ロレックストリチウムの魅力と価値を徹底解説！知っておくべき基礎知識と市場価値

ロレックスの時計を愛用している方や、ヴィンテージロレックスの購入を検討している方なら、「トリチウム夜光」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。このトリチウムは、ロレックスが長年使用していた夜光塗料の一種で、現在では製造されていない貴重な技術として注目されています。

特に1960年代から1990年代後期にかけて製造されたロレックスに使用されていたトリチウム夜光は、独特の経年変化や希少性から、コレクターや時計愛好家の間で高い価値を持っています。しかし、トリチウムについて詳しく知らない方も多く、その特徴や見分け方、安全性について疑問を抱く方も少なくありません。

この記事のポイント
✅ ロレックストリチウムの基本的な特徴と歴史的背景
✅ トリチウム夜光の見分け方と確認方法
✅ 安全性に関する正しい知識と誤解の解消
✅ 現在の市場価値と投資的観点での魅力

ロレックストリチウムの基本知識と特徴を理解しよう

1. ロレックストリチウムとは1960年代から使用された夜光塗料のこと
2. トリチウム夜光の見分け方は文字盤の「T」マークを確認すること
3. ロレックストリチウムの寿命は半減期12年で現在は光らないものが多い
4. トリチウム夜光の安全性は人体への影響がほとんどないレベル
5. ブラックライトを使えばトリチウムの確認ができる
6. ロレックストリチウムの製造年代と番号の関係性

ロレックストリチウムとは1960年代から使用された夜光塗料のこと

ロレックストリチウムとは、ロレックスが1960年代から1990年代後期まで使用していた夜光塗料のことを指します。トリチウムは水素の同位体で、放射性物質の一種として分類されますが、時計の夜光塗料として使用される際には、極めて微量で安全性に配慮された状態で使用されていました。

この夜光塗料は、それまで使用されていたラジウムに代わって導入されたもので、自発光塗料として機能していました。自発光とは、外部からの光を必要とせず、塗料自体が光を発する性質のことです。これにより、暗闇の中でも時計の針やインデックスが見やすくなり、実用性が大幅に向上していました。

トリチウムの最大の特徴は、半減期が約12年という点です。これは、トリチウムの放射能が半分になるまでの期間を示しており、時間の経過とともに発光能力が徐々に低下していくことを意味します。そのため、現在市場に出回っているトリチウム夜光のロレックスの多くは、もはや光らない状態になっています。

🕰️ トリチウム夜光の基本情報

項目	詳細
使用期間	1960年代〜1990年代後期
発光タイプ	自発光塗料
半減期	約12年
放射性物質	水素の同位体
現在の発光状況	ほとんどが発光しない

ロレックスがトリチウムを採用した背景には、実用性の向上だけでなく、軍事用途への対応という側面もありました。特に、ダイバーズウォッチやパイロットウォッチなど、過酷な環境下での使用を想定したモデルでは、確実な視認性が求められていたため、トリチウム夜光は重要な技術でした。

トリチウム夜光の見分け方は文字盤の「T」マークを確認すること

ロレックストリチウムを見分ける最も確実な方法は、文字盤の6時位置に記載されている表記を確認することです。トリチウムが使用されている場合、以下のような表記が見られます。

📋 トリチウム表記の種類

表記	意味	時期
T SWISS T	トリチウム使用	初期〜中期
T SWISS MADE T	トリチウム使用	中期〜後期
SWISS – T < 25	放射能量25マイクロキュリー以下	後期
T < 25	放射能量25マイクロキュリー以下	後期

これらの表記は、時計に使用されているトリチウムが安全基準を満たしていることを示すものでもあります。特に「T < 25」という表記は、風防の外側で計測した放射能量が25マイクロキュリー以下であることを示しており、人体への影響がないレベルであることを保証しています。

実際の見分け方としては、虫眼鏡やルーペを使用して文字盤の6時位置を詳しく観察することが重要です。文字が小さく、経年劣化により見えにくくなっている場合もあるため、照明の角度を変えながら確認することをおすすめします。

また、トリチウム夜光の時計では、**針やインデックスの夜光部分に独特の「焼け」**が見られることがあります。この焼けは、時間の経過とともに夜光塗料が変色したもので、クリーム色からブラウン系の色合いに変化しています。この焼けは、トリチウム夜光の特徴的な経年変化として、コレクターの間では価値の一部として認識されています。

