トレイルランニングを楽しむうえで欠かせないのが高性能なGPSウォッチ。山岳地帯や長時間の走行では、バッテリー持ちや地図機能、GPSの精度などが重要になります。特に人気の高いCOROS(カロス)とガーミン(GARMIN)のGPSウォッチは、トレイルランナーの間で「どちらが使いやすいか」という議論が絶えません。
COROS(カロス)は比較的新しいブランドながら、バッテリー持続時間の長さや軽量設計で注目を集めています。一方のガーミンは老舗GPSメーカーとして多機能性と安定性に定評があります。本記事では、トレイルランニングに特化してカロスとガーミンの違いを徹底比較し、あなたに合った一台を見つけるヒントをお届けします。
記事のポイント!
- カロスとガーミンのトレイルランニング向けモデルの性能差を詳しく解説
- バッテリー持続時間、GPS精度、ナビゲーション機能の違いを比較
- 価格帯別におすすめモデルとその特徴を紹介
- トレイルランナーの使用シーンに合わせた選び方のポイントを解説
カロスとガーミンを比較!トレイルランニングでの性能差と特徴
- カロスとガーミン、トレイルランニングではどちらが優れているか
- バッテリー持続時間はCOROSが圧倒的に長い
- GPS精度はどちらも高いが使用環境で差が出る
- ナビゲーション機能では分岐アラートがガーミンの強み
- 心拍計測精度はCOROSの方が高い場合も
- 画面表示はガーミンのAMOLEDディスプレイが見やすい
カロスとガーミン、トレイルランニングではどちらが優れているか
トレイルランニングにおいて、カロス(COROS)とガーミン(GARMIN)はどちらが優れているかという点は、使用目的によって異なります。カロスは2014年に設立された比較的新しいブランドで、バッテリー持続時間の長さと軽量設計が大きな魅力です。一方、ガーミンは1989年設立の老舗GPS機器メーカーで、機能の豊富さと安定性に定評があります。
トレイルランニングという過酷な環境では、長時間のバッテリー持ち、正確なGPS測位、使いやすいナビゲーション機能が重要です。カロスはバッテリー持続時間においてガーミンを大きく上回っており、例えばAPEX 2は最大80時間のバッテリー容量を誇ります。これは70km以上の長距離トレイルレースでも十分な性能です。
一方、ガーミンはForerunnerシリーズやfenixシリーズなど多様なモデルを展開しており、特に地図表示機能や分岐点でのアラート機能など、トレイルでのナビゲーション性能に優れています。Forerunner 965などの上位モデルは、トレイルでの地形情報も詳細に表示できます。
実際の使用感では、カロスはシンプルな操作性と軽量設計が評価されており、ミニマリストなトレイルランナーに好まれる傾向があります。ガーミンは多機能であるものの、その分操作がやや複雑で、画面上の情報量が多いという特徴があります。
トレイルランニングでどちらが優れているかは一概には言えませんが、超長距離のトレイルレースやシンプルな操作を好む方にはカロス、多機能性や詳細なデータ分析を重視する方にはガーミンがおすすめと言えるでしょう。
バッテリー持続時間はCOROSが圧倒的に長い

トレイルランニングでは長時間のバッテリー持続時間が非常に重要ですが、この点においてCOROSは圧倒的な強みを持っています。調査の結果、COROSのAPEX 2は標準GPSモードで最大45時間、PACE 3は約38時間のバッテリー持続時間を実現しています。一方、ガーミンのForerunner 265は約20時間、高性能なForerunner 965でも約31時間と、同クラスのモデルと比較するとCOROSが明らかに優位です。
具体的な比較データを見てみましょう:
モデル | GPS使用時バッテリー(標準モード) | 通常使用時バッテリー |
---|---|---|
COROS PACE 3 | 約38時間 | 最大17日間 |
COROS PACE PRO | 約38時間 | 最大20日間 |
COROS APEX 2 | 約45時間 | 最大約30日間 |
Garmin Forerunner 265 | 約20時間 | 約13日間 |
Garmin Forerunner 965 | 約31時間 | 約23日間 |
実際のトレイルランニングでの使用例として、あるユーザーがIZUTRAILJOUENRYという70km級のトレイルランニングレースでCOROS APEX 2を使用した際、GNSSマルチバンド(最高感度のGPS)設定でも十分にバッテリーが持ったという報告があります。また、別のユーザーが4時間のトレイルランでAPEX 2を使用したところ、バッテリー残量が99%から93%へとわずか6%しか減少しなかったケースもあります。
