ガーミンのGPSウォッチを使っているランナーなら、一度は「予想タイム」機能を見たことがあるでしょう。5km、10km、ハーフマラソン、フルマラソンの予想タイムが表示されるこの機能ですが、「実際のタイムと全然違う」「あてにならない」といった声も多く聞かれます。実際に、マラソン2時間7分台の自己ベストを持つ川内優輝選手の予想タイムが3時間9分台だったという事例もあり、その精度について疑問視されることも少なくありません。
しかし、ガーミンの予想タイム機能を正しく理解し、適切に設定すれば、トレーニングの指針として十分活用できる機能でもあります。この記事では、予想タイムの仕組みから表示方法、精度の問題、そして効果的な活用法まで、ガーミンユーザーが知っておくべき情報を網羅的に解説していきます。
記事のポイント!
- ガーミン予想タイムの算出方法とVO2Maxとの関係
- 予想タイムが実際と異なる理由と改善方法
- 正確な予想タイムを得るための設定手順
- 予想タイムを効果的に活用するための注意点
ガーミン予想タイムの基本知識と仕組み
- 1. ガーミン予想タイムとは何かを理解する
- 2. ガーミン予想タイムの表示方法は簡単な操作で確認可能
- 3. ガーミン予想タイムの算出方法はVO2Maxとトレーニング履歴が基準
- 4. ガーミン予想タイムに必要な設定は3つの自動検出機能
- 5. ガーミン予想タイムの精度は完璧ではない現実
- 6. ガーミン予想タイムが遅い理由は練習不足や設定ミス
ガーミン予想タイムとは何かを理解する
ガーミンの予想タイム機能は、現在のフィットネスレベルに基づいて5km、10km、ハーフマラソン、フルマラソンの4つの距離でのレース完走予想時間を表示する機能です。この機能は、ユーザーのVO2Max値とトレーニング履歴を分析して算出されており、定期的に更新されるため、トレーニングの効果を数値で確認できる便利なツールとして位置づけられています。
従来のガーミン235シリーズなどの古い機種では、VO2Maxと予想タイムが完全に1対1で対応していました。つまり、VO2Maxが50なら5kmは20分50秒、フルマラソンは3時間19分08秒といったように固定的な関係性がありました。しかし、現在の245シリーズや945、965などの新しい機種では、この関係性はより複雑になっており、練習するたびに微妙に変化するようになっています。
この変化は、ガーミンがより多角的なデータを活用して予想精度を高めようとしている証拠でもあります。単純にVO2Maxだけでなく、最近のトレーニング強度、頻度、心拍数の変化パターンなども考慮に入れることで、より現実的な予想タイムを提示しようとしているのです。
また、予想タイムは「レースに向けて適切なトレーニングを完了していることを前提としたタイム」として表示されることが公式マニュアルにも明記されています。つまり、現在の体力でそのままレースに出場した場合のタイムではなく、理想的な調整を行った場合の予想タイムということになります。
この基本的な理解を持つことで、予想タイムの数値に一喜一憂することなく、客観的な指標として活用することが可能になります。
ガーミン予想タイムの表示方法は簡単な操作で確認可能

ガーミンウォッチで予想タイムを確認する方法は、機種によって若干異なりますが、基本的な手順は共通しています。最も一般的な方法は、時計の画面からウィジェット機能を使って確認する方法です。
まず、ウォッチフェイスページでUPキーまたはDOWNキーを押して、パフォーマンスウィジェットを表示させます。ランナーのピクトグラムが表示されたら、STARTキーを押してウィジェットを全画面で表示します。その後、DOWNキーを数回押してスクロールすることで、予想タイムの画面にたどり着くことができます。
ForeAthlete 945や965では、パフォーマンス測定結果一覧をスクロールすることで、5km、10km、ハーフマラソン、マラソンの予想タイムを順番に確認できます。一方、ForeAthlete 55などのエントリーモデルでも、同様の手順で予想タイムを確認することが可能です。
注意点として、初めて使用する場合や、しばらく使用していない場合は、予想タイムが表示されない可能性があります。これは、デバイスがユーザーのランニングパフォーマンスを学習するために、複数回のランニングアクティビティの実行が必要だからです。
