは、「同じリファレンスナンバー内でのカラー変更のみが原則可能」ということです。この原則を理解することで、ベゼル交換の可能性をより正確に判断できるようになります。
リファレンスナンバーとは リファレンスナンバーはロレックスの時計モデルを識別するための番号です。基本的に同じデザインや機能を持つモデルには同じリファレンスナンバーが付与されますが、ベゼルカラーや文字盤カラーなどの違いによって末尾のアルファベットが変わることがあります。
例えば、GMTマスターⅡの場合:
- 126710BLRO: 「ペプシ」青赤ベゼル
- 126710BLNR: 「バットマン」青黒ベゼル
- 126710LN: 黒ベゼル
これらは同じGMTマスターⅡモデルですが、ベゼルカラーの違いによって末尾のコードが異なります。
交換可能な条件 ロレックス正規店では、原則として同一のベースリファレンス内で、過去にカタログ掲載されたことのあるデザインへの変更のみを受け付けています。つまり、架空のカラーコンビネーションや、別モデルのベゼルを流用するような交換はできません。
例えば、4桁・5桁時代のGMTマスター(例:16700)であれば、同じリファレンス内で提供されていたベゼルカラー(黒、ペプシ、コークなど)間での交換が可能でした。しかし、現行の6桁モデルでは、ベゼルカラーごとにリファレンスが分けられているため、交換が難しくなっています。
交換できないケース 以下のような場合は、原則として正規店での交換は不可能です:
- 異なるリファレンスのベゼルへの交換 例:サブマリーナー(126610LN)のベゼルをGMTマスターⅡのベゼルに交換
- 存在しないカラーコンビネーションへの交換 例:公式にないオリジナルカラーのベゼルへの交換
- 素材の異なるベゼルへの交換 例:ステンレスモデルにゴールドベゼルを取り付けるなど
- 現行モデル同士のベゼル交換 例:グリーンサブマリーナー(126610LV)のベゼルを黒サブマリーナー(126610LN)のベゼルに交換
これらのルールは、ロレックス時計の品質とブランド価値を保護するために設けられています。ただし、旧型モデルではこれらの制約が緩やかだったため、現在でも中古市場では様々なカスタマイズモデルが存在していることがあります。
ベゼル交換を検討する際は、まず所有モデルのリファレンスを確認し、正規店に相談することをおすすめします。日本ロレックスの方針は時折変更されることもあるため、最新の情報を入手することが重要です。
ベゼルの種類によって交換難易度と費用は大きく変わる
ロレックスのベゼルは種類によって構造や材質が異なるため、交換の難易度や費用も大きく変わります。主なベゼルタイプごとの特徴と交換時の注意点を理解しておきましょう。
1. ポリッシュドベゼル(スムースベゼル) 最もシンプルなデザインのベゼルで、交換作業も比較的簡単です。基本的な交換費用は他のタイプと比較して安価な傾向にありますが、それでも部品代と工賃で10万円前後はかかると考えておくべきでしょう。デイトジャストやオイスターパーペチュアルなどのモデルに採用されています。
2. フルーテッドベゼル 縦縞のような山型のカットが特徴的なベゼルで、ゴールドやプラチナなどの貴金属でのみ製造されています。材質が高価なため、交換費用も高額になる傾向があります。デイトジャストやデイデイトなどのドレスモデルに多く採用されており、交換費用は15万円以上かかることも珍しくありません。
3. 回転ベゼル(ダイバーズベゼル) サブマリーナーやシードゥエラーなどに採用されている機能的なベゼルです。複数のパーツから構成されているため、交換作業はやや複雑になります。特にベゼルの下にある「ベゼルクリック機構」も一緒に点検・交換されることが多く、費用は15万円〜20万円程度が目安となります。
4. セラクロムベゼル(セラミックベゼル) 現行モデルの多くに採用されている高硬度のセラミック製ベゼルです。耐久性に優れていますが、交換となると特殊な技術と部品が必要になります。また、新しいモデルになるほど交換に関する制約も厳しくなっている傾向があります。交換費用は20万円前後かそれ以上になることも珍しくありません。
5. 宝飾ベゼル ダイヤモンドやその他の宝石がセットされた高級ベゼルです。当然ながら交換費用は非常に高額で、ベゼルの種類や宝石の品質によっては100万円を超えることもあります。正規店での対応が基本となり、専門的な技術と時間を要する作業となります。