COROSがこのような長時間バッテリーを実現できている理由は、シンプルなOSと省電力設計にあります。必要最低限の機能に絞り込むことで、バッテリー消費を抑えています。また、ディスプレイにLCD(液晶ディスプレイ)を採用しているモデルが多いのも省電力につながっています。
このバッテリーの優位性は、100kmを超えるウルトラトレイルや複数日にわたるアドベンチャーレースなど、充電の機会が限られる環境では決定的な違いとなります。充電の心配をせずに走り続けられるという安心感は、COROSがトレイルランナーから支持される大きな理由の一つと言えるでしょう。
GPS精度はどちらも高いが使用環境で差が出る
GPSの精度はトレイルランニングにおいて距離やルートを正確に把握するために重要な要素です。カロスとガーミン、どちらのGPSウォッチも高精度ですが、使用環境によって若干の差が出ることがあります。
両ブランドの最新モデルは、GPS、GLONASS、Galileo、みちびき(QZSS)などの複数の衛星測位システムに対応しています。特に注目すべき点は、カロスのPACE 3やAPEX 2、ガーミンのForerunner 265や965など、上位モデルが「デュアルバンドGNSS」(ガーミンでは「マルチバンドGNSS」と呼称)に対応していることです。これは複数の周波数帯を受信することで、ビル街や森林など信号が干渉しやすい環境でも位置情報の精度を向上させる技術です。
実際の計測精度を比較した調査では、400mトラックでの計測において、カロスのPACE Pro3が3回連続で正確に400mを記録したのに対し、ガーミンのForerunner 265は3回とも410mと計測し、わずかな差が出たケースが報告されています。一方、Amazfit T-REX 3では401m、402m、406mとわずかなばらつきが見られました。
また、GPS補足(捕捉)速度については、ガーミンの方がわずかに速いとの意見が多く見られます。カロスはたまに20〜30秒かかることもあるようです。トレイルランニングのように立ち止まってGPSを捕捉する余裕がない場合、この差は重要になることがあります。
山岳地帯や樹木の多いトレイルコースでは、地形や周囲の環境によってGPS精度が低下することがありますが、デュアルバンドGNSS対応モデルであれば、どちらのブランドも実用上十分な精度を発揮します。ただし、深い谷や密林などの極端に受信環境が悪い場所では、微妙な差が現れることもあるでしょう。
このようにGPS精度においては、最新モデル同士を比較するとどちらも高い性能を持っており、普段のトレイルランニングで決定的な差になるケースは少ないと言えます。ただし、山岳レースなど正確な位置情報が命に関わるような状況では、わずかな精度の差も考慮する価値があるでしょう。
ナビゲーション機能では分岐アラートがガーミンの強み
トレイルランニングでは複雑な山岳ルートを走ることも多く、ナビゲーション機能の性能は非常に重要です。この点において、ガーミンとカロスにはいくつかの違いがあります。
ガーミンの大きな強みは、分岐点でのアラート機能です。例えば、Forerunner 965などの上位モデルでは、トレイルコースの分岐点に近づくと「ピピッ」という音でアラートが鳴り、ルートを確認するタイミングを知らせてくれます。これにより、常に画面を見続ける必要がなく、路面や周囲の環境に集中しながら走ることができます。トレイルランニングのように体力的にも精神的にも余裕がない状況では、この機能は非常に便利です。
一方、カロスのナビゲーション機能も高機能で、GPXデータを取り込んでルート表示ができるだけでなく、高低図も表示できます。特にAPEX 2のナビゲーション機能は、レースのコース情報をあらかじめ確認できる点が評価されています。コースの累積標高や現在地が視覚的にわかりやすく表示され、「あとどれくらい登れば山頂なのか」「数10km先のコースはどうなっているか」といった情報がひと目でわかります。
地図の見やすさという点では、ガーミンのForerunner 965などはカラーで地形が表示され、AMOLEDディスプレイの採用によって視認性に優れています。トレイルでの分岐点や進むべき方向が明確にわかりやすいのが特徴です。カロスも地図表示機能を備えていますが、特に明るい屋外環境では、ガーミンのAMOLEDディスプレイの方が視認性に優れる場合があります。
また、ガーミンの上位モデル(Forerunner 965など)ではフルカラー詳細地図表示に対応しており、車のカーナビのように地図上でルート表示が可能です。登山道にも対応しているため、トレイルランニングでも活用できます。カロスの多くのモデルは、スマホアプリで作成したルートを転送して画面上にコース表示する仕様となっています。
