グランドセイコーのスプリングドライブは、機械式時計の魅力とクォーツ時計の精度を兼ね備えた革新的なムーブメントとして高い評価を得ています。しかし、この独自の技術を搭載した高級時計を検討する際に「寿命はどれくらいなのか」「長く使い続けられるのか」という疑問を持つ方は少なくありません。

独自調査の結果、スプリングドライブは適切なメンテナンスを行うことで10年、20年と長く使い続けることができる時計であることがわかりました。本記事では、グランドセイコースプリングドライブの寿命にまつわる疑問を解消し、メンテナンス費用や頻度、長持ちさせるためのコツなど、購入を検討している方や既に所有している方に役立つ情報を詳しく解説します。
記事のポイント!
- スプリングドライブの寿命は適切なメンテナンスで半永久的に延ばせる
- オーバーホールの適切な頻度と費用の実態
- スプリングドライブの部品供給状況と修理対応期間
- 機械式時計との比較と選ぶ際のポイント
グランドセイコースプリングドライブの寿命とは
- グランドセイコースプリングドライブの寿命は適切なメンテナンスで半永久的
- スプリングドライブの仕組みと寿命の関係
- 機械式時計とクォーツ時計との寿命比較
- スプリングドライブを長持ちさせる日常のケア方法
- スプリングドライブが壊れる主な原因
- スプリングドライブ購入で後悔する可能性はあるか
グランドセイコースプリングドライブの寿命は適切なメンテナンスで半永久的

グランドセイコーのスプリングドライブは、適切なメンテナンスを行うことで半永久的に使用できる可能性があります。実際、スプリングドライブを搭載した腕時計は、クォーツ時計のように明確な寿命はなく、機械式時計と同様に一生使い続けることができるとされています。
スプリングドライブは水晶振動子やICを使用していますが、クォーツ時計のような電子回路は使用していません。駆動自体は一般的な機械式時計と変わらないため、定期的なオーバーホールを行い、適切に管理することで長期間にわたって使用することが可能です。
仮にIC回路に不具合が生じたとしても、該当パーツだけを交換すれば再び時を刻むようになります。グランドセイコーは、当該製品の生産終了後も監督官庁の指導に基づくメーカーとしての部品保有期間10年を超えて、さらに長期間の修理ができる体制を整えているため、安心して長く使用できる環境が用意されています。
スプリングドライブの寿命については、正規メンテナンスを継続して行えば20〜30年以上使える可能性があるとの見方もあります。実際に9年使用したスプリングドライブの精度が月差+130秒程度まで低下した例もありますが、日常使用では問題ないレベルを維持していたとの報告もあります。
ただし、寿命を最大限に延ばすためには、定期的なオーバーホールが欠かせません。特に機械的な部分と電子的な部分が組み合わさったハイブリッド構造のため、専門的なメンテナンスが重要になります。
スプリングドライブの仕組みと寿命の関係
スプリングドライブの寿命を理解するためには、その独特な仕組みを知ることが重要です。スプリングドライブは、機械式時計とクォーツ時計の良いところを組み合わせたハイブリッド型のムーブメントです。
基本構造は機械式時計に近く、ゼンマイがほどける力を動力源としています。しかし、一般的な機械式時計で使用されるテンプやアンクルなどの調速機構の代わりに、ICと水晶振動子による「トライシンクロレギュレーター」と呼ばれる独自の調速機構を採用しています。
この仕組みにより、機械式のパーツに磨耗が生じる部分が少なくなり、テンプなどの精密パーツによる衝撃の影響も受けにくくなっています。そのため、理論上は従来の機械式時計よりも堅牢で長寿命である可能性があります。
一方で、ICや水晶振動子などの電子部品も使用しているため、これらの部品の劣化も考慮する必要があります。ただし、これらの電子部品は一般的なクォーツ時計の電子回路と異なり、発電された微弱な電力で動作するため、電池のような消耗品ではなく、比較的長寿命です。
スプリングドライブの寿命において最も重要なのは、機械部分の潤滑油の劣化や汚れです。これらは3〜5年程度でオーバーホールを行うことで解消できます。また、ゼンマイ、輪列、軸受けなどの機械部品も時間の経過とともに磨耗しますが、定期的なメンテナンスによって交換することで長期間の使用が可能になります。