🔍 確認時のポイント

• 良好な照明環境で確認する
• 虫眼鏡やルーペを活用する
• 針やインデックスの色合いも併せて確認する
• 文字盤の状態と表記の一致を確認する

ロレックストリチウムの寿命は半減期12年で現在は光らないものが多い

トリチウムの半減期は約12年であり、これは物理的な法則として変えることができません。1990年代に製造された最後のトリチウム夜光ロレックスでも、2025年現在では製造から30年以上が経過しているため、ほとんどの個体で夜光機能は失われている状態です。

半減期の概念を簡単に説明すると、12年ごとに放射能の強さが半分になっていくということです。つまり、製造時を100%とした場合、12年後には50%、24年後には25%、36年後には12.5%という具合に減少していきます。実用的な発光レベルを維持するためには、ある程度の放射能強度が必要なため、一般的には2〜3回の半減期を経ると、肉眼での発光確認が困難になります。

⏰ トリチウムの発光能力推移

経過年数	放射能残存率	発光状況
製造時	100%	明るく発光
12年後	50%	やや暗く発光
24年後	25%	微弱に発光
36年後	12.5%	ほぼ発光せず
48年後	6.25%	発光確認困難

ただし、興味深いことに年代によって発光の持続性に違いが見られることがあります。これは、製造時期によってトリチウムの純度や蛍光物質の配合が異なっていたためと考えられています。特に1990年代後期のU番など、比較的新しいトリチウム夜光の中には、現在でもブラックライトを当てると微弱ながら反応を示すものもあります。

現在のトリチウム夜光ロレックスは、実用的な夜光機能よりも歴史的価値や希少性に重点が置かれています。そのため、購入や所有を検討する際には、夜光機能への期待よりも、ヴィンテージウォッチとしての魅力や投資価値を重視することが適切です。

トリチウム夜光の安全性は人体への影響がほとんどないレベル

ロレックストリチウムの安全性については、多くの方が懸念を抱いていますが、実際には人体への影響はほとんどありません。これは、使用されているトリチウムの量が極めて微量であり、また放出される放射線の種類と強度が人体に害を与えるレベルではないためです。

トリチウムが放出するのはベータ線と呼ばれる放射線で、この種の放射線は非常に弱いエネルギーしか持ちません。具体的には、空気中での飛距離は約5mm、水中（人体組織と同等）では約0.005mmという極めて短い距離しか進むことができません。これは、時計のガラス風防や金属ケースによって完全に遮蔽されるレベルです。

🛡️ トリチウムの安全性データ

項目	詳細
放射線の種類	ベータ線
空気中飛距離	約5mm
水中飛距離	約0.005mm
遮蔽方法	ガラス・金属で完全遮蔽
使用量	25マイクロキュリー以下

国際的な安全基準においても、時計に使用されるトリチウムは厳格な規制の下で管理されています。文字盤に記載される「T < 25」という表記は、国際原子力機関（IAEA）のガイドラインに基づいた安全基準を満たしていることを示しています。

実際に、日本ロレックスでもトリチウム夜光の時計のメンテナンスを受け付けていることからも、その安全性が裏付けられています。もし本当に危険であれば、正規代理店がメンテナンスを拒否するはずですが、そのような措置は取られていません。

ただし、一つ注意すべき点は、オーバーホール時の取り扱いです。時計修理技師は、作業中にトリチウム夜光の粉末を吸い込む可能性があるため、適切な防護措置を取る必要があります。しかし、一般的な使用者が普通に時計を着用する分には、全く問題ありません。

ブラックライトを使えばトリチウムの確認ができる

現在のトリチウム夜光ロレックスは肉眼での発光確認が困難ですが、ブラックライト（紫外線ライト）を使用することで、トリチウムの存在を確認することができます。これは、トリチウムと混合されている蛍光物質が紫外線に反応するためです。

ブラックライトを当てた際の反応は、製造年代によって特徴的な違いが見られます。1990年代前半のトリチウムでは全体に青っぽく光り、中に粒子状の反応が確認できます。一方、1990年代後期のU番などでは、全体に緑色に光り、より多数の粒子が確認できる傾向があります。

🔦 年代別ブラックライト反応

年代	光の色	粒子の量	持続時間
1990年代前半	青っぽい	少ない	即座に消える
1990年代中期	青から緑	中程度	数秒持続
1990年代後期	緑色	多い	約1分持続