ナビゲーション機能を使用する際のバッテリー消費も重要な要素です。長時間のトレイルランニングでナビゲーション機能を常時オンにしておく場合、カロスの長時間バッテリーは大きなアドバンテージとなりますが、ガーミンでも70km程度のレースなら十分に対応可能なモデルが揃っています。
総合的に見ると、複雑なルートでの分岐点アラートや詳細な地図表示が必要な場合はガーミンに軍配が上がりますが、シンプルなルート案内と高低図表示で十分という方にはカロスも十分実用的な選択肢と言えるでしょう。
心拍計測精度はCOROSの方が高い場合も
トレイルランニングでの心拍トレーニングは、効果的なペース配分やトレーニング効果の最大化に重要な要素です。カロスとガーミン、どちらも光学式心拍センサーを搭載していますが、その精度には若干の違いがあると報告されています。
興味深い比較データとして、あるランナーがForerunner 965を左腕に、COROS APEX 2を右腕に装着して同時に心拍を計測した例があります。この比較では、特にインターバルトレーニングのように心拍数が急激に上下する場面で差が出ることが報告されています。APEX 2の方が最大心拍数からリカバリー時の心拍数の低下まで、より正確にデータを捉えていたとのことです。
カロスのAPEX 2は、5つのLEDを使用した心拍センサーを採用しています。これにより、心拍数の平均誤差が約0.6%という高精度な測定が可能とされており、180bpmの高強度時でも誤差は約1.9%に収まるとの報告があります。一方、ガーミンも信頼性の高い心拍センサーを搭載していますが、インターバルトレーニングなど心拍の急激な変化を追従する点では、若干カロスに劣る場合があるようです。
ただし、トレイルランニングでは地形の変化に伴う心拍変動が大きく、また腕の振りやウォッチの装着状態によっても計測精度が変わる点に注意が必要です。両メーカーとも、より正確な心拍測定のためには胸部ベルト型の心拍計(別売)との併用をサポートしています。
健康管理機能という点では、ガーミンはBody Battery(エネルギー残量)、睡眠スコア、ストレスレベルなど、より詳細な健康管理機能を搭載しています。カロスにも類似機能としてトレーニング負荷やリカバリーという指標がありますが、生活全般のバランスを見るにはガーミンのBody Battery機能の方が優れているという意見もあります。
トレイルランニングのように強度の高いアクティビティでは、心拍ゾーンを意識したトレーニングが効果的です。この点では両メーカーとも5段階の心拍ゾーン表示に対応しており、トレーニング強度の視覚化が可能です。
総合的に見ると、心拍計測においてはCOROSが若干優位である可能性があります。特にインターバルトレーニングや心拍変動の大きいトレイルランニングでは、その差が現れる可能性があるでしょう。ただし、個人の肌質や装着状態によっても計測精度は変わるため、絶対的な優劣をつけることは難しいと言えます。
画面表示はガーミンのAMOLEDディスプレイが見やすい

トレイルランニング中は様々な条件下で画面を確認する必要があるため、ディスプレイの視認性は重要な要素です。この点において、ガーミンの最新モデルが採用しているAMOLED(有機EL)ディスプレイは高い評価を得ています。
ガーミンのForerunner 265やForerunner 965などは、鮮やかなAMOLEDディスプレイを採用しており、色の再現性が高く、画質が鮮明です。特に早朝や夕暮れ時の薄暗い環境でも視認性が高く、斜めから見た場合でも見やすさを保っています。また、解像度も高く、Forerunner 165が390×390ピクセル、Forerunner 265は416×416ピクセル、Forerunner 965に至っては454×454ピクセルの高解像度を誇ります。
一方、カロスの多くのモデルは従来型のLCD(液晶ディスプレイ)を採用しており、PACE 3の解像度は240×240ピクセルとなっています。AMOLEDに比べると色の鮮やかさや視認性では劣りますが、強い日差しの下では逆にLCDの方が見やすいと感じるユーザーもいるようです。
また、ガーミンとカロスはどちらもタッチ操作と物理ボタン操作の両方に対応しているモデルがありますが、カロスの特徴としてダイヤル式のクラウン構造を採用しているモデルがあることも特筆すべき点です。APEX 2などでは、時計の右側についているクラウン(ダイヤル)を回転させることでメニュー選択ができる設計になっています。これは手袋をつけたままでも操作しやすく、トレイルランニングのような環境では便利だという声が多いです。