機械式時計とクォーツ時計との寿命比較
スプリングドライブの寿命を理解するために、従来の機械式時計とクォーツ時計の寿命との比較を見てみましょう。それぞれのタイプの時計にはそれぞれ異なる特徴があり、寿命にも違いがあります。
以下の表は、各タイプの時計の寿命の目安をまとめたものです:
時計タイプ | 寿命の目安 | 特徴 |
---|---|---|
スプリングドライブ | 10〜30年(高級モデルは40年以上) | ハイブリッド構造で高精度。電子回路の寿命に依存。部品供給終了時に修理困難になる場合がある |
機械式時計 | 数十年〜100年以上 | 電子部品不使用で修理可能。一生モノとして受け継げる可能性あり |
クォーツ時計 | 10〜30年(高級モデルは40年以上) | 高精度だが電子回路の寿命に依存。部品供給終了時に修理困難になる場合がある |
機械式時計は、電子部品を使用していないため、部品が入手できる限り修理が可能です。そのため、適切なメンテナンスを行うことで、100年以上使用されている古い時計も存在します。
クォーツ時計は、電子回路の寿命が約10年程度と言われており、その後は修理が難しくなる場合があります。電池交換は容易ですが、内部の電子回路が劣化すると修理が困難です。
一方、スプリングドライブは、機械式の要素とクォーツの要素を併せ持つため、寿命についても両者の特性を持ちます。機械部分については、機械式時計と同様に定期的なオーバーホールによって長く使用できますが、IC部分については部品の供給状況に依存します。
グランドセイコーは部品の保有期間を生産終了後10年としていますが、実際にはそれ以上の期間修理対応を行う姿勢を示しています。そのため、スプリングドライブの寿命は、適切なメンテナンスを行うことで機械式時計に近い長さになる可能性があります。
スプリングドライブを長持ちさせる日常のケア方法

スプリングドライブを長持ちさせるためには、日常的なケアが欠かせません。以下に、スプリングドライブを長く愛用するための具体的なケア方法をご紹介します。
まず重要なのは、時計を定期的に使用することです。スプリングドライブは、長期間使用しないでいると内部の潤滑油が固着して動きにくくなることがあります。たとえ日常的に着用しない場合でも、月に数回は手動で巻き上げて動かすことで、機械部分の潤滑油の固着を防ぎ、ムーブメントのスムーズな動作を保つことができます。
次に、適切な保管環境を整えることも重要です。スプリングドライブを保管する際は、高温多湿や極端な温度変化を避けることが大切です。直射日光の当たる場所やエアコンの吹き出し口付近などは避け、適切な環境で保管しましょう。
また、磁気にも注意が必要です。スプリングドライブは一般的な機械式時計よりも磁気の影響を受けにくいとされていますが、強い磁気に長時間さらされると影響を受ける可能性があります。スマートフォンやパソコン、テレビなど、磁気を発する電子機器の近くに長時間置かないようにしましょう。
日常的に着用する際は、強い衝撃を避けることも大切です。スプリングドライブは衝撃に強いとされていますが、極端な衝撃は内部のメカニズムにダメージを与える可能性があります。スポーツやアクティビティを行う際は、可能であれば時計を外すか、適切な保護をすることをおすすめします。
最後に、定期的なメンテナンスをスケジュールに組み込むことも長寿命化には欠かせません。3〜5年ごとを目安にグランドセイコーの正規サービスセンターでのオーバーホールを検討し、プロフェッショナルな点検・調整を受けることで、時計の精度と耐久性を最大限に保つことができます。
スプリングドライブが壊れる主な原因
スプリングドライブの寿命を考える上で、どのような原因で故障や精度低下が起こるのかを理解することは重要です。ここでは、スプリングドライブが壊れたり性能が低下したりする主な原因について説明します。