また、表示される予想タイムは、定期的に更新されるため、同じ日でも練習前後で数値が変わることがあります。これは異常ではなく、ガーミンが最新のトレーニングデータを反映している証拠です。スマートウォッチの操作に慣れていない方でも、数回練習すれば簡単に確認できるようになるでしょう。
ガーミン予想タイムの算出方法はVO2Maxとトレーニング履歴が基準
ガーミンの予想タイム算出には、複数の要素が組み合わされています。主要な要素としては、VO2Max、ユーザープロフィール、最大心拍数、そして過去数週間のトレーニング履歴が挙げられます。これらのデータを総合的に分析することで、各距離での予想タイムが導き出されています。
VO2Maxは最大酸素摂取量のことで、体重1kgあたり1分間に摂取できる酸素の最大量を表す指標です。一般的に、VO2Maxが高いほど持久力が優れているとされ、長距離走のパフォーマンスと密接な関係があります。ガーミンでは、ランニング中の心拍数データやペースデータを分析してVO2Maxを推定しており、この数値をベースに予想タイムを算出しています。
しかし、調査の結果、ガーミンの予想タイムシステムは単純にVO2Maxだけを使用しているわけではないことが分かっています。例えば、同じVO2Max値を持つランナーでも、トレーニング内容や頻度によって予想タイムが異なることがあります。これは、ランニングエコノミー(走行効率)や乳酸作業閾値なども考慮されているためと推測されます。
特に興味深いのは、短距離と長距離での予想タイムの関係性です。5kmの予想タイムが優秀でも、フルマラソンの予想タイムが相対的に劣る場合、そのランナーは「スピード型」である可能性を示唆しています。逆に、長距離の予想タイムが優秀な場合は「スタミナ型」と判断できるかもしれません。
このようなアルゴリズムにより、ガーミンは単純な数式ではなく、多角的な分析を通じて予想タイムを提供しようとしています。ただし、これらの計算は推定に基づくものであり、実際のレースパフォーマンスとは異なる場合があることを理解しておく必要があります。
ガーミン予想タイムに必要な設定は3つの自動検出機能
正確な予想タイムを得るためには、ガーミンウォッチの設定を適切に行う必要があります。特に重要なのは、最大心拍数の自動検出、パフォーマンスコンディション、TrueUpの3つの機能です。これらの設定が正しく行われていないと、予想タイムの精度が大幅に低下する可能性があります。
最大心拍数の自動検出を有効にするには、UPキーを長押ししてメニューページを表示し、「トレーニングレベル」→「自動検出」→「最大心拍数」の順に選択します。この機能により、ガーミンは運動中の心拍数データから自動的に最大心拍数を更新し、より精度の高いVO2Max算出が可能になります。
パフォーマンスコンディションの通知機能も重要な設定の一つです。この機能を有効にすることで、アクティビティ実行中や完了時にパフォーマンスコンディションやリカバリータイムなどの測定結果が通知されるようになります。設定方法は、「トレーニングレベル」→「パフォーマンスコンディション」の順に選択し、機能をオンにします。
TrueUp機能は、複数のガーミンデバイスを使用している場合に特に重要です。この機能により、異なるデバイスで記録されたアクティビティやパフォーマンス測定の結果がGarmin Connectアカウント経由で同期されるため、より包括的なデータに基づいた予想タイムの算出が可能になります。
これらの設定に加えて、ユーザープロフィール(年齢、性別、身長、体重)の正確な入力も重要です。不正確なプロフィール情報は、VO2Maxの算出に直接影響し、結果として予想タイムの精度低下につながります。また、心拍数を正確に測定するために、胸ベルト式心拍計の使用も推奨されています。光学式心拍計でも十分な精度は得られますが、より正確なデータを求める場合は胸ベルト式を検討してみてください。
ガーミン予想タイムの精度は完璧ではない現実
ガーミンの予想タイム機能について、多くのユーザーが「精度が低い」「実際のタイムと大きく異なる」という感想を持っているのが現実です。実際に、トップレベルのランナーでも予想タイムが実際の走力と大きくかけ離れることがあり、この機能の限界を示している事例も少なくありません。
川内優輝選手の例では、2時間7分台でフルマラソンを走る実力がありながら、ガーミンの予想タイムが3時間9分台だったという事例が報告されています。これは予想タイムが実際より1時間以上遅く算出されていることを意味し、プロレベルでも予想タイムの精度に課題があることを示しています。