ディスプレイのデータレイアウトについては、どちらのブランドもカスタマイズが可能です。トレイルランニング中に確認したい情報(距離、心拍数、標高、時刻など)を自分の好みに合わせて配置できる点は共通しています。ただし、カロスには一部のモデルで表示の最適化が十分でないケースも報告されています。例えば、トレーニングメニューのラップ数表示で「1/10ランニング」というラップの際に先頭の「1」が見切れて表示されないという不具合が一部で指摘されています(2024年5月のアップデートで改善されたとの情報もあり)。
視認性においては、AMOLEDディスプレイを採用しているガーミンに軍配が上がりますが、バッテリー消費という観点ではLCDを採用しているカロスに優位性があります。特に長時間のトレイルランニングでは、バッテリー持続時間とのトレードオフを考慮する必要があるでしょう。最終的には、どのような環境で主に使用するか、また個人の好みによって最適な選択は変わってくると言えます。
トレイルランニングでのカロスとガーミンの実用性比較
- 価格帯で選ぶならCOROSの方がコスパに優れている
- 操作性比較ではCOROSのシンプルさとガーミンの多機能性が対照的
- 登山やトレイルランに最適なモデルはそれぞれ異なる
- カロスからガーミンへの乗り換えは目的に合わせて検討を
- 連携アプリの比較ではガーミンが優位だがCOROSも独自の強みあり
- VO2max計測や健康管理機能はガーミンが充実
- まとめ:カロスとガーミンの比較でトレイルランに最適な一台を選ぶポイント
価格帯で選ぶならCOROSの方がコスパに優れている
トレイルランニング用のGPSウォッチを選ぶ際、価格は重要な検討要素の一つです。この点において、COROSはガーミンと比較して明らかにコストパフォーマンスに優れています。両メーカーの代表的なモデルの価格を比較してみましょう。
モデル | 価格(2025年5月時点) |
---|---|
COROS PACE 3 | 約33,000円 |
COROS PACE PRO | 約49,940円 |
COROS APEX 2 | 約55,000円 |
Garmin Forerunner 165 | 約39,800円 |
Garmin Forerunner 265 | 約60,800円 |
Garmin Forerunner 965 | 約84,800円 |
これを見ると、同等クラスのモデルを比較した場合、COROSはガーミンよりも約20-30%安い価格設定となっています。特に注目すべきは、COROS PACE 3が33,000円という価格でありながら、デュアルバンドGNSS対応や38時間のGPSバッテリー持続時間といった高性能機能を搭載している点です。ガーミンの場合、こうした機能は上位モデルにしか搭載されていないことが多いです。
例えば、2周波GPS測位(デュアルバンドGNSS)機能を搭載したモデルを比較すると、COROS PACE 3は33,000円ですが、同機能を持つガーミンの最安モデルはForerunner 265で60,800円となり、約2倍の価格差があります。COROS PACE 3はガーミンのForerunner 165よりも安価でありながら、GPSの精度やバッテリー持続時間で上回っているという評価も多く見られます。
また、COROSの製品は価格以上の価値を提供することが多いという点も特筆すべきでしょう。バッテリー持続時間の長さや軽量設計、そして必要十分な機能性は、特に長時間のトレイルランニングを楽しむユーザーにとって魅力的です。
一方でガーミンの製品は高価ではあるものの、その価格に見合った多機能性や拡張性、ブランドとしての信頼性を提供しています。特に、電子マネー機能(SuicaやVisaタッチ決済)や音楽再生機能など、日常生活でも便利に使える機能が豊富に搭載されている点は、ガーミンの強みです。
予算を重視する場合や、基本的なトレイルランニング機能で十分という方にはCOROSがおすすめです。特にPACE 3は、コストパフォーマンスという観点では最も優れた選択肢の一つと言えるでしょう。一方、多機能性や拡張性を求める方、または日常生活でもスマートウォッチとして活用したい方には、価格は高くてもガーミンの方が適している可能性があります。
なお、COROSは徹底的な価格コントロールを行っており、値引きやセールはどの販売プラットフォームでも行っていない点も特徴です。一方、ガーミンは時期によってはセールが行われることもあるため、タイミングによっては価格差が縮まる可能性もあります。
操作性比較ではCOROSのシンプルさとガーミンの多機能性が対照的
