ロレックスの高騰が止まらない昨今、「昔は安かったのに」という声をよく耳にします。確かに1990年代には多くのモデルが30万~40万円台で購入でき、バブル期でもデイトジャストは定価で手に入れることができました。特に30年前は、サブマリーナが約40万円、デイトジャストが約35万円という価格帯で販売されていました。
しかし2017年頃から状況は一変します。世界的な需要の増加や生産量の制限により、ロレックスの価格は急激に上昇。2020年にはコロナウイルスの影響でスイスの工場が閉鎖され、供給不足に拍車がかかりました。現在では当時の2倍から3倍以上の価格で取引されることも珍しくありません。
この記事のポイント!
- ロレックスが昔安かった具体的な価格と時期
- 2017年以降の価格高騰の背景と要因
- モデル別の価格推移と変動の理由
- 現在の価格形成に影響を与えている市場環境
ロレックスの価格は本当に昔は安かった?過去の歴史を振り返る
- 実は1960年代も高級品だった!当時のロレックスの価格事情
- 1980年代までは比較的手に入りやすい時計だった理由
- バブル期でも定価で買えた!デイトジャストの価格推移を解説
- 2017年以降の急激な価格高騰の背景とは
- 投資としてのロレックスが注目された理由
- パーツ供給や修理面での変化が価格に与えた影響
実は1960年代も高級品だった!当時のロレックスの価格事情
1960年代、ロレックスはすでに高級時計の地位を確立していました。1965年の価格を見ると、エクスプローラーⅠが114,500円、サブマリーナが100,000円、GMTマスターが144,500円で販売されていました。当時の大卒初任給が約2万円であったことを考えると、決して手の届きやすい価格帯ではありませんでした。
特に18KYGコンビのデイトジャストは272,000円、18KYG無垢×革のデイデイトに至っては471,000円という価格で、一般的なサラリーマンには手が届かない高級品でした。
デイトナRef.6239も148,000円で販売されており、これは当時の年収の半分以上に相当する金額でした。この時期のロレックスは、すでに高級時計としての地位を確立していたと言えます。
高品質な素材と技術を用いた時計製造は、その価格に反映されており、1960年代のロレックスは富裕層向けの贅沢品として位置づけられていました。
当時は特にデイデイトが高級モデルの代表格として知られ、政治家や著名人が好んで使用していました。
1980年代までは比較的手に入りやすい時計だった理由
1980年代、ロレックスの価格体系は大きく変化します。1980年のサブマリーナの価格は270,000円、エクスプローラーⅠは280,000円でした。当時の大卒初任給が約11.5万円であったことを考えると、2-3ヶ月分の給与で購入できる水準でした。
この時期、ロレックスは実用的な高級時計としてのポジショニングを確立していました。特に注目すべきは、デイトジャストのステンレスモデルが370,000円で販売されていたことです。
1980年代は特筆すべき出来事として、金相場が史上最高額の6,495円/gを記録。これにより、18KYG無垢×ブレスのデイデイトRef.18038は3,720,000円という高額での販売となりました。
ディーラーでの値引きも一般的で、定価よりも安く購入できることも多かったとされています。この時期はロレックスの在庫も豊富で、希望するモデルを比較的容易に入手することができました。
また、並行輸入品も多く流通しており、正規店よりも安価で購入できるルートが存在していました。
バブル期でも定価で買えた!デイトジャストの価格推移を解説
バブル期に入ると、土地や株式の価格は急騰しましたが、興味深いことにロレックスはそれほど価格が上がりませんでした。1988年時点でデイトジャストRef.16030は370,000円で販売されていました。
当時の大卒初任給は約15万円で、デイトジャストは2.5ヶ月分の給与に相当しました。1992年になってもデイトジャストRef.16220は350,200円と、むしろ若干価格が下がっています。
バブル期はスポーツモデルも比較的手頃でした。サブマリーナは450,000円、GMTマスターⅡは400,000円で販売されていました。これは現在の価格と比べると、かなり手の届きやすい水準だったと言えます。