6. タキメーターベゼル コスモグラフデイトナに採用されている、時速計測用のスケールが刻まれたベゼルです。現行モデルではセラミック製ですが、旧モデルではメタル製でした。デイトナは人気モデルのため、ベゼル交換に関する制約も厳しい傾向にあります。
交換費用に影響する要素 ベゼルタイプ以外にも、以下の要素が交換費用に影響します:
- 時計の年式(古いモデルほど部品調達が難しく、高額になる可能性がある)
- ベゼルの材質(ステンレス < ホワイトゴールド < イエローゴールド < プラチナの順で高価になる)
- 時計の状態(オーバーホールが必要な場合は追加費用が発生)
- 周辺パーツの交換必要性(ベゼルのみではなく関連部品の交換が必要な場合もある)
ベゼル交換を検討する際は、単にベゼルだけの問題ではなく、時計全体のコンディションも考慮することが大切です。また、費用面で不安がある場合は、事前に正規店で見積もりを取ることをおすすめします。

まとめ:ロレックスベゼル交換を正規店で行うメリットは安全性と信頼性にある
この記事で紹介したことの振り返りまとめ
- ロレックスのベゼルは風防を固定し保護する重要なパーツで、デザイン性と機能性を兼ね備えている
- ベゼルには回転ベゼル、タキメーターベゼル、ポリッシュドベゼル、フルーテッドベゼルなど多様な種類がある
- ベゼル交換が必要なのは回転不良、変色、破損や深い傷がついた場合が一般的
- 正規店でのベゼル交換費用は基本技術料5~10万円とベゼル交換費用10~25万円の合計15~35万円程度
- ベゼル交換にかかる期間は約1ヶ月が目安だが、部品供給状況により変動する
- 正規店では定期的なオーバーホールを受けていない時計や社外パーツ使用時は修理を断られる可能性がある
- 同じリファレンスナンバー内でのカラー変更のみが原則交換可能
- 最新モデルほどベゼル交換の制約が厳しくなる傾向がある
- GMTマスターの旧型モデルは比較的ベゼルカラー交換が容易だった
- サブマリーナはGMTマスターよりもベゼル交換のハードルが高い傾向にある
- 2022年5月以降は購入後5年間の保証期間中はベゼル交換不可という新ルールが導入された
- ベゼルの種類や材質によって交換費用は大きく異なり、宝飾ベゼルは特に高額になる
- 自分でベゼル交換も可能だが、時計を傷つけるリスクがあり正規保証を受けられなくなる可能性がある
- 正規店でベゼル交換することでロレックスの価値と品質を維持できる
- 正規店の修理・交換作業後は2年間の国際サービス保証が付く
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://daikichi-kaitori.jp/column/rolex-bezel-koukan-hiyou/
- https://gc-yukizaki.jp/blog/?p=7927
- https://ec-jp.allu-official.com/blogs/brand/653
- https://10keiya.com/blogs/media/1424
- https://bbs.kakaku.com/bbs/51609015718/SortID=24679463/
- https://www.rolex.com/ja/watch-care-and-service/the-rolex-servicing-procedure
- https://www.tokemar.com/16610lv-ja-8/
- https://kaitoriyaup.com/about/%E3%83%AD%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%92%E6%AD%A3%E8%A6%8F%E5%BA%97%E3%81%A7%E4%BF%AE%E7%90%86%E3%82%92%E5%87%BA%E3%81%97%E3%81%9F%E6%99%82%E3%81%AE%E8%B2%BB%E7%94%A8/
- https://tokeikaitori.biz/blog/rolex-official-store/
- https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12231858057