一方で、一般ランナーの場合は逆に実際の走力より速い予想タイムが表示されることも多く見られます。特に5kmや10kmの予想タイムは数年前のベストタイムに近い数値が出る一方で、現在の体調では到底達成不可能なタイムになっているケースもあります。これは、ガーミンのアルゴリズムが過去のピークパフォーマンスを参照している可能性を示唆しています。
予想タイムの精度に影響する要因として、トレーニングの種類や頻度、環境条件、体調変化などが挙げられます。例えば、インターバルトレーニングなど強度の高い練習を行った直後は予想タイムが向上し、低強度の練習や休養が続くと予想タイムが低下する傾向があります。
また、ガーミンが使用しているVO2Max推定方法にも限界があります。実際のVO2Max測定は専用の機器とマスクを使用した呼気ガス分析が必要ですが、ガーミンは心拍数とペースの関係から推定しているため、個人差や測定環境による誤差が生じる可能性があります。これらの限界を理解した上で、予想タイムを参考程度に捉えることが重要です。
ガーミン予想タイムが遅い理由は練習不足や設定ミス

ガーミンの予想タイムが実際の走力より遅く表示される場合、いくつかの原因が考えられます。最も一般的な原因は、十分なトレーニングデータの蓄積不足や、適切な設定が行われていないことです。
トレーニングデータの不足は、特にガーミンウォッチを使い始めたばかりのユーザーに多く見られる問題です。ガーミンの予想タイム算出には数週間分のトレーニングデータが必要で、データが不足している初期段階では精度の低い予想タイムが表示される可能性があります。継続的にランニングアクティビティを記録することで、徐々に精度が向上していきます。
設定面では、最大心拍数の設定ミスが大きな影響を与えます。一般的な推定式「220-年齢」で設定されている場合、実際の最大心拍数と大きく異なることがあり、これがVO2Max算出の誤差につながります。自動検出機能を有効にするか、実際の最大心拍数を正確に測定して手動設定することが推奨されます。
トレーニング内容の偏りも予想タイムが遅くなる原因の一つです。低強度のジョギングばかりを行っている場合、ガーミンは心拍数の上昇パターンから体力レベルを低く判定する可能性があります。適度に強度の高いトレーニングを組み込むことで、より正確な体力評価が期待できます。
心拍計の装着方法にも注意が必要です。手首での光学式心拍計測は、装着が緩すぎると正確な心拍数が測定できません。特にランニング中は、時計がずれないよう適度に締めて装着することが重要です。また、寒い環境では光学式心拍計が誤動作しやすいため、胸ベルト式心拍計の使用を検討してみてください。
データの同期不足も見落としがちな原因です。TrueUp機能が無効になっている場合、複数のデバイスで記録したトレーニングデータが統合されず、不完全なデータに基づいて予想タイムが算出される可能性があります。
ガーミン予想タイムの活用法と注意点
- 7. ガーミン予想タイムが速すぎる場合の対処法
- 8. ガーミン予想タイムをスマホアプリで確認する方法
- 9. ガーミン予想タイムの255と265での違い
- 10. ガーミン予想タイムがあてにならない理由と対策
- 11. ガーミン予想タイムの効果的な活用方法
- 12. ガーミン予想タイムを使う際の注意点
- 13. まとめ:ガーミン予想タイムを正しく理解して活用する
ガーミン予想タイムが速すぎる場合の対処法
ガーミンの予想タイムが実際の走力より明らかに速すぎる場合、いくつかの対処法が考えられます。この現象は特に一般ランナーに多く見られ、現実とのギャップに困惑するケースも少なくありません。
まず考えられる原因として、過去の高いパフォーマンスデータが影響している可能性があります。ガーミンは過去数週間のトレーニング履歴を参照するため、体調が良い時期に記録した高いVO2Max値や優秀なパフォーマンスデータが、現在の予想タイムに反映され続けている可能性があります。この場合、継続的に現実的なペースでのトレーニングを行うことで、徐々に予想タイムが調整されていきます。
心拍数測定の精度も重要な要因です。光学式心拍計が正常に機能していない場合、実際より低い心拍数で高いペースを維持していると誤認され、実力以上の評価につながることがあります。心拍計の装着位置を調整したり、定期的に手動で心拍数を確認したりして、測定精度を向上させることが大切です。