最も一般的な原因は、時間の経過による潤滑油の劣化です。スプリングドライブは機械式時計と同様に、内部の歯車や軸受けに潤滑油が使用されています。この潤滑油は時間が経つにつれて劣化し、粘度が変化したり汚れが溜まったりします。その結果、部品の摩耗が進み、最悪の場合、時計が止まってしまう原因になります。
次に考えられるのが、強い衝撃による内部機構の損傷です。スプリングドライブは機械式時計のようなテンプを使っていないため、ある程度の衝撃には耐えられますが、極端に強い衝撃を受けると内部の精密部品が損傷することがあります。特に、調速機構の「トライシンクロレギュレーター」は精密な部品であり、強い衝撃で動作に支障が出る可能性があります。
また、強い磁気の影響も看過できません。スプリングドライブは機械式時計よりも磁気に強いとされていますが、非常に強い磁気にさらされると、ICや水晶振動子などの電子部品に影響を与える可能性があります。一般的な磁気は問題ありませんが、MRI検査や強力な磁石の近くに置くなど、極端な環境は避けるべきでしょう。
長期間の不使用も問題を引き起こす可能性があります。スプリングドライブを長期間動かさずに放置していると、潤滑油が固着して動きにくくなります。その状態で無理に動かそうとすると、内部の歯車などに負担がかかり、故障の原因になることがあります。
最後に、不適切なメンテナンスも故障の原因となります。スプリングドライブは複雑な機構を持つため、専門知識のない修理店での不適切な修理や調整は、むしろ問題を悪化させる可能性があります。メンテナンスはグランドセイコーの正規サービスセンターに依頼することが望ましいでしょう。
スプリングドライブ購入で後悔する可能性はあるか
スプリングドライブの寿命や特性を理解した上で、購入を検討している方にとって気になるのは「買って後悔することはないか」という点でしょう。ここでは、スプリングドライブを購入する際に考慮すべきポイントと、潜在的な後悔の要因について説明します。
まず、メンテナンスの複雑さと費用は考慮すべき重要な要素です。スプリングドライブは精密な機構であるため、定期的なオーバーホールが必要です。このオーバーホールはグランドセイコーの正規サービスセンターでしか行えず、費用も一般的な機械式時計よりも高額になる場合があります。具体的には、グランドセイコーのコンプリートサービス(オーバーホール+ライトポリッシュ)は74,800円(税込)からとなっています。メンテナンス費用を含めた長期的なコストを考慮せずに購入すると、後々の出費に驚く可能性があります。
次に、ケースの厚みも考慮すべきポイントです。スプリングドライブは構造上、ムーブメントが厚くなりがちで、それに伴い時計本体も厚みを持つ傾向があります。特に細い手首の方や、スーツの袖下に収まるスリムな時計を求める方にとっては、着用感が期待と異なる可能性があります。購入前には必ず試着して、自分の手首や使用シーンに合うかどうかを確認することをおすすめします。
また、機械式時計特有の魅力を期待している方には、スプリングドライブが物足りなく感じる場合もあります。例えば、機械式時計のカチカチという音や秒針の微妙な跳ね方を楽しみたい方には、スプリングドライブの滑らかな秒針の動きやほとんど音のしない静かな動作は物足りないかもしれません。
一方で、スプリングドライブの精度、独自の滑らかな秒針の動き、衝撃や磁気に強いという特性は、多くの時計愛好家を魅了しています。特に機械式時計の魅力を持ちながらクォーツ並みの精度を求める方にとっては、理想的な選択肢となります。
結論として、スプリングドライブを購入して後悔するかどうかは、個人の好み、予算、使用目的によって大きく異なります。定期的なメンテナンスの必要性や費用を理解し、その独特な特性を評価できる方にとっては、長く愛用できる満足度の高い時計となるでしょう。

グランドセイコースプリングドライブとオーバーホールの関係
- スプリングドライブのオーバーホール頻度は3~5年が推奨
- スプリングドライブのオーバーホール費用の実際
- グランドセイコーの部品供給期間と修理対応
- スプリングドライブが故障した場合の修理可能性
- スプリングドライブは海外でも高く評価されている
- グランドセイコースプリングドライブとメカニカルはどちらを選ぶべきか
- まとめ:グランドセイコースプリングドライブの寿命を最大限に延ばす方法