デイトナRef.16520も510,000円という価格で、現在の相場と比較すると驚くほど安価でした。この時期は在庫も豊富で、正規店でも取り寄せに対応していました。
バブル期であっても、ロレックスは投機の対象とはならず、実用的な高級時計としての価格を維持していました。
2017年以降の急激な価格高騰の背景とは
2017年を境に、ロレックスの価格は大きく変動し始めます。この年、多くの高級時計ブランドが大幅な値上げを発表し、ロレックスも定価を引き上げました。
投資対象としてのロレックスへの注目が高まり、将来的な値上がりを見込んだ購入が増加。特に新興国からの需要が急増し、市場価格を押し上げる要因となりました。
2018年には転売対策が強化され、一般店舗での購入が困難になりました。これにより、市場の需要と供給のバランスが崩れ、価格の上昇に拍車がかかりました。
2020年にはコロナウイルスの世界的流行により、スイスの生産工場が閉鎖。供給が更に制限され、市場価格は一層高騰しました。
世界情勢の不安定化も価格上昇の要因となり、金融資産や不動産よりも、現物資産としての時計への注目が集まりました。
投資としてのロレックスが注目された理由
ロレックスが投資対象として注目を集める背景には、いくつかの重要な要因があります。まず、普遍的なデザインを持ち、流行に左右されにくい特徴があります。
世界的に認知された高級ブランドとしての地位は、安定した需要を生み出しています。特に老若男女を問わない人気は、投資対象としての魅力を高めています。
価格が下がりにくい特性も、投資対象として注目される理由の一つです。高品質な素材と技術力、確立されたブランド価値により、市場での価値が安定しています。
人気モデルが多いことも特徴で、中古市場での取引が活発です。使用済みの時計でも需要が高く、取引価格が下がりにくい傾向にあります。
世界的な規模で取引が行われているため、市場の流動性が高いことも投資対象として選ばれる要因となっています。
パーツ供給や修理面での変化が価格に与えた影響
ロレックスは生産終了から最低25年は部品を保管する方針を持っていますが、アンティークモデルについては部品の供給が困難になるケースが増えています。これにより、修理やメンテナンスのコストが上昇しています。
新品の供給制限に加えて、部品の供給体制の変化も価格形成に影響を与えています。特に、オリジナルパーツの入手が困難なモデルは、その希少性から価格が上昇する傾向にあります。
修理技術者の不足も課題となっており、特にアンティークモデルの修理には専門的な知識と技術が必要です。これにより、メンテナンスにかかるコストが増加しています。
品質管理の厳格化により、正規の修理サービスを受けられないケースも出てきています。これは特にヴィンテージモデルの所有者にとって大きな課題となっています。
部品の供給制限は、新品モデルの価格にも影響を与えており、市場全体の価格上昇要因の一つとなっています。
昔のロレックスと現代の価格差を生んだ要因を徹底解説
- サブマリーナやデイトナなど人気モデルの30年間の価格変動
- ロレックスが高級ブランドへと変貌を遂げた経緯
- 世界的な需要増加と供給制限の関係性
- 転売市場の登場が与えた影響
- コロナ禍での生産縮小と価格への影響
- まとめ:ロレックス昔は安かった理由と現代の価格高騰の真相
サブマリーナやデイトナなど人気モデルの30年間の価格変動
1993年頃、多くのロレックスは30万円台から購入することができました。エクスプローラーRef.14270は新品でも30万円台で販売されていました。
2003年には、サブマリーナーデイトRef.16610の定価は51万2400円でした。しかし、2023年現在の中古市場では150万円を超える価格で取引されています。
コスモグラフデイトナRef.116520も、2003年当時の定価は80万8500円でしたが、現在では300万円を超える価格がつくようになっています。
GMTマスターⅡ Ref.16760は、1988年当時400,000円で販売されていました。特に12時位置の”DATE”表記がないマーク1ダイヤルは、現在300万円を超える相場となっています。
2019年には、全モデルで定価が上昇。GMTマスターⅡは97万6800円、デイトナは130万9000円という価格設定となりました。