トレーニング環境の影響も考慮する必要があります。追い風の強い日や下り坂の多いコースでのトレーニングデータが多い場合、実際よりも高いパフォーマンスとして記録される可能性があります。様々な条件下でのトレーニングデータをバランスよく蓄積することで、より現実的な予想タイムに近づけることができます。
設定の見直しも効果的です。ユーザープロフィールの情報(特に年齢や体重)が古いままになっている場合、現在の体力レベルと合わない予想タイムが表示される可能性があります。定期的にプロフィール情報を更新し、現在の状況に合わせることが重要です。
また、ガーミンの予想タイムはあくまで推定値であることを理解し、実際のレース経験や練習での感覚を重視することも大切です。予想タイムに振り回されることなく、自分の体感や実際のパフォーマンスを基準にトレーニング計画を立てることをお勧めします。
ガーミン予想タイムをスマホアプリで確認する方法

ガーミンの予想タイムは、時計本体だけでなくスマートフォンのGarmin Connectアプリでも確認できます。しかし、調査の結果、アプリ上では予想タイムの詳細情報が時計ほど詳しく表示されない場合があることが分かっています。
Garmin Connectアプリでの確認方法は、まずアプリを開いて右下の「詳細」タブをタップします。次に「パフォーマンス統計」を選択し、「VO2Max」の項目を探します。VO2Maxのグラフや数値は確認できますが、具体的な予想タイムについては、時計本体での確認の方が詳細な情報を得られる場合が多いようです。
一部のユーザーからは、アプリ上で予想タイムが表示されない、または更新が遅いという報告もあります。これは、アプリと時計の同期タイミングの違いや、アプリのバージョンによる機能差が原因と考えられます。最新バージョンのアプリを使用し、定期的な同期を行うことで、このような問題を軽減できる場合があります。
スマートフォンでの確認メリットとしては、大きな画面でデータを見やすく確認できることや、過去の履歴をグラフで視覚的に把握しやすいことが挙げられます。特にVO2Maxの推移グラフは、トレーニング効果を長期的に評価する際に有用です。
ただし、最も正確で最新の予想タイムを確認したい場合は、時計本体での確認を優先することをお勧めします。アプリはあくまで補助的な確認手段として活用し、詳細な情報は時計で確認するという使い分けが効果的です。
また、アプリでは他のパフォーマンス指標(トレーニング負荷、リカバリータイムなど)も併せて確認できるため、予想タイムと合わせて総合的な体力評価を行うことが可能です。これらの情報を組み合わせることで、より包括的なトレーニング管理が実現できるでしょう。
ガーミン予想タイムの255と265での違い
ガーミンForeAthlete 255と265は、同じ価格帯でありながら予想タイム機能に若干の違いがあります。基本的なアルゴリズムは共通していますが、搭載されているセンサーや処理能力の違いが予想タイムの精度に影響を与える可能性があります。
ForeAthlete 265は、255と比較してより高精度なGPSチップセットを搭載しており、位置情報の精度向上が期待できます。これにより、ペース測定の精度が向上し、結果として予想タイム算出の基礎データがより正確になる可能性があります。特に、複雑なコースや建物が多い環境でのランニングでは、この差が顕著に現れる場合があります。
心拍数測定についても、265では光学式心拍センサーの性能が向上しており、運動中の心拍数測定精度が255より高いとされています。心拍数データはVO2Max算出の重要な要素であるため、この改善は予想タイムの精度向上に直結する可能性があります。
しかし、実際のユーザーレビューを見ると、予想タイムの精度については255と265で劇的な差があるという報告は少ないようです。これは、予想タイムの算出が単一のセンサー性能だけでなく、複合的なアルゴリズムに依存しているためと考えられます。
価格差を考慮すると、予想タイム機能だけを目的として265を選ぶ必要性は低いかもしれません。ただし、より長期的にガーミンウォッチを使用し、トレーニングデータの精度を重視する場合は、265の方が有利である可能性があります。
どちらの機種を選ぶ場合でも、適切な設定と継続的な使用が予想タイムの精度向上には最も重要です。機種の違いよりも、正しい使い方を身につけることの方が、予想タイム活用において大きな効果をもたらすでしょう。
ガーミン予想タイムがあてにならない理由と対策
