ゼニスは1865年にスイスで創業された高級時計ブランドですが、「人気がない」という声を耳にすることがあります。実際には、世界初の自動巻きクロノグラフ「エル・プリメロ」を開発し、ロレックスのデイトナにも採用された技術力を持つブランドなのです。
一般的な知名度は他の高級ブランドと比べて低いものの、時計愛好家からの評価は非常に高く、竹内涼真さんや山田孝之さんといった著名人も愛用しています。オーバーホール費用の高さやリセール率の問題など、気になる点もありますが、本当の実力と評価について詳しく見ていきましょう。
この記事のポイント!
- ゼニスの真の実力と評価について
- 「人気がない」と言われる具体的な理由
- 時計愛好家から支持される技術力の詳細
- 購入前に知っておくべき維持費用やリセール性
ゼニス人気ないって本当?知名度低いだけの実力派ブランド
- 創業150年以上のスイス高級時計ブランド
- エル・プリメロは世界最高峰のムーブメント
- ロレックスやパネライも採用した技術力
- 知名度低いのは広告控えめだから
- 時計通からの評価は非常に高い
- 愛用する有名人も多数いる
創業150年以上のスイス高級時計ブランド
1865年、時計職人のジョルジュ・ファーブル=ジャコによってスイスのル・ロックルで創業されたゼニス。創業当初から、時計製造に関わるすべての工程を一か所に集約させる「マニュファクチュール」方式を採用していました。
世界遺産にも登録されている時計産業の聖地で、自社一貫生産の哲学を貫いてきました。1900年のパリ万博では、出品した懐中時計用ムーブメント「ゼニス」が金賞を受賞しています。
このパリ万博での受賞がきっかけとなり、1911年に社名として正式に「ゼニス」という名称が採用されました。「ゼニス」とは「天空の頂点」を意味する言葉です。
その後、新たな生産技術の開発や画期的な製造機械の導入、自動化システムの構築にも積極的に取り組み、1925年には従業員約1000人を抱える大企業へと成長しました。
1970年代には経営危機に見舞われましたが、乗り越えて現在に至るまで、600種類を超えるムーブメントを製作し、2000を超える受賞記録を達成しています。
エル・プリメロは世界最高峰のムーブメント
エル・プリメロは、1969年に発表された世界最初期の一体型自動巻きクロノグラフです。毎時36,000回という高速振動を実現し、50時間を超えるパワーリザーブを備えています。
ハイビートと長時間パワーリザーブの両立に成功した革新的なムーブメントで、一般的なムーブメントがキャリバーナンバーのみで表現される中、独自の名称が付けられた特別な存在です。
誕生から50年以上が経過した現在でも、その基本設計は現役で使用され続けています。時計業界では「現役の古典機」として高く評価されています。
近年では、エル・プリメロをアップデートした「Cal.エル・プリメロ3600」が開発され、クロノグラフでの1/10秒計測を可能とし、パワーリザーブも約60時間に進化しています。
ただし、初期のエル・プリメロは設計が古いため、秒針停止機能がないことや、現在の最新ムーブメントと比べると駆動最大時間で劣る部分もあります。しかし、50年以上前のスペックでいまだに第一線で活躍できる実力は、他の追随を許さないものといえます。
ロレックスやパネライも採用した技術力
1988年から2000年頃まで、ロレックスのデイトナにエル・プリメロが搭載されていました。ロレックスは自社製造にこだわる企業として知られていますが、エル・プリメロは唯一の社外製ムーブメントとして採用されました。
また、パネライやウブロ、タグ・ホイヤーなど、他の高級時計ブランドにもゼニスのムーブメントは採用されています。堅牢性や耐久性、精度や機能面において、業界からの信頼が厚いことの証明といえます。
技術面では世界初の記録も多く、自動巻きクロノグラフだけでなく、パワーリザーブ表示や高速振動キャリバーなども世界で最初に手掛けています。
現在でも、代表的な「エル・プリメロ」や「エリート」を中心に、計26種類のムーブメントを展開。150を超えるモデルを提供しています。
ゼニスの技術力は、マニュファクチュール(自社一貫生産)の強みを活かし、独自の革新を続けています。時計業界では「元祖マニュファクチュール」とも呼ばれ、その技術は現在も進化を続けています。
知名度低いのは広告控えめだから
ゼニスは他の高級時計ブランドと比べ、広告や宣伝活動を控えめにしていることが特徴です。特に日本国内では、テレビや雑誌での露出が少なく、ブランドの認知度向上よりも、製品の質とブランドイメージを重視する姿勢を取っています。
この控えめな広告戦略は、一般的な認知度の低さにつながっている一方で、時計愛好家からは「知る人ぞ知る」ブランドとして評価されています。
技術開発やデザインの革新に力を入れているゼニスですが、文字盤の一部をスケルトン化し、ムーブメントの動きを見せる「オープンワーク」デザインを業界で初めて採用したのもゼニスです。