スプリングドライブのオーバーホール頻度は3~5年が推奨

グランドセイコースプリングドライブの寿命を最大限に延ばすには、適切なタイミングでのオーバーホールが欠かせません。そのオーバーホールの推奨頻度は、メーカーによると3〜5年に一度とされています。
スプリングドライブは、一般的な機械式時計と同様に、内部で歯車や軸受けが常に動いています。そのため、時間の経過とともに潤滑油が劣化し、部品の摩耗が進行します。この潤滑油の劣化や部品の摩耗を放置すると、精度低下や動作不良、さらには深刻な故障を引き起こす可能性があります。
実際の使用状況によってオーバーホールの最適なタイミングは変わります。日常的に使用している場合と、たまにしか使わない場合では、潤滑油の劣化度合いも異なります。毎日使用している場合は3年程度、使用頻度が低い場合は5年程度を目安にすることが推奨されています。
ただし、以下のような症状が見られる場合は、推奨期間を待たずに早めにオーバーホールを検討したほうが良いでしょう:
- 時計の精度が明らかに落ちてきた
- パワーリザーブの持続時間が短くなった
- 巻き上げの感触が通常と異なる
- 異音がする
- りゅうずの操作感が悪くなった
また、9年間使用したスプリングドライブの例では、精度が月差+130秒(本来は±15秒/月)まで低下したという報告もあります。このような場合は、オーバーホールによって精度を回復させることができる可能性が高いです。
スプリングドライブの場合、機械的な部分と電子的な部分が組み合わさっているため、一般的な機械式時計よりも専門的な知識と技術が必要になります。そのため、オーバーホールはグランドセイコーの正規サービスセンターに依頼することが望ましいでしょう。
スプリングドライブのオーバーホール費用の実際
グランドセイコースプリングドライブのオーバーホール費用は、時計の種類やモデルによって異なります。ここでは、実際のオーバーホール費用についての最新情報をお伝えします。
グランドセイコーでは、オーバーホールを含む「コンプリートサービス」を提供しています。このサービスには、ムーブメントの分解・洗浄・再組立て、潤滑油の交換、消耗部品の交換、精度の調整、ケースやブレスレットの洗浄と仕上げまでが含まれています。
2025年現在のグランドセイコーのコンプリートサービス(オーバーホール+ライトポリッシュ)の基本料金は以下の通りです:
時計タイプ | 料金(税込) |
---|---|
クオーツ | 52,800円~ |
メカニカル(機械式) | 74,800円~ |
スプリングドライブ | 74,800円~ |
スプリングドライブのオーバーホール費用は、機械式時計と同等の金額設定となっています。ただし、これはあくまで基本料金であり、モデルの複雑さや追加の修理が必要な場合は、さらに費用がかかる可能性があります。
例えば、スプリングドライブのクロノグラフモデル(9R86など)は、より複雑な機構を持つため、オーバーホール費用は86,900円(税込)からとなっています。
また、「ライトポリッシュ」は基本的な外装の磨きで、深い傷を完全に除去するような本格的な研磨が必要な場合は、追加費用が発生することがあります。
スプリングドライブのオーバーホール費用は決して安くはありませんが、適切なタイミングでメンテナンスを行うことで、後々より高額な修理費用を防ぐことができます。また、定期的なメンテナンスによって時計の価値を維持することができるという点も考慮すべきでしょう。
長期的な視点で考えると、スプリングドライブの寿命を20〜30年と仮定した場合、5年ごとにオーバーホールを行うと、生涯で4〜6回のオーバーホールが必要になります。つまり、おおよそ30万円〜45万円程度のメンテナンス費用がかかる計算になります。高価な時計だからこそ、この維持費も購入時に考慮しておくことが重要です。
グランドセイコーの部品供給期間と修理対応
グランドセイコースプリングドライブの寿命に大きく影響するのが、メーカーによる部品供給期間と修理対応の方針です。特にスプリングドライブのような独自の機構を持つ時計では、この点が非常に重要になります。