ブラックライトを使った確認方法は、トリチウム夜光とルミノバ夜光を区別する際にも有効です。ルミノバの場合、ブラックライトを当てると青色に発光し、ライトを消した後も緑色に蓄光します。一方、トリチウムの場合は、ブラックライトを消すとほぼ即座に発光が止まります。

ブラックライトでの確認を行う際の注意点として、強い紫外線を長時間直視しないことが重要です。また、貴重なヴィンテージウォッチに対してブラックライトを長時間照射することで、予期しない影響を与える可能性も考えられるため、確認は短時間で行うことをおすすめします。

💡 確認時のポイント

• 適切な強度のブラックライトを使用する
• 暗い環境で確認する
• 照射時間は最小限に留める
• 粒子の分布パターンも観察する

ロレックストリチウムの製造年代と番号の関係性

ロレックスのシリアル番号は、製造年代を特定する重要な手がかりとなります。トリチウム夜光が使用された期間は、おおよそシリアル番号のアルファベット部分で判断することができ、特にE番からU番までがトリチウム使用期間の目安となります。

トリチウム使用期間の詳細を見ると、1960年代の初期から1990年代後期までの長期間にわたって使用されていたことがわかります。ただし、移行期には例外的なモデルも存在するため、シリアル番号だけでなく文字盤の表記も併せて確認することが重要です。

📅 シリアル番号とトリチウム使用年代

シリアル番号	製造年代	トリチウム使用状況	特徴
E番	1990年頃	使用	初期トリチウム
L番	1990年頃	使用	シングルブレス多い
N番	1991-1992年	使用	人気の年代
X番	1991年頃	使用	希少性高い
T番	1996年頃	使用	後期トリチウム
U番	1997-1998年	使用→ルミノバ移行	移行期の特殊性

特に注目すべきはU番の時期で、この期間にはトリチウムからルミノバへの移行が行われました。そのため、同じU番でも前期と後期で夜光塗料が異なる場合があり、「トリチノバ」と呼ばれる特殊な表記のモデルも存在します。これは、ルミノバを使用しているにも関わらず「SWISS – T < 25」の表記が残っているモデルです。

また、モデルによって移行時期が異なることも重要なポイントです。例えば、エクスプローラーⅡの16570では、同じ年代でもトリチウムとルミノバが混在していた期間があり、これらの違いが現在の市場価値にも影響を与えています。

年代の特定においては、保証書の情報も重要です。保証書に記載された販売年月日と、実際の製造年代には若干のズレがある場合もあるため、複数の情報を総合的に判断することが必要です。

ロレックストリチウムの価値と現在の市場状況を知ろう

1. トリチウム夜光のロレックスは希少価値が高く価格も上昇傾向
2. ルミノバとクロマライトへの変遷でトリチウムは過去の技術になった
3. トリチウム夜光の「焼け」は経年変化による魅力のひとつ
4. オーバーホール時のパーツ交換でトリチウムの価値が失われるリスク
5. 中古市場でのトリチウムモデルの人気と相場
6. トリチウムからルミノバへの移行期には特殊なモデルが存在
7. まとめ：ロレックストリチウムは歴史的価値のある夜光技術

トリチウム夜光のロレックスは希少価値が高く価格も上昇傾向

ロレックストリチウムを使用したモデルは、現在では製造されていない希少な技術として、中古市場で高い価値を持っています。特に状態の良いトリチウム夜光モデルは、同じリファレンスの後継モデルよりも高値で取引されるケースが増えています。

この価格上昇の背景には、コレクターや投資家からの強い需要があります。トリチウム夜光は、ロレックスの歴史における重要な技術的転換点を示しており、ヴィンテージウォッチの文脈では「オリジナリティ」として高く評価されています。

💰 トリチウムモデルの価値要因

要因	価値への影響	詳細
希少性	高い	現在製造されていない
オリジナリティ	高い	当時の技術を保持
経年変化	中〜高	独特の「焼け」が魅力
年代	高い	ヴィンテージとしての価値
保存状態	非常に高い	オリジナル状態の希少性

市場での価格動向を見ると、2020年以降、トリチウムモデルの価格上昇が顕著になっています。これは、世界的な高級時計市場の活況と、ヴィンテージロレックスへの注目の高まりが相乗効果を生んでいるためです。