多くのガーミンユーザーが「予想タイムがあてにならない」と感じる理由には、技術的な限界と使用方法の問題の両方が関係しています。これらの理由を理解し、適切な対策を講じることで、予想タイムをより有効に活用することが可能になります。
最も大きな理由の一つは、ガーミンが使用しているVO2Max推定方法の限界です。実際のVO2Max測定には専用の呼気ガス分析装置が必要ですが、ガーミンは心拍数とペースの関係から推定しているため、個人差や環境要因による誤差が生じやすくなります。特に、ランニングエコノミー(走行効率)や乳酸作業閾値などの個人特性は十分に反映されない可能性があります。
トレーニングデータの偏りも大きな要因です。例えば、強度の高いインターバルトレーニングばかり行っている場合と、ゆっくりとしたジョギングばかり行っている場合では、同じ距離・時間のトレーニングでも体力評価が大きく異なります。バランスの取れたトレーニングメニューを心がけることで、より正確な評価が期待できます。
環境条件の影響も見逃せません。気温、湿度、風向き、コースの起伏などは実際のパフォーマンスに大きく影響しますが、ガーミンはこれらの要因を十分に考慮できていない可能性があります。様々な条件下でのトレーニングデータを蓄積することで、この影響を軽減できるかもしれません。
対策としては、まず予想タイムを絶対的な指標として見るのではなく、相対的な変化の傾向を見ることが重要です。予想タイムの絶対値よりも、向上しているか低下しているかの傾向に注目することで、トレーニング効果を評価する指標として活用できます。
また、実際のレース結果や練習でのタイム測定と比較検証を行うことも大切です。定期的に同じコースでタイムトライアルを行い、予想タイムとの差を把握することで、自分の場合の予想タイムの傾向を理解できるようになります。
複数の指標を組み合わせることも効果的です。予想タイムだけでなく、トレーニング負荷、リカバリータイム、パフォーマンスコンディションなどの他の指標も参考にすることで、より包括的な体力評価が可能になります。
ガーミン予想タイムの効果的な活用方法

ガーミンの予想タイム機能を効果的に活用するためには、その特性を理解し、適切な方法で利用することが重要です。予想タイムを単独で判断材料とするのではなく、他の指標と組み合わせて総合的に評価することで、トレーニングの質を向上させることができます。
最も有効な活用方法の一つは、距離適性の把握です。5km、10km、ハーフマラソン、フルマラソンの各予想タイムを比較することで、自分がスピード型かスタミナ型かを判断できます。短距離の予想タイムが相対的に優秀な場合はスピード型、長距離が得意な場合はスタミナ型と考えられ、これに基づいてトレーニングメニューを調整することができます。
トレーニング効果の確認にも有効です。継続的にトレーニングを行っている場合、予想タイムの変化から体力向上の傾向を把握できます。ただし、日々の変動に一喜一憂するのではなく、週単位や月単位での変化を見ることが大切です。
目標設定の参考としても活用できます。現在の予想タイムと目標タイムの差を把握することで、どの程度の体力向上が必要かを客観的に評価できます。ただし、予想タイムはあくまで推定値であることを忘れず、実際のレース経験も考慮に入れることが重要です。
モチベーション維持のツールとしても有効です。新しい機種では、日々微妙な変化が見られるため、トレーニングの効果を数値で実感することができます。これにより、継続的なトレーニングへのモチベーションを維持しやすくなります。
練習ペースの設定にも参考になります。フルマラソンの予想タイムから逆算したマラソンペースを、LSDやペース走の基準として活用できます。ただし、予想タイムの精度には限界があるため、実際の練習での感覚も重視することが大切です。
ガーミン予想タイムを使う際の注意点
ガーミンの予想タイム機能を使用する際には、いくつかの重要な注意点を理解しておく必要があります。これらの注意点を守ることで、予想タイム機能を健全に活用し、トレーニングに悪影響を与えることを避けることができます。
最も重要な注意点は、予想タイムを絶対的な基準として扱わないことです。予想タイムは推定値であり、実際のレースパフォーマンスとは異なる場合があることを常に念頭に置く必要があります。特に、実際の走力とかけ離れた予想タイムが表示された場合は、鵜呑みにせずに実際の練習感覚や過去のレース結果と照らし合わせて判断することが大切です。