ロレックスが高級ブランドへと変貌を遂げた経緯
1960年代まで、ロレックスは実用性が高く精密なツールとして認識されていました。探検家や冒険家の使用に耐える時計として評価を得ていました。
1980年代に転機が訪れ、アンドレ・ハイニガーの下でラグジュアリー路線への転換が図られました。コレクションとしての付加価値が重視されるようになりました。
ハリウッド映画やスポーツイベントへの協賛、慈善団体への寄付など、ブランドイメージの向上に力を入れるようになりました。
厳しい供給体制の管理により、品質と希少性を保つ戦略が取られました。これにより、高品質で希少性の高い製品としての地位を確立しています。
オイルショック時の経済不安においても、ブランドの知名度と技術力で価値を維持。不況の中でも価値が下落しない投資対象として注目を集めるようになりました。
世界的な需要増加と供給制限の関係性
2020年にはコロナウイルスの影響でスイスの生産工場が閉鎖され、供給が大幅に減少しました。この供給不足は価格高騰の大きな要因となっています。
特に新興国を中心に、2017年以降の需要は急激に増加しています。富裕層の増加に伴い、ステータスシンボルとしてのロレックスの人気が高まっています。
ロレックスは品質維持のために生産量を厳格に管理しており、需要の増加に対して供給が追いついていない状況が続いています。
世界的な経済成長や資産価値の上昇を背景に、投資対象としてのロレックスへの需要も高まっています。特に中国や東南アジアなどの新興国での需要増加が顕著です。
正規店での購入が困難になったことで、中古市場での取引が活発化し、価格上昇に拍車をかけています。
転売市場の登場が与えた影響
2019年11月より、ロレックス正規販売店では転売防止対策として購入規制が導入されました。写真付きの身分証明書の提示や、同一型番の5年以内の再購入制限などが設けられています。
特にデイトナ、GMTマスターⅡ、サブマリーナなどの人気モデルは、転売目的での購入が多く見られ、市場価格の高騰を招いています。
正規店での購入が困難になったことで、並行輸入品や中古市場での取引が増加。これにより、定価以上の価格での取引が一般化しています。
転売市場における価格上昇は、新品の価格設定にも影響を与えています。市場での取引価格の上昇により、正規品の価格も上昇傾向にあります。
このような状況を受けて、2020年には多くのモデルで定価が引き上げられました。
コロナ禍での生産縮小と価格への影響
2020年、コロナウイルスの世界的流行によりスイスの生産工場が閉鎖され、ロレックスの供給は大きく制限されました。この影響は現在も市場に残っています。
工場の閉鎖により、新品の供給が減少し、中古市場での取引が活発化。これにより、中古品の価格も上昇傾向となりました。
世界情勢の不安定化により、金融資産や不動産よりも、現物資産としての時計への需要が高まりました。特にロレックスは、資産価値の保存性が高く評価されています。
生産の制限は、特に人気モデルの入手を一層困難にし、市場価格の上昇を加速させる要因となりました。
供給不足は、正規店での購入をより困難にし、並行輸入市場や中古市場での価格上昇を招いています。
まとめ:ロレックス昔は安かった理由と現代の価格高騰の真相
最後に記事のポイントをまとめます。
- 1960年代のロレックスは当時の大卒初任給2万円に対して10万円以上と、すでに高級品であった
- 1980年代は大卒初任給11.5万円でサブマリーナが27万円と、2-3ヶ月分の給与で購入可能だった
- バブル期でもデイトジャストは37万円程度で、価格は比較的安定していた
- 2017年を境に世界的な需要増加と生産量制限により価格が高騰し始めた
- 2019年には転売対策として購入規制が導入された
- 2020年のコロナ禍による工場閉鎖で供給不足が深刻化した
- 現在は30年前と比べて2-3倍以上の価格で取引されるモデルも存在する
- 新興国の富裕層増加による需要拡大が価格上昇の要因となっている
- 正規店での購入困難により中古市場での取引が活発化している
- 世界情勢の不安定化により、現物資産としての価値が再評価されている
- 投資対象としての注目度が上がり、さらなる価格上昇につながっている
- 部品供給や修理面での制限も価格形成に影響を与えている