グランドセイコーでは、基本的に「補修用性能部品の保有期間は製品の生産終了後10年」としています。これは業界の標準的な対応ですが、実際にはこの期間を超えても修理に対応してくれる場合があります。
グランドセイコーの公式サイトによると、「当該製品の生産終了後も、監督官庁の指導に基づくメーカーとしての部品保有期間10年を超えて、さらに長期間の修理ができる体制を整えております」と明記されています。つまり、10年という期間はあくまで最低限の目安であり、実際にはそれ以上の長期間にわたって修理対応を行う姿勢を示しています。
また、グランドセイコーでは「お客様にグランドセイコーを永くご愛用いただくために、修理の対応期間は限定しておりません」とも述べています。これは、可能な限り長期間にわたってサポートを提供する意思表示と言えるでしょう。
ただし、グランドセイコーに問い合わせた結果によると、10年間の保有期間後も部品を処分することなく修理を受け付けるものの、パーツ在庫がなくなれば修理が困難になる可能性があるとのことです。特にスプリングドライブのIC部分については、製造中止になった場合の代替品の確保が難しい場合もあります。
参考として、9R65ムーブメントは2004年に発売されましたが、2030年頃までは現役である可能性が高いと予測されています。その理由として、このムーブメントはすでに業界トレンドであるパワーリザーブ72時間をクリアしており、技術的に独自性が高いため、すぐに新しいムーブメントに置き換えられる可能性は低いと考えられています。
これらの情報を総合すると、グランドセイコースプリングドライブの修理対応は、少なくともムーブメントの生産終了後10年、さらにはそれ以上の期間に渡って可能である可能性が高いと言えます。しかし、永続的な対応を保証するものではないため、長期的な使用を考える場合はこの点を念頭に置いておくべきでしょう。
スプリングドライブが故障した場合の修理可能性
スプリングドライブが故障した場合の修理可能性については、故障の内容や時計の年式によって大きく異なります。ここでは、故障時の修理対応について詳しく説明します。
スプリングドライブが故障した場合、まず重要なのは、グランドセイコーの正規サービスセンターに修理を依頼することです。スプリングドライブはセイコー独自の機構であるため、一般の時計修理店では対応できない場合が多いです。
故障の内容によって修理の難易度と費用は異なります。大まかに分けると、スプリングドライブの故障は以下のように分類できます:
- 機械式部分の故障:ゼンマイ、歯車、軸受けなどの故障
- 電子部分の故障:IC、水晶振動子、トライシンクロレギュレーターなどの故障
- 外装部分の故障:ケース、風防、りゅうず、バンドなどの破損
機械式部分の故障は、一般的な機械式時計と同様に比較的修理しやすい傾向があります。部品の交換や調整によって対応可能なケースが多いです。
一方、電子部分の故障は修理が難しい場合があります。特にトライシンクロレギュレーターなどのセイコー独自の部品が故障した場合、部品の在庫状況によっては修理が困難になる可能性があります。
外装部分の故障は、一般的に修理や交換が可能です。特にグランドセイコーのような高級時計では、外装部品も長期間にわたって在庫が確保されています。
グランドセイコーでの修理対応期間が終了した場合、機械部分のみの故障であれば専門の修理店で対応できる可能性がありますが、IC部分の故障については諦めざるを得ないケースも考えられます。実際に9年使用のスプリングドライブで見られた月差+130秒という精度低下は、調速機構(=IC部分)由来の不具合と推測されています。
参考までに、スプリングドライブの不具合として予想されるのは以下の2点です:
- 基準信号とのシンクロがうまくいっていない
- 重量加速度の検知機能の不調
ただし、グランドセイコーの修理対応期間内であれば、これらの故障もオーバーホールや部品交換によって解決できる可能性が高いです。
長期的な観点では、スプリングドライブを購入した2020年頃の時計は、適切なメンテナンスを行うことで2040年頃までは十分にメーカー修理可能であるとの予測もあります。その後は、機械部分は修理可能でも、IC部分の故障には対応できなくなる可能性があるとの見方もあります。