トレイルランニング中の操作性は、GPSウォッチを選ぶ上で重要なポイントです。カロスとガーミンではこの点で対照的なアプローチを取っています。
カロスのウォッチは、シンプルな操作性を重視した設計が特徴です。多くのモデルでは物理ボタンとデジタルダイヤル(クラウン)の組み合わせで操作する仕様となっており、特にAPEX 2などではダイヤル式のクラウン構造を採用しています。この設計は、手袋をつけたままでも操作しやすく、トレイルランニングや登山といった環境では非常に実用的です。また、UIがシンプルで直感的なため、初めて使うユーザーでも比較的短時間で操作に慣れることができます。
一方、ガーミンのウォッチは多機能性が特徴で、特に上位モデルでは5つの物理ボタン(Forerunner 55やForerunner 265/965など)と豊富な機能が組み合わさっています。最新モデルの多くはタッチスクリーンにも対応していますが、操作体系は複雑で、使いこなすまでに時間がかかる場合があります。ただし、一度操作に慣れれば、細かい設定や多様な機能へのアクセスが可能になる点は魅力です。
実際のトレイルランニング中の使用感では、カロスの方がシンプルで使いやすいという意見がある一方、ガーミンの多機能性を評価する声もあります。例えば、あるランナーはカロスのダイヤル操作を「手袋をつけたままでも使いやすい」と評価し、またシンプルなUIで「純粋なランニングに集中できる」と述べています。一方で、ガーミンのユーザーからは「細かいカスタマイズができる」「豊富な機能が魅力」といった評価が見られます。
ディスプレイ上のデータレイアウトについては、どちらのブランドもカスタマイズが可能です。トレイルランニング中に確認したい情報(距離、心拍数、標高、時刻など)を自分の好みに合わせて配置できる点は共通していますが、カロスの方がよりシンプルで見やすいとの声もあります。
物理ボタンの数も比較すると、カロスのPACE 3は2つの物理ボタンとなっているのに対し、ガーミンのForerunner 165/265/965は5つの物理ボタンを備えています。多くのボタンがあることで細かい操作が可能になる反面、どのボタンを押せば良いか迷う場面も出てくるでしょう。
このように、操作性においてはカロスのシンプルさとガーミンの多機能性が対照的です。トレイルランニングのような過酷な環境で使用する場合、シンプルな操作性と必要最低限の機能を備えたカロスに軍配が上がるケースが多いようです。一方で、多機能性や細かいカスタマイズを重視するユーザーにとっては、ガーミンの方が適している可能性があります。最終的には、自分のトレイルランニングのスタイルや求める機能に合わせて選ぶことが大切です。
登山やトレイルランに最適なモデルはそれぞれ異なる
登山とトレイルランニングでは、求められるGPSウォッチの性能や機能が若干異なります。カロスとガーミンはどちらも、用途に応じて最適なモデルを提供しています。
【登山向けモデル】
登山では長時間のバッテリー持続時間、高度計や気圧計、コンパス機能、そして耐久性が重要です。
カロスでは、登山向けにVERTIXシリーズを展開しています。特にVERTIX 2Sは、高度計、気圧計、コンパス機能を備え、リアルタイムで環境情報を確認できます。また、-20°Cから60°Cの温度範囲で動作し、水深100メートルまでの防水性能を持つ高い耐久性が特徴です。
ガーミンでは、fenixシリーズが登山に最適なモデルとして知られています。特にfenix 6 Proは、詳細な地図表示機能やGarmin Exploreアプリとの連携によるルート計画やナビゲーション機能を備えています。また、SOS機能も搭載されており、緊急時の安全性を確保できます。事故や道に迷った際には、ボタン一つで位置情報を送信し、救助を呼ぶことが可能です。さらに、血中酸素濃度を測定する機能も備えており、高山病のリスク管理にも役立ちます。
【トレイルランニング向けモデル】
トレイルランニングでは、軽量性、使いやすさ、GPSトラッキングの精度、そしてバッテリー持続時間が重要になります。
カロスではAPEXシリーズがトレイルランニング向けに設計されています。APEX 2は重量42gと軽量でありながら、GPSモードで最大45時間のバッテリー持続時間を実現。高精度なGPS、心拍モニタリング、高低図表示など、トレイルランナーに必要な基本機能を完備しています。
ガーミンではForerunnerシリーズの中でも特にForerunner 265やForerunner 965がトレイルランニングに適しています。トレイルランニング用のデータ記録、VO2max計測、リカバリータイムの表示など、パフォーマンス分析に優れています。特にForerunner 965は詳細な地図表示機能とナビゲーション機能を備えており、複雑なトレイルでも迷うことなく走行できます。