近年は時代の変化に合わせて、より受け入れられやすいデザインも増やしていますが、基本的には派手な宣伝よりも、製品の質で勝負する姿勢を貫いています。
世界のモータースポーツ界では、「エクストリームE」の公式計時パートナーを務めるなど、着実な活動を展開しています。
時計通からの評価は非常に高い
時計愛好家の間では、ゼニスの技術力と品質は非常に高い評価を受けています。600種類を超えるムーブメントの開発実績と、2000を超える受賞歴がその証明です。
オープンワークデザインの先駆者として、機械式時計の美しさを視覚的に表現する革新性も高く評価されています。特に「デファイ」シリーズでは、文字盤全体をスケルトン化し、精巧な機械の動きを楽しめる設計が特徴です。
マニュファクチュールとしての歴史も評価のポイントで、時計製造のすべての工程を自社で行う体制は、高い品質管理と独自の技術開発を可能にしています。
ゼニス工場は歴史的建造物に指定されていますが、現在も最新の技術開発が行われる現役の製造拠点として機能しています。
高級時計の本質を理解する層からは、広告控えめで質実剛健な姿勢も、むしろブランドの魅力として捉えられています。
愛用する有名人も多数いる
2020年から俳優の竹内涼真さんがブランドアンバサダーを務めており、実際に4本のゼニスを所有し、日常的に愛用していることが話題となっています。
山田孝之さんや谷原章介さん、城田優さんなど、日本の著名人にもゼニスファンが多く存在します。また、海外ではプロバスケットボール選手のラッセル・ウェストブルックさんが「パイロットタイプ20 アニュアルカレンダー」を愛用しています。
中国では人気俳優のシャオ・ジャン氏が公式アンバサダーを務め、その影響力は絶大です。アメリカンフットボール界の伝説的選手であるアーロン・ロジャース氏も、クロノマスタースポーツの愛用者として知られています。
また、ビンテージカーのイベントでもスポンサーを務めるなど、様々な分野で確実な支持を集めています。
愛用者たちからは、技術力の高さだけでなく、デザインの美しさや装着感の良さも高く評価されています。
ゼニスが人気ないと言われる理由と実態
- オーバーホール費用は高額
- リセール率は40-60%が一般的
- 個性的なデザインで好みが分かれる
- 時計好きに支持される理由
- 人気モデルの特徴と魅力
- デファイ・クロノマスター・エリートの違い
- まとめ:ゼニスが人気ないは大きな誤解である
オーバーホール費用は高額
ゼニスの時計は精巧なムーブメントを搭載しているため、定期的なメンテナンスが不可欠です。オーバーホールの基本料金は45,000円から85,000円程度で、部品交換が必要な場合はさらに費用がかさみます。
エル・プリメロ搭載モデルの場合、オーバーホール費用は50,000円から100,000円程度となることもあります。これは高精度な機械式時計の宿命ともいえる部分です。
ただし、公式でのオーバーホールに限らず、信頼できる時計修理専門店を利用することで、費用を抑えることも可能です。特に、定期的なメンテナンスが必要な機械式時計の維持費用は事前に考慮しておく必要があります。
また、エル・プリメロは毎時36,000振動という高振動数のため、一般的な機械式時計よりもパーツの摩耗や劣化が早まる可能性があります。通常の時計が28,800振動であることを考えると、メンテナンスの重要性は高くなります。
定期的なオーバーホールは、時計の寿命と精度を保つために必要不可欠な投資と考えられています。
リセール率は40-60%が一般的
ゼニスの時計のリセール率は、一般的に定価の40%から60%程度となっています。これはブライトリングやパネライなど、同クラスの高級時計ブランドと同程度の水準です。
近年、一部の高級時計ブランドでは定価以上で取引される例もありますが、それは極めて稀なケースです。ゼニスの場合、特に人気モデルや限定モデルは、比較的高値で取引される傾向にあります。
2021年に発売された「クロノマスタースポーツ」などは入手困難な状況が続き、中古市場でも高値で取引されています。エル・プリメロを搭載したモデルも、その歴史的価値から安定した需要があります。
リセール価値を維持するためには、保証書や付属品の保管、定期的なメンテナンスによる状態管理が重要です。これらが揃っていることで、売却時の価格に大きく影響します。
中古で購入する場合、新品購入時よりもリセール率が高くなる可能性もあるため、購入方法の選択肢として検討する価値があります。
個性的なデザインで好みが分かれる
ゼニスの時計は、文字盤の一部をくり抜いて内部機構を見せる「オープンワーク」デザインが特徴です。このデザインは時計業界で初めてゼニスが採用し、現在では多くのブランドに影響を与えています。