特に人気が高いのは、「オールトリチウム」と呼ばれる完全オリジナル状態のモデルです。これは、文字盤、針、ベゼルインサートなど、すべてのパーツが製造時のトリチウム夜光を保持しているモデルを指します。こうしたモデルは、パーツ交換歴のないことが重要で、市場価値も大幅に高くなっています。

また、特定のモデルではトリチウム時代の方が現行モデルより高価になるケースも見られます。例えば、サブマリーナの14060（トリチウム）は、後継の114060（ルミノバ）よりも高値で取引されることがあり、これはトリチウムの希少価値を物語っています。

📈 投資観点でのポイント

• 完全オリジナル状態の維持
• 製造年代の証明書類の保存
• 適切なメンテナンス履歴
• 市場動向の継続的な把握

ルミノバとクロマライトへの変遷でトリチウムは過去の技術になった

ロレックスは1998年頃からルミノバ（蓄光塗料）への移行を開始し、2007年頃からは一部モデルでクロマライトの使用も始めました。この技術的変遷により、トリチウムは完全に過去の技術となり、その歴史的価値がより一層高まっています。

ルミノバの最大の利点は、放射性物質を含まない安全性と、太陽光や照明を蓄えて長時間発光する機能性です。トリチウムの自発光に対し、ルミノバは蓄光式でありながら、明るさはトリチウムの約10倍という性能を持っています。

🔄 夜光塗料の進化比較

塗料種類	使用期間	発光方式	明るさ	安全性	持続性
ラジウム	〜1963年	自発光	高い	危険	半永久的
トリチウム	1960年代〜1998年	自発光	中程度	安全	半減期12年
ルミノバ	1998年〜	蓄光	高い	非常に安全	半永久的
クロマライト	2007年〜	蓄光	非常に高い	非常に安全	8時間持続

クロマライトはさらに進化した技術で、青色発光と約8時間の持続時間を実現しています。これは従来のルミノバの約2倍の持続時間で、実用性という観点では現在最も優れた夜光技術と言えます。

しかし、技術的優位性と収集価値は別の観点です。現代の蓄光技術がいかに優れていても、トリチウム時代の技術的背景や歴史的文脈は複製することができません。これが、トリチウムモデルが持つ独特の魅力の源泉となっています。

特に興味深いのは、移行期に存在した特殊なモデルです。例えば、U番時代には「SWISS – T < 25」の表記がありながらルミノバを使用した「トリチノバ」や、「SWISS」のみの表記の「オンリースイス」など、短期間しか製造されなかった希少なバリエーションが存在します。

トリチウム夜光の「焼け」は経年変化による魅力のひとつ

ロレックストリチウムの大きな特徴のひとつが、**時間の経過とともに生じる「焼け」**と呼ばれる変色現象です。この焼けは、最初は白色やクリーム色だった夜光塗料が、年月を重ねることでクリーム色、ベージュ、ブラウン系の色合いに変化していく現象です。

この焼けは、トリチウムの放射線による化学変化と、蛍光物質の経年劣化によって生じるもので、個体によって異なる色合いやパターンを示します。そのため、全く同じ焼け方をした時計は存在せず、それぞれが世界に一つだけの個性を持っています。

🎨 焼けの段階と色合いの変化

段階	色合い	特徴	人気度
初期	白〜薄クリーム	わずかな変化	中程度
中期	クリーム〜ベージュ	温かみのある色合い	高い
後期	ブラウン〜こげ茶	濃厚な変化	非常に高い
極後期	深いブラウン	極端な変化	賛否両論

市場では、適度な焼けを持つモデルが最も高く評価される傾向があります。真っ白な状態では現代的すぎて味わいに欠け、逆に極端に濃い焼けでは文字盤との調和が取れない場合があるためです。クリーム色からライトブラウンの範囲が、多くのコレクターに好まれています。

焼けの魅力は、その不可逆性にもあります。一度焼けた夜光は元の色に戻ることはなく、また人工的に再現することも困難です。これは、その時計が確実に時間を経てきた証であり、真正性の証明としても機能します。

また、焼けのパターンや濃淡の違いも重要な評価ポイントです。針とインデックスが同じ濃度で焼けているモデルや、グラデーション状に変化しているモデルなど、様々なパターンが存在し、それぞれに独特の美しさがあります。