【比較表】
用途 | カロス推奨モデル | ガーミン推奨モデル |
---|---|---|
登山 | VERTIX 2S (93,500円) | fenix 6 Pro (78,699円) |
トレイルランニング | APEX 2 (55,000円) | Forerunner 965 (84,800円) |
エントリー向け | PACE 3 (33,000円) | Forerunner 165 (39,800円) |
実際のユーザー体験では、カロスのAPEX 2を使用したトレイルランナーからは「軽量で長時間のトレイルでも疲れにくい」「バッテリーが圧倒的に持つので100マイルレースでも安心」といった評価が見られます。一方、ガーミンのForerunner 965ユーザーからは「地図表示が見やすく分岐点でも迷わない」「分岐アラートが便利で走りに集中できる」といった声が聞かれます。
総合的に見ると、長時間のウルトラトレイルや重量を極限まで減らしたい方にはカロスのAPEXシリーズ、詳細な地図機能やナビゲーションを重視する方にはガーミンのForerunner 965やfenixシリーズが適しているでしょう。エントリーモデルとしては、コストパフォーマンスに優れたカロスのPACE 3が良い選択肢となるでしょう。
カロスからガーミンへの乗り換えは目的に合わせて検討を

ガーミンユーザーがカロスに乗り換えるケース、またはその逆のケースも見られます。この乗り換えを検討する際のポイントや実際の体験例を見ていきましょう。
実際にガーミンからカロスに乗り換えたユーザーの声として、「GarminからCOROSに乗り換えた」というブログ記事があります。この方は3年間使用したGarmin ForeAthlete 55から、バッテリー性能悪化をきっかけにCOROS APEX 2に乗り換えています。乗り換え後の感想として、「軽さに驚かされた」「ベルトのフィット感がCOROSの方が合っていてブレがない」と述べています。また、「タッチディスプレイが便利」「充電持ちがいい」「GPSのキャッチが速い」といった点を乗り換えてよかった点として挙げています。
一方で、「ガーミンの方が便利だったこと」として、「ボディバッテリーが指標として良かった」「トレーニングメニューのラップ数表示がしっかりしていた」「メジャーではないアプリへの連携性」を挙げています。特にガーミンのBody Battery機能(カラダのエネルギーを数値化する機能)は、COROSにも類似機能があるものの、「生活全般のバランスを見るにはガーミンのボディバッテリー機能が優れていた」と評価しています。
別のユーザーからは、「AmazfitからCOROS APEX 2に乗り換えて感じたのは、心拍計の精度の高さ」という声もあります。「中国メーカーより明らかに精度が高く、測定も安定している」と指摘しています。
乗り換えを検討する際のポイントとしては、以下が挙げられます:
- 目的の明確化: トレイルランニング専用に使いたいのか、日常生活でも活用したいのかを明確にする
- 重視する機能: バッテリー持続時間、GPS精度、ナビゲーション機能、心拍計測精度など
- 予算: ガーミンの方が一般的に高価だが、多機能
- 使用環境: 長距離トレイルが主なら長時間バッテリーのカロスが有利
- 連携アプリ: Strava等の特定アプリとの連携が重要なら対応状況を確認
データの移行に関しては、ガーミンとカロスのどちらも主要なプラットフォーム(Stravaなど)との連携が可能なため、過去のトレーニングデータを失うことなく乗り換えることができます。ただし、詳細な設定やカスタマイズは再度行う必要があるでしょう。
トレイルランニングを主目的とするなら、バッテリー持続時間と軽量性に優れるカロスへの乗り換えはメリットが大きいと言えます。特に長距離トレイルレースでバッテリー切れの不安を解消したい方には、カロスがおすすめです。一方、多機能性やスマート機能(電子マネー、音楽再生など)を重視するなら、ガーミンの方が適している場合もあります。
最終的には、個人のトレイルランニングのスタイルや求める機能によって最適な選択は異なります。可能であれば、知人のカロスやガーミンを試用してみるか、詳細なレビューをチェックしてから乗り換えを決断することをおすすめします。
連携アプリの比較ではガーミンが優位だがCOROSも独自の強みあり
GPSウォッチの使い勝手を左右する重要な要素として、スマートフォンアプリとの連携や、他のトレーニングアプリとの互換性があります。この点について、ガーミンとカロスを比較してみましょう。