スプリングドライブは海外でも高く評価されている

グランドセイコースプリングドライブの寿命や性能を考える上で、海外での評価も参考になります。実は、グランドセイコーのスプリングドライブは、海外の時計愛好家からも非常に高い評価を受けています。
グランドセイコーは2010年から海外市場に本格参入し、2017年にはグランドセイコーブランドとしてセイコーから独立しました。まだ国際市場での歴史は浅いものの、その評価は年々高まっています。特に「スプリングドライブ」という独自の機構に対しては、海外から絶大な支持を集めています。
国際的な時計展示イベントにおいても、スプリングドライブ搭載モデルは常に注目の的となっています。アジアはもちろん、ヨーロッパやアメリカの時計愛好家の間でも人気を博しており、一部の時計専門店では、ロレックスに次ぐ人気を誇るブランドともなっています。
海外でスプリングドライブが高く評価される理由は、主に以下の点が挙げられます:
- 技術的独自性:スイスの高級時計ブランドも真似できない独自技術であること
- 完全自社生産:ムーブメントの部品から完成品まで一貫して自社で製造していること
- 精度と耐久性:高い精度と耐久性を両立していること
- 滑らかな秒針の動き:他のどの時計にも見られない、流れるような秒針の動きを実現していること
特に海外のコレクターは、グランドセイコーが「完全自社生産」で時計を製造している点に高い評価を与えています。パーツの一つ一つを自社で製造しているブランドは世界的に見ても少なく、その技術力と品質管理への姿勢に敬意を表しています。
また、スプリングドライブの革新的な技術は、時計技術に対する日本のアプローチの象徴とも言えます。伝統的なスイスの時計製造とは異なる発想から生まれたスプリングドライブは、「第三の時計」として新たな地位を確立しつつあります。
海外での高い評価は、スプリングドライブの長期的な価値を支える要素の一つとなっています。グローバルな市場で認められることで、部品の供給やサービス体制も長期間にわたって維持される可能性が高まります。これは、スプリングドライブの実質的な寿命にもプラスの影響を与えると考えられます。
グランドセイコースプリングドライブとメカニカルはどちらを選ぶべきか
グランドセイコーを検討する際に、スプリングドライブとメカニカル(機械式)のどちらを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。ここでは、両者の特徴を比較しながら、選択のポイントを解説します。
まず、寿命の観点から両者を比較すると、適切なメンテナンスを行う前提では、メカニカルの方がやや優位と言えるかもしれません。メカニカルは電子部品を使用していないため、部品が入手できる限り修理が可能です。一方、スプリングドライブはIC部分の寿命や部品供給状況に依存する面があります。ただし、両者とも定期的なオーバーホールを行えば、数十年にわたって使用することが可能です。
精度の面では、スプリングドライブが圧倒的に優れています。スプリングドライブは月差±15秒程度の精度を持つのに対し、高精度のメカニカルでも日差+8〜−1秒程度の精度になります。正確な時間を重視する方には、スプリングドライブがおすすめです。
耐衝撃性と耐磁性の面でも、スプリングドライブが優位です。メカニカルはテンプやアンクルなどの精密部品が衝撃や磁気の影響を受けやすいのに対し、スプリングドライブはこれらの部品を使用していないため、より頑健な構造となっています。
デザイン面では、スプリングドライブはスムーズなスイープ運針が特徴です。時が流れるように針が動く様子は美しく、多くの時計愛好家を魅了しています。一方、メカニカルは秒針が微細に刻むようなビート運針が特徴で、機械式時計ならではの魅力があります。また、メカニカルは「カチカチ」という音も楽しめますが、スプリングドライブはほとんど音がしません。
維持費については、オーバーホール費用はほぼ同等です。グランドセイコーのコンプリートサービスでは、どちらも74,800円(税込)からとなっています。ただし、故障時の修理費用は、症状によって異なる可能性があります。