📸 焼けの評価ポイント

• 色合いの統一感
• 文字盤との調和
• 自然な変化の美しさ
• パーツ間のバランス

近年では、この焼けの美しさを再現しようとする**非正規の「エイジング加工」**も行われていますが、本物の経年変化とは明らかに異なる質感を示すため、専門家には容易に見分けられます。これも、オリジナルのトリチウム焼けの価値を支える要因のひとつとなっています。

オーバーホール時のパーツ交換でトリチウムの価値が失われるリスク

ロレックストリチウムモデルの所有者が直面する最も重要な問題のひとつが、オーバーホール時のパーツ交換によるオリジナリティの喪失です。正規サービスセンターでは、安全性や機能性を重視するため、トリチウム夜光パーツの交換を推奨する場合があります。

特に針の交換は致命的とされています。針は夜光塗料の面積が大きく、また文字盤との組み合わせで時計の表情を決定する重要な要素です。オリジナルの針が現代のルミノバ針に交換されてしまうと、ヴィンテージとしての価値が大幅に減少してしまいます。

⚠️ リスクの高いパーツ交換

パーツ	リスクレベル	価値への影響	対策
針	極めて高い	50-70%減	交換拒否を明確に伝える
インデックス	高い	30-50%減	事前に状態確認
ベゼルインサート	中〜高	20-40%減	オリジナル保持を要求
文字盤	極めて高い	70-90%減	絶対的な保護が必要

この問題を回避するためには、オーバーホール前の明確な意思表示が不可欠です。「トリチウムパーツの交換は一切行わないでください」という旨を書面で提出し、担当者にも口頭で確認することが重要です。

また、専門知識を持つ時計師への依頼も有効な選択肢です。ヴィンテージロレックスの専門家であれば、トリチウムの価値を理解しており、オリジナリティを保持しながらのメンテナンスが可能です。ただし、この場合は正規保証の対象外となることを理解しておく必要があります。

🔧 オーバーホール時の注意点

• 事前にトリチウム保持の意向を明確に伝える
• 作業内容の詳細な確認
• パーツ交換の可能性について事前協議
• 必要に応じて専門業者への依頼検討

近年では、メンテナンス業者の選択がトリチウムモデルの価値保持において極めて重要になっています。正規サービスの安心感と、ヴィンテージ価値の保持のバランスを考慮し、最適な選択をすることが求められています。

中古市場でのトリチウムモデルの人気と相場

ロレックストリチウムモデルの中古市場での人気は、2020年以降急激に高まっている状況です。これは世界的な高級時計ブームと、ヴィンテージロレックスへの注目の高まりが重なった結果であり、特にトリチウム夜光の希少性が市場価値を押し上げています。

現在の中古市場では、同じモデルでもトリチウム仕様の方が高価になるケースが一般的です。例えば、サブマリーナの16610（トリチウム）は、後継の116610（ルミノバ）と比較して、コンディションが同等であれば10-30%程度高い価格で取引されています。

💹 人気トリチウムモデルの市場相場（2025年6月時点の目安）

モデル	リファレンス	年代	相場価格帯	人気度
サブマリーナ デイト	16610	1990年代	140-180万円	非常に高い
エクスプローラーI	14270	1990年代	90-130万円	高い
エクスプローラーII	16570	1990年代	110-140万円	高い
GMTマスター	16700	1990年代	170-220万円	非常に高い
デイトナ	16520	1990年代	400-500万円	極めて高い

特に注目すべきは**「オールトリチウム」モデルの価格プレミアム**です。すべてのパーツがオリジナルのトリチウム夜光を保持しているモデルは、部分的に交換されたモデルと比較して、20-50%の価格差が生じることも珍しくありません。

市場での人気要因として、以下の要素が挙げられます：

🎯 人気要因の分析

• 希少性: 現在製造されていない技術
• 投資価値: 継続的な価格上昇傾向
• コレクション性: ロレックス史の重要な一部
• 個性: 焼けによる唯一無二の外観
• ストーリー性: 技術変遷の歴史を体現

ただし、市場価格はコンディションに極めて敏感であることも重要な特徴です。文字盤の状態、焼けの美しさ、オリジナリティの保持度合いによって、同じモデルでも価格が大きく変動します。特に、リダン（再塗装）や社外パーツの使用が判明した場合、価値は大幅に下落します。