ガーミンは「Garmin Connect」というアプリを提供しており、これはランニングデータの管理だけでなく、睡眠、ストレス、体重など様々な健康データを一元管理できる包括的なプラットフォームとなっています。特に多くのユーザーから評価されているのは、詳細なデータ分析機能です。トレーニング効果、VO2Max、心拍変動、リカバリー時間など、パフォーマンス向上に役立つ指標が豊富に用意されています。また、コーチ機能も日本語対応しており、初心者でも専門的なアドバイスやトレーニングプランを受け取りやすい環境が整っています。
一方、カロスは「COROS」というアプリを提供しており、シンプルながらもトレーニングデータの分析に特化した機能が充実しています。特にカロスの強みとして、「COROS TRAINING HUB」という、NNランニングチーム(キプチョゲなどが所属する世界トップレベルのチーム)も採用する詳細なトレーニング分析ツールを提供している点が挙げられます。ただし、この機能は英語のみの対応となっているため、日本語での使用を希望する場合は注意が必要です。
他のアプリとの連携性については、両メーカーとも主要なトレーニングアプリ(Strava、Training Peaksなど)との連携が可能です。しかし、メジャーではないアプリへの対応状況では差が出てきます。例えば、カロスはアシックスのRunKeeperへの対応はしていないという報告があります。ガーミンは長い歴史と大きなシェアを持つため、対応アプリの数では優位に立っています。
スマートフォンとの連携機能についても違いがあります。ガーミンは通知機能が安定しており、常時接続が可能です。一方、カロスは一部モデルでバッテリー持ちを重視するためか、Bluetooth接続が時々切れて通知が来ないことがあるとの報告があります。
データの視覚化と分析の観点では、両アプリとも充実していますが、アプローチが異なります。ガーミンのConnectアプリは多機能で様々なデータを見ることができますが、その分インターフェースが複雑になっている面があります。一方、カロスのアプリはよりシンプルで直感的という評価が多く、必要なデータに素早くアクセスできるという利点があります。
実際のユーザー評価では、「カロスのアプリの作り込みがいい」「購入する前から『COROSは、ソフトウェアの作り込みがいい』という評判だったので期待はしていたのですが、ホンマにアプリの作り込みがいいと感じました」という声があります。特に「ランニングレベル」の指標は、日々のトレーニングやレースを通して、どれだけレベルが上がったのか、想定されるフルマラソン、ハーフマラソンなどの走力などが確認できる点が評価されています。
総合的に見ると、アプリの使いやすさや多機能性ではガーミンに軍配が上がるものの、カロスもトレーニングデータの分析に特化した独自の強みを持っています。特にシリアスなトレイルランナーやマラソンランナーであれば、カロスのTRAINING HUBは魅力的なツールとなるでしょう。一方、幅広いアプリとの連携性や日常的な健康管理機能も重視するなら、ガーミンの方が適している可能性があります。
VO2max計測や健康管理機能はガーミンが充実
トレイルランニングのパフォーマンス向上やコンディショニングに役立つ機能として、VO2max計測や各種健康管理機能があります。この点に関して、ガーミンとカロスにはいくつかの違いがあります。
VO2max(最大酸素摂取量)は持久力の重要な指標であり、トレイルランナーにとって自分の体力レベルを把握する上で有用です。ガーミンもカロスも、VO2max計測機能を搭載していますが、その精度や表示方法には違いがあります。
ガーミンのForerunnerシリーズでは、VO2maxの数値だけでなく、その数値が「優れている」「非常に良い」「良い」といった評価とともに表示されます。また、地形や気温の影響を考慮したVO2maxの調整機能(高度適応/暑熱適応)も備えており、山岳地域や暑い環境でのトレーニングでも正確な評価が可能です。
一方、カロスもVO2max計測機能を備えていますが、その表示はよりシンプルです。数値のみの表示となっていることが多く、初心者にとってはその数値が良いのか悪いのかを判断しにくい面があるかもしれません。ただし、トレーニングレベルやトレーニング負荷などの指標と組み合わせることで、トレーニング効果を総合的に判断できる仕組みになっています。