初期費用については、一般的にスプリングドライブの方がやや高価な傾向があります。同等のデザインやグレードであれば、スプリングドライブの方が10〜20%程度価格が高くなることが多いです。
以下の表は、選択のポイントをまとめたものです:
比較ポイント | スプリングドライブ | メカニカル |
---|---|---|
寿命 | 長い(部品供給に依存) | 非常に長い |
精度 | 非常に高い(月差±15秒) | 良好(日差+8〜−1秒) |
耐衝撃性 | 優れている | 普通 |
耐磁性 | 優れている | 普通 |
秒針の動き | スムーズなスイープ運針 | ビート運針 |
音 | ほとんどなし | カチカチという機械音 |
維持費 | 高い | 高い |
初期費用 | やや高め | 標準 |
結論としては、正確で頑健な時計を求める方にはスプリングドライブが、伝統的な機械式時計の魅力を楽しみたい方にはメカニカルがおすすめと言えるでしょう。また、長期的な使用を考える際には、スプリングドライブは相対的に新しい技術であるため、将来的な部品供給などの不確定要素があることも考慮に入れる必要があります。

まとめ:グランドセイコースプリングドライブの寿命を最大限に延ばす方法
最後に記事のポイントをまとめます。
グランドセイコースプリングドライブの寿命を最大限に延ばすためのポイントを振り返りましょう。
- スプリングドライブは適切なメンテナンスを行えば半永久的に使用可能
- 機械式時計と同様に定期的なオーバーホールが必須(3〜5年ごと推奨)
- グランドセイコーのコンプリートサービスはスプリングドライブで74,800円~
- 部品供給期間はムーブメント生産終了後10年以上を目標としている
- スプリングドライブの9R65ムーブメントは2030年頃まで現役の可能性が高い
- 2020年頃に購入したスプリングドライブは2040年頃までメーカー修理可能と予測
- 日常的に使用するか定期的に巻き上げることで油の固着を防止できる
- 高温多湿や極端な温度変化のある場所での保管は避ける
- 強い磁気に長時間さらすことは避ける
- 極端な衝撃は避ける(スプリングドライブは一般的な衝撃には強い)
- 不調や異音がある場合は早めにプロの点検を受ける
- スプリングドライブとメカニカルの選択は用途や好みに応じて判断する
- 長期使用を視野に入れるなら、部品供給やメンテナンス体制も考慮する
- スプリングドライブは精度や耐久性を重視する方におすすめ
- 機械式時計の伝統的な魅力を求める方にはメカニカルがおすすめ
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://evance.co.jp/company/blog/94907
- https://yano1948-watch.com/blogs/column/the-life-of-a-spring-drive
- https://hrd-web.com/apps/note/grandseiko/spring-drive/
- https://10keiya.com/blogs/media/1522
- https://www.j-paris.co.jp/content/column/13556
- https://bbs.kakaku.com/bbs/K0000915681/SortID=21679676/
- https://seiko5.tokyo/grandseiko-springdrive-life
- https://kanteikyoku-web.jp/news/detail/%E3%80%90%E5%BE%8C%E6%82%94%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB%E3%80%91%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AA/
- https://www.jackroad.co.jp/blog/post/gs_springdrive
- https://www.rasin.co.jp/blog/seiko/spring-drive/