予想タイムにこだわりすぎることで生じるリスクにも注意が必要です。予想タイムを向上させるために強度の高い練習ばかりを行うと、オーバートレーニングや怪我のリスクが高まります。バランスの取れたトレーニングメニューを心がけ、体の調子や疲労度も考慮に入れることが重要です。
初期段階での精度の低さも理解しておく必要があります。ガーミンウォッチを使い始めたばかりの時期は、十分なデータが蓄積されていないため、予想タイムの精度が低い可能性があります。数週間から数ヶ月の継続使用により、徐々に精度が向上することを理解し、初期の数値に過度に反応しないことが大切です。
環境要因の影響も考慮する必要があります。気温、湿度、風向き、コースの特性などは実際のパフォーマンスに大きく影響しますが、これらの要因は予想タイムに十分反映されない可能性があります。実際のレースでは、これらの環境要因も考慮に入れた戦略を立てることが重要です。
他の指標との整合性も確認することをお勧めします。予想タイムだけでなく、VO2Max、トレーニング負荷、リカバリータイムなどの他の指標と照らし合わせることで、より客観的な体力評価が可能になります。一つの指標だけに依存するのではなく、総合的な判断を心がけることが大切です。
まとめ:ガーミン予想タイムを正しく理解して活用する
最後に記事のポイントをまとめます。
- ガーミン予想タイムはVO2Maxとトレーニング履歴に基づく推定値である
- 予想タイムの表示方法は時計のパフォーマンスウィジェットから簡単に確認可能
- 正確な予想タイムには最大心拍数自動検出など3つの設定が必要
- 予想タイムの精度は完璧ではなく実際のタイムと異なる場合が多い
- 予想タイムが遅い場合はトレーニングデータ不足や設定ミスが原因の可能性
- 予想タイムが速すぎる場合は過去の高パフォーマンスデータの影響が考えられる
- スマホアプリでも確認可能だが時計本体の方が詳細情報を得られる
- 255と265での予想タイム精度に劇的な差はない
- 予想タイムがあてにならない理由にはVO2Max推定の限界がある
- 距離適性の把握やトレーニング効果確認に効果的活用が可能
- 絶対的基準として扱わず相対的変化の傾向を重視すべき
- オーバートレーニング防止のため予想タイムにこだわりすぎない注意が必要
- 継続使用により徐々に精度が向上する特性を理解することが重要
- 環境要因の影響は十分反映されないため実際のレースでは別途考慮が必要
- 他の指標と組み合わせた総合的な体力評価が効果的活用の鍵である
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
• https://ameblo.jp/shikokurunner/entry-12790434862.html • https://pipio.run/2021/05/09/predicted_race_times/ • https://www.all-out-running.com/entry/2018/02/27/202642 • https://www.garmin.co.jp/minisite/runningscience/ • https://54runtrail.com/runninggear/garmin_vo2max/ • https://www8.garmin.com/manuals-apac/webhelp/forerunner945/JA-JP/GUID-ECAEF29B-044A-419D-B67D-312DDA04CFE7-9800.html • https://x.com/kawauchi2019/status/1297473981163823104 • https://www8.garmin.com/manuals-apac/webhelp/forerunner55/JA-JP/GUID-0BC99359-1F72-48CD-9B32-D60D1B1C9CC5-4540.html • https://fun-run.tokyo/blog/2021/11/20/%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%81%AEvo2max%E3%82%84%E4%BA%88%E6%83%B3%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%A0%E6%A9%9F%E8%83%BD%E3%81%AE%E7%B2%BE%E5%BA%A6/ • https://note.com/runningon/n/n05100d0f3117