健康管理機能においても両者には違いがあります。ガーミンは「Body Battery」(エネルギー残量)、「睡眠スコア」、「ストレスレベル」、「フィットネス年齢」など、より詳細な健康管理機能を搭載しています。これらの機能は時計上で分かりやすく表示され、日常的な健康管理ツールとしても活用できます。特にBodyBatteryは、睡眠の質やアクティビティによる消費エネルギーを総合的に評価し、その日の体のエネルギー状態を0〜100の数値で示してくれる便利な機能です。
カロスにも類似機能として「トレーニング負荷」「リカバリー」という指標がありますが、生活全般のバランスを見るには、ガーミンのBodyBattery機能の方が優れているという意見もあります。例えば、「トレーニング負荷は落ち着いているものの、飲み会続きで走れていないけど身体は疲れている」といった時のコンディションの数値についてはカロスはあまり得意ではないとの指摘もあります。
睡眠モニタリングに関しては、両者とも睡眠時間や睡眠の質(浅い・深い・レム睡眠)を記録できますが、ガーミンの方がより詳細な分析を提供しています。例えば、睡眠スコアという形で睡眠の質を数値化し、改善のためのアドバイスも提供しています。
心拍変動(HRV)の測定も両方のウォッチに搭載されていますが、ガーミンでは「HRVステータス」として自律神経のバランスをより詳細に分析する機能があります。これにより、オーバートレーニングの兆候や体の回復状態をより正確に把握できます。
ガーミンの上位モデル(Forerunner 965など)には「リアルタイムスタミナ」という機能もあり、現在のペースや心拍数に基づいて、どれくらい先までそのペースを維持できるかを予測してくれます。これはレース中のペース配分に役立つ機能です。
総じて、健康管理機能やトレーニング分析機能の豊富さではガーミンに軍配が上がりますが、カロスもトレイルランニングに必要な基本的な機能は備えており、シンプルさを求めるユーザーには十分と言えるでしょう。トレイルランニングのパフォーマンス向上に直結する機能を重視するか、総合的な健康管理も含めた幅広い機能を求めるかによって、最適な選択は変わってくると言えます。
まとめ:カロスとガーミンの比較でトレイルランに最適な一台を選ぶポイント
最後に記事のポイントをまとめます。
- カロスはバッテリー持続時間が圧倒的に長く、PACE 3やAPEX 2は38時間以上のGPS駆動が可能で長距離トレイルに最適
- ガーミンはナビゲーション機能が優れており、特に分岐アラート機能はトレイルでのミスコース防止に効果的
- GPS精度は両ブランドとも高いが、カロスはエントリーモデルでもデュアルバンドGNSS対応でコスパが良い
- 心拍計測精度はCOROSが若干優れており、特にインターバルトレーニングなど心拍変動の大きい場面で差が出る
- ディスプレイ視認性はガーミンのAMOLEDが優れるが、バッテリー消費とのトレードオフがある
- 価格面ではCOROSが20-30%安く、特にPACE 3は33,000円で高性能な機能を備えたコスパ最強モデル
- 操作性ではCOROSがシンプルで直感的、ガーミンは多機能だが操作が複雑な傾向
- 登山向けにはカロスVERTIX 2S、ガーミンfenix 6 Proが優れた選択肢
- トレイルランに特化するならカロスAPEX 2、地図機能も重視するならガーミンForerunner 965がおすすめ
- アプリ連携ではガーミンの方が対応アプリ数が多いが、カロスもトレーニング分析に特化した独自の強みを持つ
- 健康管理機能はガーミンが充実しており、特にBodyBatteryや睡眠分析が優れている
- カロスは「純粋なランニングウォッチ」としてのシンプルさ、ガーミンは「スマート機能も備えた多機能ウォッチ」としての総合力が魅力
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://note.com/nakanoryo/n/n078204cbc388
- https://haute-chrono.com/coros-garmin-hikaku/
- https://note.com/goasiatrail/n/n6cad36611d15
- https://compare-edge.com/coros-garmin-hikaku/
- https://notrailnolife.com/garmin-coros-trail
- https://ameblo.jp/turkey-run/entry-12850564787.html
- https://www.garmin.co.jp/minisite/forerunner/series/
- https://kakakumag.com/pc-smartphone/?id=21668
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