「デファイ」シリーズでは、文字盤を全面的にスケルトン化し、ムーブメントの動きを存分に楽しめるモデルも展開しています。2017年に発売された「デファイ エル・プリメロ21」は、このデザイン特徴を活かした人気モデルとなっています。
一方で、このメカニカルな美しさを強調したデザインは、クラシックでシンプルなデザインを好む人々には「オタクっぽい」という印象を与えることもあります。デザインの好みが明確に分かれる要因となっています。
シンプルで上品なデザインを求める方向けには「エリート」シリーズが用意されており、ドレスウォッチとしても使いやすい選択肢となっています。過度な装飾や複雑な機能を排除した、品のある佇まいが特徴です。
現在のコレクションでは、時代の変化に合わせて世の中に受け入れられやすいデザインも増えており、選択の幅は広がっています。
時計好きに支持される理由
ゼニスは600種類を超えるムーブメントを開発し、2000を超える受賞記録を持つ実力派ブランドです。特に「エル・プリメロ」は、世界初の自動巻きクロノグラフとして時計史に名を残す革新的な機構です。
自社一貫生産を行うマニュファクチュールとしての地位も、時計愛好家から高く評価される理由の一つです。時計産業の聖地として世界遺産に登録されたル・ロックルに本拠を構え、伝統的な技術を継承しながら新しい技術開発も行っています。
ロレックスのデイトナに採用されたエル・プリメロの実績は、その技術力の高さを証明しています。現在でも、パネライやウブロ、タグ・ホイヤーなど、多くの高級時計ブランドにムーブメントを提供しています。
ゼニス製品の品質と革新性は、派手な宣伝ではなく実力で評価されています。広告を控えめにする姿勢も、かえって時計通からは好意的に受け止められています。
また、「知る人ぞ知る」ブランドとしての希少性も、時計愛好家を魅了する要因となっています。
人気モデルの特徴と魅力
「クロノマスター」は、エル・プリメロを搭載した定番クロノグラフシリーズです。2021年に発売された「クロノマスタースポーツ」では、ブラックセラミック製ベゼルと新開発のCal.エル・プリメロ3600を搭載し、1/10秒計測を可能にしました。
「デファイ」シリーズは、近未来的なフォルムとスケルトンダイヤルが特徴です。エッジの効いたデザインにチタンやセラミックスを使用し、100分の1秒クロノグラフなど、革新的な機能も搭載しています。
「エリート」シリーズは、余計な装飾を排除したエレガントなドレスウォッチです。自社製ムーブメント「エリート」を搭載しながら、比較的リーズナブルな価格帯で提供されています。
「パイロット」シリーズは、1900年代初頭の航空計器製造の歴史を持つゼニスならではのコレクションです。2023年にはモダンでスポーティーな新デザインが導入され、エル・プリメロムーブメントを搭載しています。
これらのモデルは、それぞれ異なる魅力を持ちながら、ゼニスの技術力と革新性を体現しています。
デファイ・クロノマスター・エリートの違い
デファイシリーズは、2017年に発売された「デファイ エル・プリメロ21」をフラッグシップモデルとする、最も革新的なコレクションです。全面スケルトンダイヤルや近未来的なケースデザイン、高機能な100分の1秒クロノグラフなどが特徴です。
クロノマスターは、エル・プリメロを代表するクロノグラフシリーズです。2021年にはクロノマスタースポーツが登場し、ブラックセラミックベゼルと新開発のムーブメントで話題を呼びました。横並びの3つ目インダイアルと3色のサブダイアルが象徴的です。
エリートシリーズは、機械美を追求したクロノマスターとは対照的に、シンプルで上品なデザインが特徴です。ドレスウォッチとして、フォーマルなシーンでも使いやすい仕上がりとなっています。
デファイはスポーティーで先進的、クロノマスターは伝統と革新のバランス、エリートはクラシカルでエレガントと、それぞれ異なる個性を持っています。
価格帯はエリートが最もリーズナブルで、デファイとクロノマスターは搭載する機能によって幅広い設定となっています。
まとめ:ゼニスが人気ないは大きな誤解である
最後に記事のポイントをまとめます。
- 創業150年以上の歴史を持つスイスの老舗高級時計ブランドである
- エル・プリメロは世界初の自動巻きクロノグラフとして革新的な存在である
- ロレックスをはじめ多くの高級ブランドが採用した信頼の技術力がある
- 知名度の低さは広告控えめな経営方針が要因である
- 時計愛好家からの評価は非常に高い
- オーバーホール費用は45,000円から85,000円程度と高額である
- リセール率は40-60%が一般的で、同クラスのブランドと同等である
- オープンワークデザインの先駆者として、独自の美学を確立している
- デファイ、クロノマスター、エリートなど、個性的なラインナップを展開している
- 竹内涼真さんをはじめ、多くの著名人が愛用している
- マニュファクチュールとしての高い技術力と品質管理を維持している
- 2000を超える受賞歴が、その実力の証明となっている