近年の傾向として、投資目的での購入も増加しています。しかし、時計市場は変動が大きく、必ずしも価格上昇が続くとは限らないため、純粋な時計愛好の観点からの購入をおすすめします。

トリチウムからルミノバへの移行期には特殊なモデルが存在

ロレックスがトリチウムからルミノバへ移行した1997年-1999年頃には、極めて希少な過渡期モデルが存在します。この期間に製造されたモデルは、製造時期によって異なる夜光塗料が使用されており、コレクターの間では特別な価値を持っています。

最も有名なのが**「トリチノバ」**と呼ばれるモデルです。これは、実際にはルミノバ夜光を使用しているにも関わらず、文字盤には「SWISS – T < 25」というトリチウム表記が残っているモデルです。この現象は、文字盤の製造と夜光塗料の塗布のタイミングのズレによって生じたと考えられています。

🔄 移行期の特殊モデル分類

通称	文字盤表記	実際の夜光	製造時期	希少度
トリチノバ	SWISS – T < 25	ルミノバ	U番後期	極めて高い
オンリースイス	SWISS	ルミノバ	U番後期-A番前期	非常に高い
標準ルミノバ	SWISS MADE	ルミノバ	A番以降	一般的

「オンリースイス」も同様に希少なバリエーションで、文字盤には「SWISS」とのみ記載され、トリチウム表記がないにも関わらずルミノバ夜光を使用しているモデルです。この表記はわずか1-2年間しか使用されなかったため、極めて希少性が高くなっています。

これらの移行期モデルの存在は、ロレックス製造における品質管理の複雑さを示しています。巨大な製造規模を持つロレックスでは、すべてのパーツが同時に仕様変更されるわけではなく、段階的な移行が行われていたことがわかります。

📊 移行期モデルの市場価値

• トリチノバ: 標準ルミノバより30-50%高価
• オンリースイス: 標準ルミノバより20-40%高価
• 最終トリチウム: 同モデル中で最高価格

これらのモデルを識別するためには、ブラックライトでの確認が必須です。トリチウム表記があってもルミノバ夜光の場合、ブラックライトを当てると青色に発光し、ライトを消した後も緑色に蓄光します。一方、真のトリチウムの場合は、ライトを消すとほぼ即座に発光が止まります。

まとめ：ロレックストリチウムは歴史的価値のある夜光技術

最後に記事のポイントをまとめます。

1. ロレックストリチウムは1960年代から1990年代後期まで使用された自発光夜光塗料である
2. トリチウムの半減期は約12年で現在のモデルはほとんど発光しない状態である
3. 文字盤の「T」マークや「T < 25」表記でトリチウム使用を確認できる
4. 人体への影響はほとんどなく安全性に問題はない
5. ブラックライトを使用することでトリチウムの存在確認が可能である
6. シリアル番号E番からU番がトリチウム使用期間の目安となる
7. 希少性の高さから中古市場で価格上昇傾向が続いている
8. ルミノバ・クロマライトへの技術変遷によりトリチウムは過去の技術となった
9. 経年による「焼け」がトリチウムモデル特有の魅力を生み出している
10. オーバーホール時のパーツ交換でオリジナリティと価値を失うリスクがある
11. 「オールトリチウム」モデルが最も高い市場価値を持つ
12. 移行期の「トリチノバ」「オンリースイス」は特に希少性が高い
13. 投資観点からも注目されているが純粋な愛好での購入が推奨される
14. 適切なメンテナンス業者選択がオリジナリティ保持に重要である
15. コンディションや焼けの美しさが市場価格に大きく影響する

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記事作成にあたり参考にさせて頂いたサイト

• https://a-watch.jp/rolex-tritium/
• https://www.watchpedia.jp/yomi/ta/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%81%E3%82%A6%E3%83%A0/
• https://www.rasin.co.jp/blog/special/luminouspainted/
• https://kanteikyoku-web.jp/news/detail/%E3%83%AD%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E5%BD%B1%E3%81%AE%E9%AD%85%E5%8A%9B%E3%80%8C%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%81%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%80%8D%E3%80%8C%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%8E%E3%83%90%E3%80%8D/
• https://search.rakuten.co.jp/search/mall/%E3%83%AD%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9+%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%81%E3%82%A6%E3%83%A0/

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